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“Papyrus”PW-TC900

“Papyrus”PW-TC900

2007年01月16日 15時43分更新

文● 編集部 佐久間康仁

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“Papyrus”PW-TC900

シャープ

オープンプライス
いい暮らしオンライン価格:5万3200円(5年延長保証込み)

辞書スタイル
ポケットサイズの電子辞書にワンセグ視聴機能を追加した“PAPYRUS”「PW-TC900」。写真はキーボード側に画面を開いた“辞書スタイル”。
アスキーとSHARP PC ONLiNEのコラボレーションサイト“SHARPいい暮らし on ASCII”
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パソコンユーザーの間では今、ちょっとしたワンセグブームになっている。USB接続やPCカードタイプのチューナーユニットを始め、小型ノートパソコンではワンセグチューナーを内蔵したモデルも数社から出てきており、ケータイと同程度の簡単なアンテナを伸ばせば自宅やオフィス、屋外での移動中にも、気軽にTV番組が視聴できるからだ。シャープの電子辞書“Papyrus(パピルス)”の最新モデル「PW-TC900」は、そのワンセグ視聴機能を取り込んだ同社の最新モデルである。



内ポケットにも入るスリムボディーで
連続5時間のワンセグ視聴が可能

テレビスタイル
画面を反転させてキーボードを裏側に回した“テレビスタイル”。机に置いて、パソコンで仕事し“ながら”視聴するには、このスタイルのほうが便利だ。

 ワンセグは今年4月に本放送が開始されて以来、携帯電話機を中心に視聴可能な端末が続々登場している。ワンセグの表示解像度は320×240ドット(4:3)もしくは320×180ドット(16:9)で、圧縮方式はH.264/AVC(MPEG-4)を採用。表示コマ数は毎秒15フレームで、平均ビットレートは約416kbps。従来のアナログ放送では垂直方向の走査線数が512本(インターレース)で毎秒約30フレームだったので、単純な比較はできないが、画像はやや粗くなるものの3~4インチクラスの小型画面で見るには十分な画質だ。

 さらに、デジタル放送なのでノイズやゴーストといった信号劣化は起こらず、電波を受信できる地域であればアナログ放送より快適に視聴できるというメリットがある。

 PW-TC900のワンセグ機能は、電源投入後であればキーボード右上の“辞書/テレビ”切り替えボタン1つで簡単に呼び出せる。起動は素早く、電源ボタンを押して1秒以内に辞書メニューが表示され、さらにワンセグへの切り替えも3~4秒程度で完了して、番組表示が始まる。

キーボード
PW-TC900のキーボード。右上の丸いボタンが辞書/テレビ切り替えボタン。キートップの幅は9mm、キーピッチは12mmで、両手で挟むように持って親指で打つだけでなく、慣れれば人差し指と中指などを使ってタイピングすることもできる。

 ワンセグのチャンネル切り替えは、キーボードの上下カーソルキーで行ない、視聴中は“メニュー”と“切替”、“音声大小”、“決定”、“戻る”ボタン以外は機能しなくなる。ちなみに切替ボタンは“ズーム”(全画面に拡大表示して字幕なし)と“標準”(中央上部に等倍で画面表示して、画面の下に字幕を表示)のモード切り替えを行なう。

前面と背面 左右側面
前面(上)と背面(下)。背面の二重ヒンジの左脇に、テレビモードでメニュー操作や選局、音量調整を行なうための5つのボタンが並ぶ。左サイドには縮めて収納が可能なロッドアンテナ(約130mm)が、右サイドにはSDカードスロット(写真ではカバーが閉じた状態)とステレオイヤホン出力端子、DC入力端子が並ぶ。

 メニューでは地域ごとの選局設定、ワンセグ起動時の表示モード設定、字幕表示の有無、一定時間が経過した後のオートオフ設定(10分/30分/60分/120分)、ワンセグ視聴時の画面の明るさ設定(5段階)などが設定できる。録画やEPG(電子番組表)表示、データ通信機能などは持たず、リアルタイム放送中のTV視聴のみ利用可能となっている。

天面 底面
樹脂製ながら光沢のある黒と銀の表面仕上げ、さらに手に持ったときの重量は高級感のある質感を醸し出している。底面にはリセットボタンと、ねじで固定されたリチウムイオンバッテリーが装着されている。バッテリー(EA-BL10)は交換可能で、オプション価格は1万500円。

 また、本機では液晶画面を反転させてキーボードを後ろに回した状態でTVを視聴する“テレビスタイル”(そのまま閉じれば手に持って視聴しやすい)にできるが、内蔵ステレオスピーカーはキーボード側ヒンジ部にあって反転しないため、単に画面を反転させるとステレオの左右出力音声が入れ替わってしまう。それを解消するために、メニューには“標準視聴スタイル”として“テレビスタイル”と“辞書スタイル”(キーボード側に画面を開いた状態)でステレオの左右を入れ替える機能が用意されている。細かいことだがうれしい配慮だ。

メニュー画面 明るさ調整
TVメニューの画面。バックライトの輝度を調整する“明るさ調整”画面では、参考にカラーバーと画像が表示される。屋外や暗い室内など周辺の明るさに応じて調整できる。

 このテレビスタイルの場合、選局や音量調整、電源のオンオフはヒンジ部のボタンで操作することになり、選局は順送りのみ。メニューは1ボタンで起動できるが、メニューの選択は選局ボタンで順送りして入れ替えた後に、ボリュームの+ボタンで決定する。カーソルキーで選択・決定できる辞書スタイルに比べると若干使いにくさを感じるが、ボタンの数を最小限にするにはやむを得ないところだろう。

