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WILLCOM 03でBluetooth GPSを活用する - その1/入門編

2009年03月27日 12時12分更新

文● 山田道夫

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Bluetooth GPSのキホン

 GPSは、アメリカが軍事用に打ち上げた約30個のGPS用の衛星のうち、日本上空にたまたま飛来している数個の衛星からの信号をGPS受信機で受け取り、現在位置を知るシステムだ。そのため、GPSを利用する場合、いくつかの制限がある。

 まず、Bluetooth GPSは、購入直後や長時間使わなかった場合、一般的にGPSが利用可能になる前にかなり時間がかかる。いわゆるコールドスタート(後述)となるためだ。機種や状況、気候などにもよるが、数分から10分程度、建物などが近くにない、よく開けたところで移動せずに待機している必要がある。コールドスタート時は通常よりGPS衛星からのアルマナック(軌道上における全ての衛星に関する軌道情報)の取得に時間がかかる。

 対して、一度衛星の電波を取得し、GPS衛星の軌道履歴が完全に残っている状態から時間をたたずに再度スタートした場合をホットスタートといい、再取得までの時間は大幅に短くなる。

 さらに、衛星の電波取得後、電源をオフにしても短い時間であれば再取得までの時間は短くなる。このことをウォームスタートという。ウォームスタートの場合は、機種にもよるが、1秒もかからずに測位可能だ。

 GPS衛星は2種類のデータ(アルマナックデータ、エフェメリスデータ)を発信している。アルマナックデータは軌道上における全ての衛星に関する軌道情報、エフェメリスデータは各衛星の正確な位置情報と信号を発射した時刻情報だ。

 GPS受信機はアルマナックデータにより測位に使用できる衛星を確認し、エフェメリスデータから正確な時刻情報を得て受信機内部の時計と衛星の時計を合わせる。GPSは、衛星からの信号が届くまでの時間を計り、それに光の速度をかけて衛星までの距離を求める(レンジングという)。3機の衛星に対してレンジングを行うことで、三角交差法によりGPSのある場所の緯度・経度が求められる。利用する衛星が4機以上になれば高度も知ることができる。受信している衛星が多く、移動せずに受信する時間が長くなればなるほど、精度が高くなる。

 一般的にGPSユニットの中にはメモリーがあり、電源を切る直前のアルマナックデータとエフェメリスデータを保存している。GPSの機種にもよるだろうが、アルマナックデータは1週間程度、エフェメリスデータは1時間から1時間半程度保存されるという(個々の機種の実際の保存時間は確認できなかった)。このデータを完全に失ってしまった状態を「コールド」、アルマナックデータは失っていない状態を「ウォーム」、エフェメリスデータも失っていない状態を「ホット」というわけだ。

 Windows MobileをOSにもつスマートフォンなどの中には、「アルマナックデータ」をダウンロードする機能を持ったデバイスもあるが、WILLCOM 03にはそういった機能はないので、新しく使う場合やしばらく使わなかった場合、前回使用した場所と大幅に異なった位置で行う場合などでは、測位するまでにしばらく時間がかかるのをやはりじっと待つ必要がある。一番いいのは、開けたところで(盗まれないような場所を選ぶ必要がある)電源をオンにしてしばらく放置しておくことだろう。

 導入編はここまで。次回は、実際にBluetooth GPSをWILLCOM 03で利用する際の設定方法などを紹介していこう。

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