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マイクロソフト、企業向けソフトウェア展開管理ツール“Microsoft Desktop Optimization Pack for Software Assurance”を1月1日より提供開始

2006年12月18日 16時53分更新

文● 編集部 小西利明

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MDOPの第1弾として提供される『Microsoft SoftGrid』のデモ。1つのクライアント上で、異なるバージョンのMicrosoft Wordが同時に動いている
MDOPの第1弾として提供される『Microsoft SoftGrid』のデモ。1つのクライアント上で、異なるバージョンのMicrosoft Wordが同時に動いている

マイクロソフト(株)は18日、企業や法人ユーザーを対象に、デスクトップアプリケーションの互換性などの問題に対応するソフトウェア群“Microsoft Desktop Optimization Pack for Software Assurance”(MDOP)を、2007年1月1日から提供開始すると発表した。第1弾のソフトウェアとして、アプリケーション仮想化ソフトウェア『Microsoft SoftGrid』を提供する。

同日、東京都内の本社にて開かれた記者説明会では、MDOPとSoftGridの概要についての説明が行なわれた。MDOPは4種類のソフトウェアで構成され、特に企業ユーザーがWindowsデスクトップをWindows Vistaに移行する際に、アプリケーション互換性の問題を解消するためのツールとして機能することで、Vistaへの迅速な移行を支援することを目的としている。同社Windows本部ビジネスWindows製品部部長の中川 哲氏は、企業ユーザーによるWindows XPの導入割合が全体の50%を超えるまでに3年あまりかかったという事例を述べ、移行に際しての大きな課題のひとつである“既存アプリケーションの互換性保持の困難さ”を解消することで、Vistaへの移行をスムーズに行ないたいとした。

MDOPは以下の4種類のソフトウェアで構成される。いずれに同社が2006年中に買収した企業が保有していた技術である。1月1日から提供開始されるのはSoftGridだけで、それ以外の提供スケジュールは2007年5月頃を目標としている。提供方法は、同社のボリュームライセンスプログラムで提供されるソフトウェアアシュアランスを所有するユーザーが、サブスクリプションライセンスとして購入できるとしている。対象となるボリュームライセンスは、Open Value、Select、Enterprise Agreement、Enterprise Agreement Subscription、Campus & School。価格はSelect License(Level B)の場合、年間1200円。

訂正:掲載当初、“価格はSelect License(Level A)の場合”と記載していましたが、同社より訂正があり、正しくは“Select License(Level B)の場合”でした。ここに訂正いたします。(2006年12月20日)
Microsoft SoftGrid
アプリケーション仮想化ソフトウェア。個々のクライアントにアプリケーションをインストールすることなく、実行時にサーバーから配布することで、展開や管理の集中化、異なるバージョンのアプリケーションの混在を可能とする。
Microsoft Asset Inventory Services
企業内のクライアント上で動作するすべてのプログラムの状態を把握。インベントリー管理を可能とする。
Microsoft Advanced Group Policy Management
運用管理システムのルール“グループポリシーオブジェクト”(GPO)に準拠したグループポリシー設定を強化し、特定作業の管理権限を、役職や役割に応じて割り当てる。
Microsoft Diagnostic and Recovery Toolset
クライアント上で発生したトラブルの原因究明、データ復旧、故障解析による停止の予防などを行なう。

1月1日から提供されるSoftGridは、同社が買収した米Softricity社が開発したソフトウェアである。アプリケーション仮想化ソフトウェアとは聞き慣れない言葉であるが、単純に言えば、1台のクライアントパソコン上では通常同時にインストールや実行ができないアプリケーション(たとえばExcel 2002と2003、2007など)を、独自の仮想化環境上で同時に動作させるためのソフトウェアである。通常の場合、アプリケーションをインストールする際に構築される実行ファイルやプラグイン、またレジストリー設定や.iniファイルなど必要な要素を、サーバー側ソフト“SoftGrid Sequencer”でパッケージ化して保管。クライアント上でそれぞれのアプリケーションが実行(例えばアプリケーションへのショートカットアイコンのダブルクリック)されると、サーバーからパッケージ化仮想アプリケーションを配信して、クライアント上で実行させる。

SoftGridのアプリケーション仮想化のイメージ。アプリケーションの実行ファイルや関連情報をまとめてパッケージ化し、必要に応じて配信する SoftGrid環境の構成。“SoftGrid Sequencer”でアプリケーションをパッケージ化しておき、クライアント側SoftGridからの要求に応じて配信するのが基本となる
SoftGridのアプリケーション仮想化のイメージ。アプリケーションの実行ファイルや関連情報をまとめてパッケージ化し、必要に応じて配信するSoftGrid環境の構成。“SoftGrid Sequencer”でアプリケーションをパッケージ化しておき、クライアント側SoftGridからの要求に応じて配信するのが基本となる

アプリケーションが実行されるのは、あくまでもクライアント上であり、リモートデスクトップのように、サーバー上で動作するアプリケーションをクライアント側で操作・表示するものとは異なる。また各ユーザーごとに変更したアプリケーション設定を、保存しておくことも可能だ。

1月1日から配布されるSoftGridはWindows XP用の英語版であるが、日本語版上での動作や日本語アプリケーションの動作も保証されている。気になるのはWindows Vistaへの対応だが、英語版Vistaに対応するSoftGrid英語版が2007年第3四半期予定、日本語版Vista上で動作する日本語化されたSoftGridの提供は2007~2008年と、かなり後になってしまう予定となっている。英語版Vista用もおそらく、日本語版Vista上で動作するとのことだが、早期の正式な動作保証か対応版のリリースが望まれる。

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