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【Nokia Worldレポート Vol.1】ノキアCEOなどが講演――「モビリティーとインターネットの統合をリードする」

2006年11月30日 22時13分更新

文● 安藤 怜

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フィンランドのノキア(Nokia)社は現地時間の29日と30日、オランダのアムステルダムにてノキア製品のユーザーおよびプレス向けのイベント“Nokia World”(ノキア・ワールド)を開催した。同社のプライベート・イベントとしては10回目ということもあり、世界中から約2300人の携帯電話業界関係者と、約300人の報道関係者が出席した。

会場風景
“Nokia World”の会場は、オランダ・アムステルダム郊外にある“RAI Congress Centre”。会場に着いたのは午前8時過ぎだったが、北欧の朝は遅く、ようやく夜が明けたところだった

開催初日の29日には、オリペッカ・カラスブオ(Olli-Pekka Kallasvuo)社長兼CEO(最高経営責任者)、テロ・オヤンペラ(Tero Ojanpera)上級副社長兼CTO(最高技術責任者)などが講演を行なった。

ノキアはモビリティーとインターネットの統合をリードする

オリペッカ・カラスブオ社長兼CEO
オリペッカ・カラスブオ社長兼CEO

オリペッカ氏は、まずIT業界に変革をもたらしつつある2つの要素として「モビリティー(携帯性)」と「インターネット」を挙げた。そして「ノキアはこの2つを統合できる企業である」ことを強調した。

同氏は「携帯電話業界もインターネットも、まだ成長の余地がある」としていくつかのデータをあげた。まず「現在、インターネットにアクセスできるのは、世界の人口の半分以下に過ぎない。また、2006年末時点では世界の人口の約41%が携帯電話機を利用しているに過ぎない」という。

世界の携帯電話ユーザー数
世界の携帯電話ユーザー数は、2008年末に30億人、2010年末に40億人に達する、という予測を示した

そして同氏は、世界の携帯電話ユーザー数は「2008年末に30億人、2010年末に40億人に達する」という予測を示した。これは「毎日130万人、1秒ごとに15人が、新たに携帯電話ユーザーになる」という驚くべきペースである。そして、携帯電話機の買い換え需要も増えており「2006年では、世界の携帯電話機の65%が買い換えによるもので、これが2010年には80%に達する」という。

さらに「すでに5億人を超える人々は、生まれて初めて電話をかけるという体験が、携帯電話機からとなっている。同じように初めてインターネットにアクセスするのが、パソコンからではなく携帯電話機から、という人も急速に増えつつある」とし、「18歳から24歳の世代では、36%が携帯電話機からインターネットにアクセスしている」という。ノキアでは、インターネットユーザー向けにHSPDAや無線LAN、IP電話に対応した携帯電話機を発売しているが「2008年にはWiMAX(IEEE 802.16a)対応の携帯電話機を発売する予定」だとしている。

今後は、モバイルテレビ、GPS、音楽ダウンロード、短距離無線規格である“NFC”(Near Field Communication)や低電力の短距離無線技術“Wibree”(ワイブリー)などが重要となってくる。そして、その技術を支えるのが英シンビアン社の“Symbian OS”を搭載したスマートフォンであると語った同氏。ノキアはSymbain OS向けのユーザー・インターフェースである“S60”のライセンス供与を行なっている。このS60を含む、Symbian OS搭載のスマートフォンは、「世界で販売されたスマートフォンの70%を占めている」という。また「2010年末に、Symbian OSを搭載したスマートフォンは2億5000万台に達する」という見通しを示した。ノキアでは、Symbian OS向けアプリケーションのデベロッパーを支援する“Forum Nokia”を組織しており、230ヵ国、250万人のデベロッパーが参加している。

同氏は、「ノキアが、モビリティーとインターネットの統合をリードできることに、大きな期待を寄せている」と講演を締めくくった。

2007年にはスマートフォンの販売台数がノートパソコンを上回る

テロ・オヤンペラ上級副社長兼CTO
テロ・オヤンペラ(Tero Ojanpera)上級副社長兼CTO

続いて登場したテロ・オヤンペラ氏は、オリペッカ・カラスブオ氏の講演を補足する形で、今後の携帯電話における技術革新についての講演を行なった。

スマートフォンの成長予想
2007年にはスマートフォンの販売台数はノートパソコンを上回るという

まず、2010年に携帯電話ユーザーが40億人に達するという前提で、2007年にはスマートフォンの販売台数はノートパソコンを上回るだろうとした。

今後携帯電話に付加されるであろう機能
携帯電話機の機能はより高度になる

また携帯電話の機能はより高度になり、2010年には音楽の再生は連続して100時間を超えることができ、また3Dのシネマサラウンドも楽しめるようになるという予想を語った。カメラは1000万画素のセンサーに光学7倍ズーム機能が搭載され、HD品質のビデオも撮影できるようになるという。ディスプレーもVGAが標準となり、3D再生や画像のプロジェクションも行なえるようになる。ストレージの容量も50GBから100GBが標準となるとした。

ネットワーク技術の成長予想図
ネットワークのキャパシティも向上する

携帯電話機の機能向上とともに、ネットワークのキャパシティも向上する。現在のW-CDMAやHSDPAから、2007年に“I-HSPA”(Internet-High Speed Packet Access Solution)、2008年に“HSUPA”(High-Speed Uplink Packet Access)、2009年には“LTE”(Long Term Evolution)と、除々に新しい技術が実用化されていく。これにより、ネットワークへの投資コストも低減していくという。

今後期待される新しいサービス
今後期待される新しいサービス

携帯電話を利用した新しいサービスとしては、GPSを利用した位置情報サービスや、コンテキストベースの検索エンジン、モバイルテレビやインターネットテレビ、NFCを利用したチケットの予約や販売、Wibreeを利用したサービスなどの登場が期待されるという。

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