 余談だが、辞書スタイルでもヒンジ背面にある各種ボタンは機能するが、画面を閉じた状態では自動的に電源がオフになり(辞書/TVいずれの場合も)、ヒンジ部の電源ボタンも機能しない。万一カバンやポケットの中でヒンジ部の電源ボタンが押されてしまっても、バッテリーをムダに消耗する心配はないわけだ。

標準視聴スタイル
ヒンジ部にあるステレオスピーカーの左右を入れ替える“標準視聴スタイル”の設定画面。

 実機を借りて、実際にワンセグを視聴してみたが、黒が引き締まった高輝度カラーASV液晶パネル(従来機種より輝度が40%向上したという)は非常に見やすい。放送中の多くの番組に字幕表示があるため、音声を切った状態で仕事の合間に“ながら視聴”するには標準モードが便利だった。またズーム表示に切り替えて全画面表示(480×272ドット)にしても、字幕などの輪郭部分に“二次元フィルタ”によるエッジ強調がかけられていて、小さな字幕でもつぶれることなく読み取れるのは驚きだ。

 TV視聴の連続駆動時間は、音量を中間(5)、画面の明るさを標準(3)にした状態で5時間経過した直後に、「電池残量が少なくなりました 充電してください」の警告メッセージが表示された。通勤や通学、移動中などにTVを楽しむ程度であればほぼ1日利用できるし、付属するACアダプターも幅47×奥行き57×高さ17mmとコンパクトなので、電源さえ取れる場所であれば本体と一緒に持ち歩くのも苦にならない。

辞書機能も充実

辞書メニューの画面
辞書メニューの画面。

 今回はワンセグ視聴をメインに評価したが、もちろん電子辞書としての機能も潤沢に揃っている。搭載辞書は国語大辞典の“スーパー大辞林”“逆引きスーパー大辞林”など5種類。英語は“OXFORD 現在英英辞典 第6版”や“ジーニアス英和辞典 第3版(音声付き)”、“英文ビジネスレター事典”など9種類。このほかに百科事典の“マイペディア”や“新 家庭の医学”“医者からもらった薬が分かる本 2006”、携帯ゲーム機などで流行している“脳を鍛える大人の計算ドリル”や“読めそうで読めない漢字(テスト付き)”“間違いことば500(テスト付き)”など、合計40コンテンツを収録している。

世界遺産 100選の画面 モンサンミシェルの写真
収録された辞書から、“世界遺産 100選”のフランス北部の“モンサンミシェル”を引いたところ。スーパー大辞林やマイペディアなど、一部辞書コンテンツでは写真やイラストが収録されている。写真は世界遺産 100選のモンサンミシェル。

 これらの辞書は切り替えて個別に利用するだけでなく、ひとつのキーワードで複数の辞書から意味を参照する“一括検索”が可能。さらに、一度引いたページを記録しておき、再度参照するときに素早く呼び出せる“しおり機能”も備えているので便利だ。

 また、右側面手前にSDメモリーカードスロットを内蔵し、辞書コンテンツを追加したり音楽(MP3形式)や静止画(JPEG形式)、電子ブック(XMDFまたはTEXT形式)などを読み込み再生表示が可能だ。


 電子辞書にワンセグなんて必要なの? 勉強や仕事の邪魔になるんじゃないの? と思う方もいるかもしれないが、本機は辞書コンテンツのラインナップなどを見ても主に社会人をターゲットにした製品と言える。最初に書いたとおり、ワンセグ視聴機能を持つケータイなどが数多く登場しているが、ケータイは通話・通信などにも日常的に使うだけに限られたバッテリーの取り合いになって、ワンセグ視聴は優先度を下げてしまう(どうしても見逃せない番組があるときだけTVを付ける)という利用者が多いのではないだろうか。その点、電子辞書との組み合わせであればさほどバッテリー残量を気にすることなく気軽にTVを視聴できる。

 価格はオープンプライスで、シャープの通販サイト“シャープいい暮らしストア”での販売価格は5万3200円(税込、5年延長保証込み)。家や職場では、ニュースなどをリアルタイム情報をチェックする小型TVとして日常的に使い、通勤の往復や移動中は携帯TVに、さらにビジネス文書の作成時や海外出張先でのとっさの英会話の手助けに電子辞書として、とマルチに活躍できる1台だ。

“PAPYRUS”PW-TC900の主なスペック
製品名 PW-TC900
液晶ディスプレー 4.3インチ高輝度カラーASV液晶パネル(480×272ドット/フルカラー表示)
TVチューナー ワンセグ(地上デジタル放送)受信
音楽再生機能 MP3形式(容量1GBまでのSDメモリーカード経由)
再生可能ビットレート:32k~192kbps
電子ブック再生機能 XMDF/TEXT形式
画像表示機能 JPEG形式
電源 専用リチウムイオン充電池(EA-BL10)、ACアダプター(付属)
駆動時間 辞書表示:連続約25時間(SDカード非装着、非入力)
TV表示:連続約5時間
インターフェース SDメモリーカードスロット(最大容量1GB)、イヤホン出力、DC入力
本体サイズ 幅約132.0×奥行き91.0×高さ22.5(最薄部19.9)mm
重量 約283g(充電池含む、SDカード含まず)

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