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日本AMD、2006年の業績と2007年の施策“ベター・バイ・デザイン”を説明

2007年01月24日 20時50分更新

文● 編集部 小西利明

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“ベター・バイ・デザイン”プログラムでパソコンに添付されるステッカーのイメージ
“ベター・バイ・デザイン”プログラムでパソコンに添付されるステッカーのイメージ

日本エイ・エム・ディ(株)(日本AMD)は24日、東京都内にて記者説明会を開催し、2006年第4四半期および通期の業績と、2007年の重点施策についての説明を行なった。プラットフォームを構成する主要コンポーネントを、自社製品だけでなくパートナー企業製品と組み合わせて構成する“ベター・バイ・デザイン”プログラムを積極的に展開する。

会の冒頭で挨拶を述べた、同社代表取締役社長の森下正敏氏は、昨年の旧カナダATIテクノロジーズ社との合併について触れた。CPU市場で強みを発揮するAMDと、グラフィックス・ビデオプロセッシング分野の大手であるATIの合併は、今シナジー効果を作り込んでいるとして、両者の人材による新チームを立ち上げて、よりよいサービスと大きな(人的)リソースにより、顧客企業に対してソリューションベースの提案を行なっていく、との抱負を述べた。

日本AMD 取締役 マーケティング本部 本部長の吉沢俊介氏
日本AMD 取締役 マーケティング本部 本部長の吉沢俊介氏

米国で23日(現地時間)発表された2006年のビジネス概況については、同社取締役マーケティング本部 本部長の吉沢俊介氏が説明を行なった。ワールドワイドでの同社の第4四半期(10~12月期)の売上は、約17億7000万ドル(約2141億7000万円)で、うち旧ATI部門の売上は約3億9800万ドル(約481万5800円)となる。経常損益は約5億2700万ドル(約637億6700万円)の赤字となったが、これはATIの買収費用や両者の社員に対するストックオプションの支払いコストなどによるものとしている。これを除く経常利益は約5000万ドル(約60億5000万円)、AMD部門の売上は2006年第3四半期より3%アップしていたとのことで、買収にともなうコスト要因を除けば、ビジネスは堅調であったことを強調した。

2006年通年でのプロセッサー出荷数量については、2005年と比較して26%増加、2006年第4四半期と同第3四半期の比較だけでも、19%の出荷増を達成したとしている。特にTurion 64シリーズのモバイル向けプロセッサーは好調のようで、売上は2005年比で85%上昇、2006年第4四半期のみでも、同第3四半期と比べて41%の増加を示しているという。



インテルのプラットフォーム戦略には、
“選択”で対抗

ライバルである米インテル社は、2003年に発表したノートパソコン向けプラットフォーム“Centrinoモバイル・テクノロジ”以降、CPU単体ではなく、自社のCPUとチップセット、ネットワークモジュール等を組み合わせたプラットフォームの販売を重視する戦略をとっている。現在ではノート以外にも、デジタルホーム向けの“Viiv”、ビジネスクライアント向けの“vPro”なども登場しており、プラットフォーム戦略に拍車がかかっている。

吉沢氏は対抗するAMDの戦略として、自社製品で完結させるインテルのアプローチではなく、AMDとパートナー企業のコンポーネントをソリューションに合わせてOEM企業に組み合わせてもらう、“ベター・バイ・デザイン”プログラムを展開することを説明した。“より賢い選択”、吉沢氏は“厳選素材”と呼ぶこの戦略では、以下の各社のコンポーネントを組み合わせたプラットフォームを提案することで、OEMメーカーは製品に合わせた機能やコストのコンポーネントを選択することで、コストパフォーマンスに優れた製品を構成できるという。

CPU
AMD
チップセット
AMD(旧ATI)、米エヌビディア
無線LANモジュール
米エアゴー・ネットワークス、米アセロス・コミュニケーションズ、米ブロードコム

このプログラムに則ったプラットフォームを採用するパソコンには、2社(デスクトップの場合)または3社(ノート)のロゴが入ったステッカーが貼られるもようだ。インテルがCentrino対応ノートにCentrinoロゴマーク入りのステッカーを供給しているのと似たようなイメージであろう。またコンポーネント間での互換性やパフォーマンスの検証が進めば、ユーザーはよりパフォーマンスに優れて安定したパソコンを手にできるようになるだろう。

AMDがATIを買収した際に、「AMDもインテルのように、自社製品によるプラットフォーム戦略を推進するのではないか?」との見方が流れたものだが、ベター・バイ・デザインプログラムはそれを否定するものとも言える。

AMD+ATIベースのパソコン(左)と、インテルベースのパソコンで同じゲームを動かした際の表現力の違いを示すデモ。左画面の壁にあるテクスチャーが、右画面には表現されない
AMD+ATIベースのパソコン(左)と、インテルベースのパソコンで同じゲームを動かした際の表現力の違いを示すデモ。左画面の壁にあるテクスチャーが、右画面には表現されない

説明会ではTurion 64 X2とATI Radeon Xpress 1150チップセットで構成されたパソコンと、Core DuoとIntel 945G Expressチップセットで構成されたパソコン(その他のスペックは共通)同士で3Dグラフィックス機能を利用するアプリケーションを動作させて、パフォーマンスや表現力の差を見るデモが披露された。AMDベースのシステムでは、3Dグラフィックスを使ったゲームの背景にテクスチャーマッピングが施されていたり、3Dアクセラレーション機能を使うPDFファイルのレンダリングを高速に処理する様子が示された。デモを受けて吉沢氏は、インテルプラットフォームのパソコンより優れた性能が、1万円ほど安い実売価格で販売されていると述べて、こうした優れたプラットフォームがベター・バイ・デザインプログラムによって広く普及していくとの見方を示した。

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