このページの本文へ

【2007 CES Vol.11】特設テントでVistaとパートナー企業製品の連携を披露するマイクロソフト

2007年01月10日 15時38分更新

文● 編集部 小西利明

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷
大きなVistaマークが掲げられた“Windows Vista Partner Pavilion”。中ではVistaとパートナー企業のソリューションを組み合わせた事例を紹介している
大きなVistaマークが掲げられた“Windows Vista Partner Pavilion”。中ではVistaとパートナー企業のソリューションを組み合わせた事例を紹介している

米マイクロソフト社は9日(現地時間)、米国ネバダ州ラスベガスにて開催中の“2007 International CES”会場内の特設テント“Windows Vista Partner Pavilion”にて、Windows Vistaの新機能とそれに対応するパートナー企業の製品を組み合わせて実現される体験についての報道関係者向け説明会を開催した。日本では未発表/未提供の製品やサービスが目白押しである。

ASCII24でもたびたび紹介しているように、Vistaには非常に多くの新機能が搭載されている。しかしそれらの新機能はOS単体だけなく、外部のパートナー企業による周辺機器やアプリケーション、オンラインサービスと組み合わさることで、真の力を発揮したり、より優れた体験を得られるというものが多い。特設テント内はそうした“新機能+パートナーソリューション”の組み合わせで実現される機能について、7つのテーマ別に紹介している。その中からいくつかを紹介しよう。

“TV&Movie”と題したコーナーでは、パートナー企業がWindows VistaのMedia Center機能(Vista Home PremiumおよびVista Ultimateに搭載)向けに提供している、映像コンテンツを主としたコンテンツ配信についてのデモを披露していた。日本市場ではWindows XP Media Center Edition(以下XP MCE)がほとんど売れていないため、Media Center向けのコンテンツ配信サービス“メディアオンライン”(米国ではSpotlight)もまだ寂しいが、XP MCEが一定の地歩を築いた米国では、さまざまなMedia Center向けコンテンツが登場している。

Sportsコンテンツにトップメニューから直接移動できるVistaのMedia Center。日本語版にはSportsはない 今日オンラインで放送されるの試合一覧。HD品質の映像も配信される
Sportsコンテンツにトップメニューから直接移動できるVistaのMedia Center。日本語版にはSportsはない今日オンラインで放送されるの試合一覧。HD品質の映像も配信される

VistaのMedia Center機能のトップメニューには、“Sports”のメニューが追加されていて、現在ストリーミング配信中のスポーツ中継を視聴したり、スポーツのジャンル(野球、アメフト、バスケットボール、アイスホッケー)ごとにお気に入りの選手の情報を見るといったコンテンツが楽しめる。米国ではスポーツが最大のキラーコンテンツであると言うが、Media Centerがスポーツコンテンツをある意味特別扱いしているのも、その現われだろう。

またMedia CenterでTVやビデオを見ている最中に、画面下にニュースのタイトルが表示される機能も披露された。注目すべきニュースがあれば、わざわざInternet Explorer 7を起動したりする必要なく、Media Centerのユーザーインターフェース(UI)上でニュースの文面を表示することができる。コンテンツを楽しむことを中断しないですむというわけだ。

Vistaの“Sideshow”機能に対応した液晶ディスプレー付きリモコンの見本も披露された。リモコン上の小さなカラー液晶ディスプレーに、対応ガジェットを表示することができる。

VistaのSideshow対応リモコンのリファレンスデザイン。Vista上で動くガジェットと連動して、情報をリモコン側に表示できる
VistaのSideshow対応リモコンのリファレンスデザイン。Vista上で動くガジェットと連動して、情報をリモコン側に表示できる

“Productivity”と題されたコーナーでは、7日に行なわれたビル・ゲイツ氏の基調講演で簡単に紹介された、米国東芝のタブレット機能付きノート『Portege R400』が披露された。本体部手前側に1行分のテキスト表示可能なSideshow用ディスプレーを搭載。また本体内に高速無線通信技術“UWB”に対応する通信機能を内蔵。オプションの“ワイヤレスドック”と組み合わせると、ノート本体とワイヤレスドック間をUWBでつないで、ドック経由で外部ディスプレーへの出力や周辺機器の操作が可能になる。

東芝ブースに展示されていた『Portege R400』。タブレットPCの機能、デュアルコアCPU、Sideshow機能(タッチパッドの手前側)など、最新の機能を盛り込んだ製品 R400を手に取り、Sideshowとなる液晶パネルを示す説明員。内蔵UWBを使ったワイヤレスドックとの接続も披露した
東芝ブースに展示されていた『Portege R400』。タブレットPCの機能、デュアルコアCPU、Sideshow機能(タッチパッドの手前側)など、最新の機能を盛り込んだ製品R400を手に取り、Sideshowとなる液晶パネルを示す説明員。内蔵UWBを使ったワイヤレスドックとの接続も披露した

そのほかにも、Vista対応の新しいマイクロソフト製ワイヤレスキーボード&マウスが披露された。Vistaの丸いWindowsマークに合わせたスタートボタンを備えたり、キーボードにマウス用充電スタンドを接続したりできる。

Vista対応の新しいワイヤレスキーボード&マウス。テンキーがない分コンパクトにまとまっている
Vista対応の新しいワイヤレスキーボード&マウス。テンキーがない分コンパクトにまとまっている

