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アドビ システムズ、2006年度通期/第4四半期決算発表会で“Apollo”を説明

2007年01月17日 18時03分更新

文● 編集部 佐久間康仁

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アドビ システムズ(株)は17日、東京・恵比寿のウェスティンホテル東京にプレス関係者を集め、米アドビ システムズ(Adobe Systems)社の2006年会計年度通期(2005年12月3日から2006年12月1日)、および第4四半期(2006年9月2日から2006年12月1日)の決算発表と2007年度の事業戦略を説明した。この中で、今年後半に対応アプリケーションが登場予定のクロスプラットフォーム・ウェブアプリケーション環境“Apollo(アポロ)”についてもデモを交えた説明が行なわれた。

ギャレット・イルグ氏
代表取締役社長のギャレット・イルグ氏

決算と事業方針の説明では、日本法人の代表取締役社長のギャレット・イルグ(Garrett Ilg)氏が壇上に立ち、30%以上の高成長を記録した2006年度を振り返った。

Apolloのロゴシール
イルグ氏がデモに使ったノートパソコンには、Apolloのロゴシールがしっかり貼られていた

2006年会計年度通期決算

売上高
25億7500万ドル(約3090億円)(前年比31%増)
純利益(GAAP(国際的に公正妥当と認められた会計原則)に基づく算定)
5億440万ドル(約605億2800万円)(前年比約14%減)

2006年度第4四半期決算

売上高
6億8220万ドル(約818億6400万円)(前年同期比34%増)
純利益(GAAPに基づく算定)
1億8190万ドル(約218億2800万円)(前年同期比約16%増)

なお、これらの純利益の数字は2006年度に買収に関連した費用を含めたもので、これらを除く数字(Non-GAAP:一般的に公正妥当と認められた会計原則)では第4四半期が1億9700億ドル(約236億4000万円)(前年同期比約30%増)、2006年度通期が7億5254万ドル(約9030億480万円)(前年比31%増)になる、としている。

こうした好調な業績推移を受けて、2007年度は売上高30億ドル(約3600億円)、第1四半期は6億4000万~6億7000万ドル(約768億~804億円)と目標を掲げた。

米アドビ システムズの歴史 2007年以降に予想される環境の変化
創立から25年目を迎えた米アドビ システムズの歴史2007年以降に予想されるインターネットやドキュメント、ビジネス環境の変化

さらに、2007年中に国内市場に投入する新製品についても以下のような予定が明らかにされた。

クリエイティブ向け製品

Adobe Creative Suite次期バージョン(同 3)
上半期
Adobe Photoshop Lightroom製品版
第2四半期
Adobe Production Studio次期バージョン
下半期
Adobe Photoshop Elements次期バージョン
下半期
Adobe Premiere Elements次期バージョン
下半期

ナレッジワーカー向け

Adobe Acrobat 3D Version 8
第2四半期
Adobe Acrobat Elements
第2四半期
Adobe Acrobat Connect
第2四半期

開発者向け製品・環境

Apollo(開発コードネーム)
上半期
Adobe LiveCycle次期バージョン
上半期

モバイル向け製品

Adobe Flash Lite次期バージョン
2007年中

金融サービスのプランニングと
eBayオークションのデモでApolloを説明

Apolloのデモについては、同社プロダクト&セールスエンジニアリング部プロダクトスペシャリストの太田禎一氏が担当。昨年10月に米国ラスベガスで行なわれた開発者向けイベント“Adobe MAX 2007”でのデモと同様の内容が日本のプレス関係者に披露された。

太田禎一氏
Apolloのデモを行なった、プロダクト&セールスエンジニアリング部プロダクトスペシャリストの太田禎一氏

特に目新しい内容ではなかったが、

  • Apolloとは、アプリケーションそのものを差すのではなく、デスクトップアプリケーション実行環境(ランタイム)であること
  • HTML(Ajax含む)/Flash/PDFを融合して、1つの環境で実行できること
  • ウェブブラウザーの制約から開放され、ウェブアプリケーション開発のスキルがクロスプラットフォーム向けアプリの開発に生かせること
  • ユーザーにとってもウェブアプリケーションより操作性が向上し、オンライン/オフラインを意識させずに利便性が高まる(ローカルファイルへのアクセスや、変更内容のキャッシュへの保存→オンラインになると同時にサーバーにアップロードできる)こと

など、Apolloプラットフォームのメリットを強調した。

Apolloアプリケーションの構造
Apolloアプリケーションの構造。ユーザーは、最初にApollo実行環境をダウンロード/インストールすれば、その後はウェブアプリケーションと同様に利用できる。また、インターネット接続状態を検知するAPIを使って、オフラインではローカルにキャッシュするなどのアプリケーションの作り込みも可能になるという
金融サービスのApolloアプリケーション eBayのオークションアプリ
Apolloのデモとして紹介された、金融サービスのアプリケーション。利率の違うローンを選択・変更すると、支払い額や残額がリアルタイムに変更される同じくeBayのオークションアプリのデモ。このアプリはアドビではなく米eBay社のスタッフが作ったものだという

その上で、Apolloに向いたアプリケーションの実例として、

インターネットに接続していなかったり、断続的に接続するような利用形態でも使いたいアプリケーション
“グループウェア”“メールクライアント”“スケジューラー”
ウェブブラウザーの入力フォームや固定化されたキーアサイン(F5が再読込、BackSpaceが戻るなど)に束縛されると不便があるアプリケーション
“ブログライター(CMS投稿システム)”“プロモーション向けガジェット”
ローカルファイルとオンラインファイルを同時に活用したいアプリケーション
“ファイルアップローダー”“MP3プレーヤー”
ウェブブラウザーが起動していない場合でも、バックグラウンドで使いたいサービス/アプリケーション
“RSSリーダー”“メッセンジャー”

などを具体的に挙げた。なお、Apolloアプリケーションの開発環境として同社製品では『Flex Builder』『Flash』『Dreamweaver』などが対応予定としている(次期バージョン、もしくはアップデーターによって対応すると見られる)。

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