このページの本文へ

WS008HA

出先でも料金定額を実現! Expressカード対応のデータ通信カード

2006年12月01日 20時05分更新

文● 編集部 広田稔

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

(株)ハギワラシスコムが10月18日に発表し、(株)ウィルコムから16日に発売されたExpress/34対応のPHSデータ通信カード『WS008HA』。

Macでは、プロ向けノートの『MacBook Pro』がExpress/34カードスロットを備えているが、今まで対応製品がほとんどなかったため、正直バリバリ活用しているという人はあまり多くなかっただろう。

WS008HAの登場はそうした状況を変える1つのきっかけになるかもしれない。実機を入手できたので、早速インプレッションをまとめていこう。

WS008HA
『WS008HA』
W-SIM 差したところ
W-SIMは本体の“頭”の部分から抜き差しできるMacBook Proに差すと約4cmくらい本体が飛び出す

まず、WS008HAの特徴をおさらいしておこう。

  • Express/34に対応した初のPHSデータ通信カード
  • ウィルコムのSIMカード“W-SIM”を採用
  • 4xパケット通信(128kbps)に対応
  • 12月中旬に発売予定の高度化PHS通信規格“W-OAM”のW-SIMを別途購入することで、最大204kbpsでのデータ通信が可能
  • 256MBのフラッシュメモリーを内蔵し、ユーザーが約200MBを使える
  • CD-ROMなしで、フラッシュメモリーからドライバー類をインストールできる
サイズ比較 厚さ比較
iPod nano、セイコーインスツル(株)のコンパクトフラッシュ型データ通信カード“AX420S”とサイズを比較したところ。iPod nanoより細身でやや長い。厚さはどれもほぼ同じだ

4cmのはみ出しが気になる……

PHSデータ通信は、何といっても“出先でも料金定額”を実現できるのが強みになる。携帯電話機を介してMacでデータ通信することも可能だが、今のところどの携帯電話キャリアからもPC向けデータ定額サービスは登場していない。ウィルコムの定額プランを使えば、通信料金を気にせずインターネットにつなげるというわけだ。

従来、MacBook ProでPHSデータ通信を利用しようとすると、USB接続の(株)ネットインデックス製『WS002IN』を使うか、PCカード型端末と(株)アイ・オー・データ機器の『USB2-PCADPG』(参考リンク)のようなPCカード/USB変換アダプターを併用する必要があった。

しかし、USBでつなぐ場合は、USBポートを1つ占有してしまうという難点がある。15インチMacBook ProのUSB端子は2基のみなので、そのうち1つをふさがれてしまったら、出先でマウスとUSBメモリースティックを同時につなげないなんて事態も起こりうるわけだ。

そこで役立つのがExpressカードタイプの通信カードになる。ただしWS008HAを初めて触った印象では、本体がMacBook Proから若干飛び出ていると感じた。カードをMacBook Proに差しっぱなしのままあちこち持ち運ぶには、ちょっと危なっかしいかもしれない。


“ドライバー入り”でセットアップは楽々

使ってみてまず便利に感じたのが、本体内蔵のフラッシュメモリーに、ドライバーやソフトが含まれているという点。買ってきて本体を差すだけで、すぐにセットアップを始められる。

MacBook Proを買い替えたり、OSを再インストールしたときに、ドライバーのCD-ROMを無くして困るなんてことも起こらない。ソフトのインストールや設定自体も、画面の指示に従っていくだけで簡単だ。

ちなみにこのメモリーの中には、Mac用のソフトとしてウェブブラウザー『FireFox』、メールソフト『Thunderbird』、ウィルス対策ソフト『ウィルスバリアX4』が含まれている。

2つのボリュームがマウントされる
カードを差すとドライバーやソフトを含む“WS008HA”と、ユーザーがデータを読み書きできる“REMOVABLE”という2つのボリュームがマウントされる
Easy Setup Tool プロバイダーの設定
セットアップツールの『Easy Setup Tool』。ドライバーのインストールやプロバイダーの設定などを行なう

WS008HAの本体には電波状態と通信モードを表す2つのランプがついているが、より詳しい電波感度を調べたければ付属のカードユティリティーを使えばいい。

ユーティリティ
“WS008HA Card Utility”を使えば、受信感度のレベルを調べられる
ネットワーク環境メニュー モデムの接続/接続解除
セットアップツールを使って初期設定を済ますと、ウィルコム用のネットワーク環境が新たに作られる。無線LANなどと切り替えて使うときは、アップルメニューの“ネットワーク環境”メニューを使えばいい(左図)。このメニューでネットワークを切り替えて、メニューバーのモデムからPHSデータ通信をオン/オフする(右図)



PHSのデータ通信速度はどれくらい?

WS008HAを使ったデータ通信の最大速度は、4xパケット方式の下り128kbps。数十Mbpsのブロードバンドに慣れ切っていると遅く感じるかもしれない。

例えば、旧MacBook Pro-2.0GHzを使い、『Safari』のキャッシュを空にして“ASCII24”のトップページにアクセスしたところ、すべて表示するのにかかった時間は4xパケットで51秒ほど、2xパケットでは1分26秒ほどだった。

また、アップルコンピュータ(株)のウェブページで配布されているディスクイメージファイル『MacBook Pro EFI ファームウェア・アップデート 1.2』(2.7MB)をダウンロードするのにかかった時間は、4xパケットで5分11秒ほど、2xパケットで7分11秒ほど。ちなみにアスキー社内の無線LAN(IEEE 802.11g)では4秒だった。

計測地点は九段下のアスキー社内で、時間帯は17~19時だ。もちろん基地局の数や接続人数、電波状況などによってデータ通信速度は変わるので、参考程度に見てほしい。

4xパケット方式のスクリーンキャンプチャー 2xパケット方式のスクリーンキャンプチャー
4xパケット方式の通信時2xパケット方式の通信時

速度を少しでもアップさせたいなら、前述したW-OAMのSIMカードを用意するか、有料の“AIREDGE MEGA PLUS”オプションを使う方法がある。後者はウィルコムが「送信プロトコルの最適化や画像ファイルの圧縮を行なうことで、ウェブブラウズやメール送受信の体感速度を最大500%まで高速化させる」とうたうサービスで、2x/4xパケット方式では月額500円で利用できる。

PHSデータ通信の魅力は何といっても、出先で気兼ねなく使えるというところにある。サイズの大きなファイルを受け取るときは公衆無線LANサービスを利用するなどの工夫で、より快適な“お出かけネット生活”が送れるだろう。

MEGA PLUS
セットアップツールでも“MEGA PLUS”サービスの選択画面が現われる


カテゴリートップへ

ASCII.jp RSS2.0 配信中