このページの本文へ

D-PA、TV番組のオークションへの違法出品の監視を開始

2007年01月25日 20時30分更新

文● 編集部 若林健太

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

(社)地上デジタル放送推進協会(D-PA、ディーパ)は25日、TV番組を違法コピーした“海賊版”のネットオークション等への出品を監視するなどの業務を開始すると発表した。同日、東京・千代田区の文藝春秋ビル西館地下ホールで記者発表が行なわれた。

オークションの監視については、実際に監視を行なうのは(社)コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS、アックス)となり、D-PAが行なうのは各放送事業者が出したパトロールの条件(重点的に監視してほしいジャンルや番組など)をまとめたり寄せられた情報をACCSに連絡するなど、各放送事業者の取りまとめ的な活動となる。

これは、ACCSがヤフー(株)が運営するネットオークション“Yahoo!オークション”において、ソフトウェアの違法出品物の削除に関する合意を交わし2004年1月から同オークションの監視を行なっており、そのシステムを利用してTV番組の違法出品の監視を行なうこととなったため。なお今回監視対象となるのは“Yahoo!オークション”のみで、その他のオークションサイトに関してはACCSと運営者の間で基準が結ばれれば対応していくという。“Yahoo!オークション”を対象としているのは、違法出品が圧倒的に多いのが同オークションであるため。

今回発表された業務内容は以下のとおり。

ネットオークションのパトロール
ネットオークションを監視し、TV番組の違法コピーなど違法な出品物を発見し次第、オークションサイトの運営者に削除を要請する。
放送事業者に寄せられた違法情報への一元的な対応
各放送事業者に視聴者から寄せられた違法な出品物の情報を取りまとめ、ACCSに連絡。その情報をもとにACCSで調査を行ない、削除要請などの対応を行なう。
違法情報提供窓口の設置
ウェブサイト“ホットライン・テレビ番組著作権”を開設し、視聴者から情報を受け付けるフォームを設置する。情報がオークションへの出品に関するものであれば調査の上削除要請を行ない、そのほかの情報(動画共有サイトへの違法アップロードなど)に関するものであれば、それぞれの権利を持つ放送事業者に連絡する。
放送番組の著作権に関する周知広報活動
“ホットライン・テレビ番組著作権”にTV番組の著作権や著作権そのものに関する知識と、著作権に関するクイズコンテンツを掲載する。

記者発表に出席したのは、日本放送協会 総合企画室〔デジタル放送推進〕局長の竹中一夫(たけなか かずお)氏、(株)テレビ朝日 取締役の大塚隆広(おおつか たかひろ)氏、(株)フジテレビジョン デジタルコンテンツ局局次長の佐藤信彦(さとう のぶひこ)氏、D-PA 専務理事・事務局長の高嶋光雪(たかしま てるゆき)氏、ACCS 調査部マネージャーの三橋信司(みつはし しんじ)氏の5名。司会はNHKアナウンサーの島津有理子(しまづ ゆりこ)氏が務めた。

日本放送協会 総合企画室〔デジタル放送推進〕局長の竹中一夫氏
日本放送協会 総合企画室〔デジタル放送推進〕局長の竹中一夫氏

はじめに挨拶を行なった竹中氏は「著作権保護の必要性はきわめて重要な問題であることは理解していただけると思うが、このような放送事業者の取り組みについても、なお一層のご理解をいただきたい」と述べた。

(株)テレビ朝日 取締役の大塚隆広氏
(株)テレビ朝日 取締役の大塚隆広氏

今回の業務を立ち上げた経緯について説明した大塚氏は、「TV番組には脚本家、作曲者、作詞者、出演者、CGの制作者など多くの権利者が存在する。番組が違法流通されると、最悪の場合作品を提供してもらえなくなったり、出演を拒否されるということも考えられる。そうなれば番組制作に重大な支障をきたし、良質な番組を視聴する機会を視聴者から奪うことになってしまう」と訴えた。そして「デジタル放送では2004年4月からB-CAS方式によるコピー制御を実施しておりハード面での対策は取られているが、違法流通に対するソフト面での対策も強く求められている。特にネットオークションにはTV番組を不正コピーしたものが年間1万件以上出品されているが、効果的な対策が取れていないのが現状。そこで著作権侵害への放送事業者の強い意志を示すため今回事業を立ち上げることにした」と語り、新事業への意気込みを示した。

(株)フジテレビジョン デジタルコンテンツ局局次長の佐藤信彦氏
(株)フジテレビジョン デジタルコンテンツ局局次長の佐藤信彦氏

佐藤氏は、TV番組の著作権侵害事例について解説を行ない、インターネットにおける不正コピーの販売は、以前は業者によるものが中心だったが、最近は一般の個人が自分で録画したものをオークションで販売するケースが目立ってきていると説明。「それを助長する環境としては、インターネットオークションが広まったこと、DVDやHDDなどの高画質録画機が普及したことなどに加え、著作権法で認められた私的複製の権利に関する理解が一般の視聴者に不足しており、不正コピーの販売に対する罪の意識が薄いことが挙げられる」と述べ、著作権保護に対する視聴者の理解が必要だと訴えた。

D-PA 専務理事・事務局長の高嶋光雪氏
D-PA 専務理事・事務局長の高嶋光雪氏

高嶋氏は新業務の内容を説明し、オークションの監視について「これまで放送事業者は違法出品の情報を待つという姿勢だったが、今後はこちらから能動的に発見しにいく」と語った。

ACCS 調査部マネージャーの三橋信司氏
ACCS 調査部マネージャーの三橋信司氏

三橋氏はウェブサイト“ホットライン・テレビ番組著作権”について説明し、「放送コンテンツの違法情報受付窓口に特化しているものではなく、一般視聴者の方々がTV番組の著作権について分かりやすく学べる総合的なサイトになっている」とアピールした。

ウェブサイト“ホットライン・テレビ番組著作権”のアピールを行なう島津有理子氏
ウェブサイト“ホットライン・テレビ番組著作権”のアピールを行なう島津有理子氏

カテゴリートップへ

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン