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「無償体験版も提供する予定」──オートデスクが語る『Maya 8.5』

2007年01月22日 23時35分更新

文● ITジャーナリスト 林信行

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米オートデスク(Autodesk)社は、3Dモデリング/レンダリング/アニメーションシステム『Maya 8.5』を発表した(関連記事参照)。新バージョンのMac版は初めてUniversalアプリケーションに対応し、インテルMacでもネイティブ動作するようになった。

Maya 8.5
日本語リソースも含む『Maya 8.5』

さらに日本のユーザーにとって嬉しいのが、ひとつのアプリケーションで英語も日本語も同時サポートするマルチ言語アプリケーションとなっていること。日本語フォントにも対応し、英語/日本語を混在させることも可能だ。インターフェースだけでなく、添付の教則用ムービーなども日本語化されている。

同社で日本市場のフィールドマーケティングを担当する、アン=ヨシエ・楢原さんによれば、最近、日本では、Mayaが従来強かった映画やゲームソフト制作といった業界に加えて、教育分野でも広まっているとのこと。

教育といっても専門学校だけでなく、幼稚園や小学校でも利用されていると強調。従来より日本語ローカライズの進んだMaya 8.5の登場で、こうした分野への進出がさらに進むものと期待しているという。


布素材の動きをよりリアルにシミュレーション

機能面では、次世代型の統合シミュレーションフレームワーク“Maya Nucleus”に対応したモジュール“nCloth”を採用した点が特徴になる。

Maya Nucleusは、流体(fluid)、生地素材(cloth)、剛体(rigid)、人体(body)といったオブジェクトの動きをシミュレーションするためのプログラムで、接触や衝突、反射といったオブジェクト同士の関わり合いをより高速かつ安定して再現できる。

nClothは、このMaya Nucleusをベースに作られた最初のシミュレーションモジュールで、布地/プラスチック/金属などの表現に使える。

同社のテクニカルマーケティングスペシャリスト、ダリル・オベール氏は、ペナント(旗)を万国旗のようにつなぎ合わせ、それをゆさぶって見せたほか、風によって旗の指定した箇所がリアルに千切れていく様子をシミュレーションしてみせた。

またゴムタイヤのモデルを使い、内部の空気圧を変化させ、ゴリラがその上に座った際のタイヤのつぶれ方などの違いをリアルに再現してみせた。


もう1つ見逃せない新機能として、スクリプト言語“Python(パイソン)”のサポートが挙げられる。Mayaは元々、“MEL”(Maya Embedded Language)というスクリプト環境を備えていた。

しかし、ユーザーからより汎用性が高いスクリプト言語の採用を望む声が多く聞かれたため、米国で人気のオープンソーススクリプト言語“Python”に対応し、MELと同レベルのプログラミング環境を実現したという。


Mac用64bit版は“Leopard”以降

さてMayaといえば、元々はカナダのエイリアス システムズ(Alias systems Corp)が開発していた製品だ。2006年1月に米オートデスクがエイリアス システムズの買収を完了したのち、“Autodesk Maya”ブランドとして販売されるようになった。

ロブ・ホフマン氏

同社のプロダクトマーケティング担当上級マネージャー、ロブ・ホフマン氏によれば、買収から1年経過した現在でも「Mayaの開発体制は以前と変わっておらず、開発エンジニア達も従来通り」とのこと。

今後は、「サポートチームの増員や、『Autodesk 3ds Max』との連携を徐々に進めるといった強みを見せられるはずだ」と語ってくれた。

また、Mayaには無料の『Maya Personal Learning Edition』(MPLE)もあるが、これは現在、バージョン7のままだ(外部リンク)。ホフマン氏によれば、8.5ベースのMPLEも提供する予定だが、現在では時期などの詳細は決まっていないという。


ホフマン氏は、Mac OS Xにおける64bit対応にも言及した。Maya 8.5は、Windows版/Linux版において32bit/64bitの2つのバージョンのアプリケーションを用意しているが、Mac版は32bitのみとなっている。

ホフマン氏は64bit対応について、「次期Mac OS X“Leopard”の発売を待ってから対応を考える」と現時点での考えを示した。





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