“Communication”のコーナーでは、米ヤフー社の新しい“Yahoo! Messenger”が披露された。これはVistaが備える新しい表示エンジン“Windows Presentation Foundation”(WPF)を利用して、見た目が派手になったインスタントメッセンジャーである。

WPFを使ったVista用“Yahoo! Messenger”。フレームの色を変えたり、ビデオウィンドウを複数開けるようだ
WPFを使ったVista用“Yahoo! Messenger”。フレームの色を変えたり、ビデオウィンドウを複数開けるようだ

WPFは現在のグラフィックスチップが持つ優れた3Dグラフィック機能を活用し、(ゲーム以外の)一般的なアプリケーションにも優れた視覚表現を実現するための基盤である。WPFの活用例は別のコーナーでも紹介された。衣料品の通販サイトでは、ユーザーが選択した色やデザインを持つ服の見本を、大きめの画像で分かりやすく表示して見せる。また米国の大手新聞“The New York Times”は、WPFを使ったオンライン版ニュースリーダー“Times Reader”では、ウィンドウのサイズに合わせて、テキストの配置が読みやすくなるように動的に変化する機能を備えている。

WPFを使ってリッチなグラフィックで構成された、衣料品通販サイトのデモ 同じくWPFを使ったニュースリーダー“Times Reader”のデモ。写真は全画面表示だが、ウィンドウ表示にしてサイズを変えると、それに合わせて表示の段組も変化する
WPFを使ってリッチなグラフィックで構成された、衣料品通販サイトのデモ同じくWPFを使ったニュースリーダー“Times Reader”のデモ。写真は全画面表示だが、ウィンドウ表示にしてサイズを変えると、それに合わせて表示の段組も変化する

このほかにも、“Music”のコーナーではVistaに標準搭載される“Windows Media Player 11”(WMP11)とオーディオプレーヤーの連携が、“Gaming”のコーナーではVistaが備えるDirect X10対応の最新ゲームや、Xbox 360との連携機能(LIVE on Windows)などが披露された。

WMP11に対応する米SONOS社の携帯オーディオプレーヤー“Sonos Digital Music System”。サイズはZuneより一回り大きい
WMP11に対応する米SONOS社の携帯オーディオプレーヤー“Sonos Digital Music System”。サイズはZuneより一回り大きい

Vista対応パソコンや周辺機器の中でも、特徴的な製品の展示が行なわれていた。前述のPortege R400同様に、ゲイツ氏の講演で言及された米ヒューレット・パッカード社のタッチパネル搭載液晶一体型パソコン“TouchSmart PC”や、ソニー(株)の薄い円柱型をしたリビング向けパソコン『VAIO VGX-TP1』、ドイツ Medion社のUMPCも展示されていた。いずれもVista搭載パソコンの中では、見た目の奇抜さで群を抜いたマシンと言えるだろう。

HPのタブレット機能搭載デスクトップ“TouchSmart PC”。指で触るため、画面が指紋だらけ 円筒形のお菓子の缶のようなデザインの『VAIO VGX-TP1』。日本では未発表だが、通例に従えば日本でも登場すると思われる
HPのタブレット機能搭載デスクトップ“TouchSmart PC”。指で触るため、画面が指紋だらけ円筒形のお菓子の缶のようなデザインの『VAIO VGX-TP1』。日本では未発表だが、通例に従えば日本でも登場すると思われる
液晶ディスプレーをスライドするとキーボードが現われる、独メディオンのUMPC。VAIO type Uよりはやや大きいくらいか
液晶ディスプレーをスライドするとキーボードが現われる、独メディオンのUMPC。VAIO type Uよりはやや大きいくらいか

番外編 マイクロソフトが配ったVista模様のプレスキットの中身は?

Partner Pavilionの隣りには、マイクロソフトが来場した報道関係者に応対するテントが設置されている。予約済みの報道関係者には、ここでVistaのマークが入ったプレスキットが配られていた。パッと見には「Vistaの製品版でも入っているんじゃないか?」と思わせるようなデザインだが、さにあらず(実際、手にして歩いていると「それVista?」と何度か聞かれた)。

マイクロソフトのプレステントでもらった謎のVista箱。一見するとVistaの製品版でも入っていそうだが、さすがにそれはない
マイクロソフトのプレステントでもらった謎のVista箱。一見するとVistaの製品版でも入っていそうだが、さすがにそれはない

中に入っているのは各種資料と共に、Vistaの高速化機能の1つ“Ready Boost”に使用できる2GBのUSBフラッシュメモリー、パソコン間で設定や個人情報をUSB接続経由で転送する“Easy Transfer Cable”といった、Vistaの機能を体験するのに使える小道具などであった。特に後者は、現時点では日本では入手がほぼ不可能のケーブルであり、この機能の実験をしたいと考えていた報道関係者には喜ばれていた。

箱の中身。プレスキットのほかに、USBメモリーが2本、米Belkin社のEasy Transfer Cable、Office Liveのお試しカード、Vista対応ゲームなどが入っていた。ある種の福袋?
箱の中身。プレスキットのほかに、USBメモリーが2本、米BELKIN社のEasy Transfer Cable、Office Liveのお試しカード、Vista対応ゲームなどが入っていた。ある種の福袋?

カテゴリートップへ

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン