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FOMA Dシリーズの三洋GS製電池パック130万個に不具合――現行機の販売再開は1月末以降に

2006年12月07日 21時19分更新

文● 編集部 橋本 優

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(株)エヌ・ティ・ティ・ドコモと三菱電機(株)は7日、FOMA携帯電話機『D902i』に付属する電池パックの不具合について、都内で会見を行なった。概要は既報の通りだが、ここではその詳細をお伝えする。

ユーザーに向け、謝罪をする出席者
ユーザーに向け、謝罪をする出席者たち
伊藤善文氏と石川国雄氏
詳細説明を行なう三菱電機執行役副社長の伊藤善文氏(左)とNTTドコモ代表取締役副社長の石川国雄氏(右)

問題の電池パックは、今年の5月以前に製造されたD902i/D902iS/D903i用の『D06』という製品で、今年5月以降に製造されたものについては不具合が解消されている。D902iSやD903iは5月以降に発売された機種であるため、付属の電池パックに不具合品が含まれる可能性は少ないという、ただし販売店によっては予備のバッテリーとして対策前の電池パックを販売しているケースも考えられるため、両社は上記3機種のユーザーは電池パックを確認してほしい、と呼びかけている。

なお、確認方法は電池上部に記載された3桁のアルファベットを見ることで行なえる。アルファベットが“OKA”“OLA”“PAA”“PBA”“PCA”“PDA”“PEA”の場合は該当製品となり、NTTドコモに連絡(固定電話からは0120-800-000、ドコモの携帯電話機からは151、または113をダイヤル)するか、ドコモショップに持ち込むことで対策済みの電池と交換できる。なお対象製品は約130万個だという。

不具合が発生する流れの説明図
不具合が発生する流れの説明図
図その1 図その2
不具合のメカニズムの図解説明

この電池パックの製造は、三菱電機ではなく、三洋電機(株)のグループ企業である三洋ジーエスソフトエナジー(株)(以下、三洋GS)が担当していた。不具合の原因は、製造工程において負極板に変形が発生したこと。放充電を繰り返すと電池が膨張/縮小し、負極板を包んでいる絶縁シートが損傷する。この状態で外部からキズやへこみが付く程度の衝撃が加わると内部で短絡が発生し、異常発熱や破裂を引き起こすという。この場合、内部の温度は500度に達するという。

対策後の構造
対策後の構造
保護テープを巻くことで、外圧がかかっても短絡が起きないようにした
保護テープを巻くことで、外圧がかかっても短絡が起きないようにした

今年の5月からは負極板が変形しないように製造工程を変更した。さらに電池ケースの下にサイド保護テープを巻くことで、絶縁シートと合わせて2重の絶縁を施したという。

電池パックの発熱事例
電池パックの発熱事例

両社は会見で、今回の不具合が原因と思われる破裂事故が1件あったことを報告。また調査中の事例が7件、過度の衝撃が原因と思われる事例が10件あることも明らかにした。その中には軽いやけどを負った人が1名、絨毯や机などが焦げたという人が数名いたという。

さらに今年5月以前にも異常発熱の事例が数件あり、対策を施すきっかけとなったことを明かした。ただし、その時点では破裂など事例がなく、発熱も70度以下だったため全面的な回収という判断には至らず、製造工程の対策だけで済ませていた。

三洋GSは、富士通(株)、日本電気(株)、パナソニック・モバイル・コミュニケーションズ(株)、ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ(株)、米モトローラ(Motorola)社の製造するFOMA携帯電話機の一部機種に電池パックをOEM供給している。これらについてはNTTドコモが三洋GSに調査を依頼し、その結果「問題ない」との回答を得ているという。ちなみに今回の会見には三洋GS関係者は同席しなかった。

両社は電池パックの回収・交換を最優先するため、本日からD902i、D902iS、D903iの販売を一時見合わせる。交換用電池パックは来年1月末までには準備できる予定で、再販はそれ以降になる見込み。なお、2007年に販売を予定しているワンセグケータイ『D903iTV』については、2月以降の販売を予定しており、今回の措置による発売の遅れはないとしている。

そのほか、今回の措置による損失や、NTTドコモと三菱電機との負担の分担、三洋GSの責任などについては「現在協議中」とのことで未定となっている。

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