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ヤフー、“第2回 Yahoo!JAPAN文学賞”を発表――“Yahoo!JAPAN賞”は『FUNFUNFUNを聴きながら』

2007年01月18日 23時31分更新

文● 編集部 若林健太

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ヤフー(株)は18日、“第2回 Yahoo!JAPAN文学賞”の受賞作品を発表した。“Yahoo!JAPAN賞”を受賞したのは、やまもとはるみ氏の『FUNFUNFUNを聴きながら』で、“選考委員特別賞”は白井愛子(しらい あいこ)氏の『エボリューション』。東京・港区のグランドハイアット東京で授賞式が開催された。

左からYahoo!JAPAN賞”を受賞したやまもとはるみ氏、“選考委員特別賞”の白井愛子氏、選考委員を務めた作家・阿部和重氏
“左からYahoo!JAPAN賞”を受賞したやまもとはるみ氏、“選考委員特別賞”の白井愛子氏、選考委員を務めた作家・阿部和重氏

Yahoo!JAPAN文学賞は、ヤフーのポータルサイト“Yahoo!JAPAN”、(株)パブリッシングリンク、(株)小学館が共催する文学賞。読者投票による“Yahoo!JAPAN賞”のほか、作家・阿部和重(あべ かずしげ)氏が選考する“選考委員特別賞”が設けられており、それぞれ1作品が選出される。インターネット経由でのみ応募を受け付けること、文字数が6000~8000字と短いこと、応募作品に対してテーマを設けること、最終審査を読者投票で行なうことといった特徴がある。

第2回となる今回のテーマは“メール”で、2006年8月16日~10月3日の間募集を行ない、1416作品の応募があった。そして事前審査により選出された5作品を対象とした読者投票が11月28日~12月20日に行なわれ、『FUNFUNFUNを聴きながら』が投票数4276票の中で最多の1476票を獲得、Yahoo!JAPAN文学賞を受賞した。同作品と選考委員特別賞の『エボリューション』は小学館の小説雑誌『きらら』2月号に掲載されるほか、Yahoo!JAPAN文学賞特集サイトで1月18日~2月16日の間、パブリッシングリンクの電子書籍配信サイト“Timebook Town”では2月2日~16日の間、無料で公開される。

授賞式には阿部氏のほか、ヤフー Yahoo!JAPAN編集長の影山 工(かげやま たくみ)氏、パブリッシングリンク 取締役社長の鈴木藤男(すずき ふじお)氏、小学館『きらら』編集長の稲垣伸寿(いながき しんじ)氏が出席した。

ヤフー Yahoo!JAPAN編集長の影山 工氏
ヤフー Yahoo!JAPAN編集長の影山 工氏

はじめに影山氏が登壇し、Yahoo!JAPAN文学賞の概要を説明した。その中で影山氏は同文学賞がテーマを設けていることについて触れ、「内部でも両論があった」と明かした。しかし前回の受賞者などにも意見を聞いた結果、最終的にはテーマを設定し、そのテーマを選考委員に決めてもらうことにしたと語った。そして「今後も第3回、第4回と続けて行き、才能を世に送り出す手助けをしたい」と、同文学賞に対する思いを語った。

パブリッシングリンク 取締役社長の鈴木藤男氏
パブリッシングリンク 取締役社長の鈴木藤男氏

次に鈴木氏が登壇し、挨拶を行なった。鈴木氏は受賞作品について、「ユーザーが自然発生的に『これがいい』と投票した結果であり、またプロの目で評価された、仕掛けがたっぷりの作品であったと思う」と述べ、受賞者を祝福した。

そして受賞作品の発表と表彰が行なわれた。Yahoo!JAPAN文学賞は影山氏が、選考委員特別賞は阿部氏がプレゼンターを務め、受賞者のやまもと氏と白井氏に賞状、賞金20万円などを手渡した。

受賞の喜びを語るやまもと氏
受賞の喜びを語るやまもと氏

やまもと氏は、ヤフーから読者投票の対象にノミネートされたという知らせのメールをもらったとき自分はひどく落ち込んでいたというエピソードを披露し、「そんなときにヤフーからのメールの着信音が鳴った。人を幸せにするメールって本当にあるんだと思った」と、同文学賞のテーマと絡めて喜びを語った。

白井氏は選考委員特別賞を受賞
白井氏は選考委員特別賞を受賞

白井氏は、「このような賞をいただけて大変光栄」と述べ、「知人のひとりに『主人公は男性だと思っていたのに、後に主人公が女性だと分かって驚いた』という感想をもらったが、私はそんなことを書いた覚えはなくて。当たり前のことだが、文章を書いて人に伝えるということは本当に難しいと思った」とコメントした。

選考委員を務めた阿部氏
選考委員を務めた阿部氏

選考委員特別賞のプレゼンターを務めた芥川賞作家の阿部氏は、同賞を受賞した『エボリューション』の選考理由について、「小説の形式を考え抜いて書かれた“形式性”に優れた作品。非常に難易度の高い試みに挑んでいると思い、その点を評価した」と解説した。『FUNFUNFUNを聴きながら』については、「僕の読み方では『もっと書ける部分があるのでは』と思ったが、読者の“共感性”を最も集めた作品なのだと思う」と述べた。そして「“形式性”と“共感性”の両方を同時に追求するのが世間で一番期待されている美しい小説の形なのではと思う。受賞者のみなさんにはそれを頭に置きながら今後もがんばってほしい」と語った。

また阿部氏は同文学賞のテーマを“メール”に決めた理由についても触れ、「誰でもというわけではないが、一般的に使われているものであり、かつ“Yahoo!JAPAN”に関連性があるものを選んだ」と説明した。

小学館『きらら』編集長の稲垣伸寿氏
小学館『きらら』編集長の稲垣伸寿氏

最後に稲垣氏が登壇し、「最近小説を書く人と読む人では、読む人の方が少ないのではと感じている。Yahoo!JAPAN文学賞には来年以降も続いていってもらい、読む人と書く人の差が縮まる一助になってほしいと思っている」と語り、式を締めくくった。

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