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マイクロソフト、正規ライセンスチェック機能“Windows Genuine Advantage Notifications”についての説明会を開催

2007年02月20日 22時58分更新

文● 編集部 小西利明

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マイクロソフト(株)は20日、東京都内の本社にてWindows XPの自動更新機能を利用して、正規のWindowsライセンスを確認する“Windows Genuine Advantage Notifications”に関する記者説明会を開催した。不正規ライセンスのWindows XPを使用しているユーザーに対しては、低価格で正規ライセンスをオンライン購入するサービスを提供する。価格については未公表である。

“Windows Genuine Advantage”(WGA)とは、不正規のライセンスで流通・使用されているWindowsの蔓延に歯止めをかけるべく、同社が行なっている施策のひとつである。説明を担当した同社Windows本部 ビジネスマネージャの篠田尚平氏によると、同社の“正規ソフトウェアイニシアチブ”施策は、“Education”(教育・普及活動)、“Engineering”(エンジニアリング・防止のための技術)、“Enforcement”(法律の執行)の3点からなっていて、今回のWGA Notificationsはエンジニアリングと普及活動によるものという。

ちなみに2005年7月以降WGAによる活動で、全世界で5億台以上のパソコンで正規ライセンスの確認が行なわれており、うち22%が不正規のライセンスであったという。日本では1000万台以上で確認が行なわれ、うち7%が不正規のライセンスであったとのことだ。不正規のライセンスの流通には、不正流出したボリュームライセンス(VL)キーやキー生成ツールなどで作られた違法な偽造キーの使用、ライセンス認証のハッキングなどの手段がとられているという。日本ではまずないが、海外では不正ライセンスのWindowsをインストールしたパソコンが販売されていることもある。この場合、ユーザーは何も知らずに不正規の“海賊版”Windowsを使用していることになる。

WGAでは正規のWindowsライセンスを確認するために、Windows UpdateやMicrosoft Update、また同社のダウンロードサイト“Download Center”を利用して、修正プログラムをダウンロードする際に、そのWindowsが正規のライセンスであるかを確認するプログラムを実行している。なおWGAは“プロダクト認証”機能とは異なるものである。ただしWindows XPの“自動更新機能”を利用していた場合は、WGAによるチェックは行なわれていなかった。今回のWGA Notificationsは、自動更新機能を通じて提供されるほか、不正規ライセンスのWindows XPを使用しているユーザーに対しては、正規ライセンスへの移行を促す仕組みが用意されている点が重要である。

WGA Notificationsは自動更新機能を通じてダウンロードされる。ただしインストール自体は自動では行なわれず、あくまでユーザーがインストールを選択する必要がある。インストールが行なわれると、自動でライセンスのチェックが行なわれる。ライセンスが正規であれば何も起きないが、もし不正規のライセンスであると分かれば、正規のライセンスではない旨の警告が出る。さらにWindows XPにログオンする画面や、Windows XPのデスクトップ上に、ユーザーが“偽造ソフトウェアの被害を受けている可能性”を示した通知が表示されるようになる。これにより、不正規のライセンスであるという事実を、ユーザーに示すというわけだ。

なおWGA Notificationsの対象となるOSは、Windows XP Home Edition/Professional SP2であり、SP1以前のWindows XPに対しては、まずSP2へアップグレートをうながすようになっている。Windows XP Tablet PC EditionとMedia Center Editionの扱いについては、説明会では回答が得られなかった。Windows Vistaは最初からWGAの仕組みが実装されているため、WGA Notificationsの対象とはなっていない。

WGA Notificationsの重要な特徴は、不正規ライセンスのユーザーに対して、正規ライセンスを低価格で提供する仕組みも用意している点にある。たとえば不正規ライセンスと確認されたWindows XP上でログオンを行なおうとすると、画面上に偽造ソフトウェアの可能性を通知するダイアログが表示されるが、ここには“今する解決する”というボタンが用意されている。これをクリックすると同社のウェブサイトにつながり、警告が出ている理由の説明を参照できるほか、正規のライセンスに移管するための“WGA Kit”をオンラインで購入できる。購入の決済にはクレジットカードが必要となる。

WGA Kitを購入すると、電子メールで正規ライセンスのプロダクトキーに当たる“Electronic Key”を取得するためのツールの入手先が連絡されるほか、正規ライセンスのCD-ROMも郵送される。これらを使い、使用中のWindows XPを正規のライセンスに移管させたり、郵送されたCD-ROMでWindows XPを新規にインストールことができる。価格については正規品への移行を促すため、パッケージ品を買うよりは低価格に設定されているという。

WGA Notificationsで不正規ライセンスの警告が出たとしても、Windows XPの使用自体ができなくなるわけではないし、自動更新機能も利用できる。WGA Notificationsによる警告をオフにする手段も用意されている。さらにWGA Notifications自体をインストールしない、という選択肢もあるので、自覚して不正規ライセンスを利用しているユーザーに対しては、あまり効果がないではないかと思われる。強硬手段としては、正規ライセンス品以外は修正プログラムの入手をできなくしたり(セキュリティーリスクは放置される)、ログオン自体を禁止するといった手段も考えられただろう。しかし、セキュリティーリスクの放置をせず、またユーザーを泥棒扱いすることもなく、穏便に正規のライセンスへの移管をうながす手段としては、これが現実的な手段だったと言えそうだ。

WGA Notificationsの詳細については、下記の関連サイトを参照のこと。

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