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“Photoshop world 2006”が開幕──海賊姿のラッセル・ブラウンがPhotoshop CS3の新機能を紹介!!

2006年11月28日 23時49分更新

文● 編集部 広田稔

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“Photoshop world conference & expo 2006 BIG DEBAT”

NAPPJ(株)と(株)玄光社が主催するイベント“Photoshop world conference & expo 2006 BIG DEBAT (フォトショップ・ワールド・カンファレンス&エキスポ 2006 ビッグデバ)”が28日、東京流通センターにて開幕した。会期は29日までの2日間。

フォトレタッチソフトの代表格である『Adobe Photoshop』を中心に、画像処理技術をレクチャーするためのユーザーイベントで、日本では昨年に次いで2回目の開催となる。

イベントではクリエイターらによる29以上のセッションが開かれるほか、アドビ システムズ(株)、ワコム(株)、(株)ナナオ、(株)モリサワといった25以上の企業が出展するエキスポ会場も用意された。今回は、28日の最初に行なわれた基調講演の様子をダイジェストでお届けしよう。




ついにLightroomにもゴミ取り機能が!!

基調講演ではまず、米アドビシステムズ社のクリエイティブソリューションズ ビジネスユニット シニアバイスプレジデント、ジョン・ロイアカノ(John Loiacono)氏が登壇し、「Photoshop Worldはワールドワイドで展開しているイベントの一環という位置づけで、米国では東と西の海岸で行なっている」とその規模の大きさをアピールした。

ちなみにこのロイアカノ氏は、米サン・マイクロシステムズ社に20年勤めてきた人物(参考記事)。今年3月に前社のソフトウェア担当エグゼクティブ・バイスプレジデントを辞して、アドビ システムズに移ってきた。この経歴についても「いままでエンタープライズ側にいた人間だが、今はコンシューマー側でPhotoshop担当チームの責任者を務めている」とコメントしていた。

ロイアカノ氏はマクロメディア買収後のアドビシステムズについて、「従来通りのクリエイティブプロの分野に加えて、エンタープライズやウェブの領域にまで製品を展開するようになり、製品ポートフォリオの完成度が高まってきた」と語っている。

また、10月19日に日本語版ベータ4の配布が始まった写真管理ソフト『Adobe Lightroom』についても、すでに「50万件以上のダウンロードがあった」と触れ、バブリックベータでは公開していない機能も含めて以下のデモを披露した。

  • 写真の一部をマウスでクリックし、その場でドラッグするだけで指定した色をすぐに調整できる色補正の機能。マウスドラッグと同時に、対応する色のスライダーやヒストグラムも動く
  • キーワードを入力し、スタンプを押すような感覚でライブラリの写真をクリックしていくと、次々と写真にタグが付けられる“キーワードスタンパ”
  • Photoshopに備わっている“Clone(コピースタンプツール)”や“Heal(修復ブラシツール)”といったゴミ取りに使う補正系の機能。デモではブラシサイズを指定し、芝生の中にあるベンチをクリックで消して芝生のみの写真に補正して見せた


Photoshop CS3の起動はわずか5秒!

ここで次期Photoshop『Adobe Photoshop CS3』を紹介するため、初代Photoshopの開発者で、米アドビシステムズのシニアクリエイティブディレクターのラッセル・ブラウン(Russell Brown)氏が海賊のコスチュームで舞台に現れた。

前年のPhotoshop worldではボクサー姿で登場していたブラウン氏だが、今年は映画“パイレーツ・オブ・カリビアン”に出てくる海賊の“キャプテン・ジャック・スパロウ”を模して“キャプテン・ラッセル・スパロウ”を名乗っていた。さらに講演中、しばしば「アルルルルル……」とジョニー・デップをまねた叫び声を上げて、会場の笑いを誘っていた。

ラッセル氏&ロイアカノ氏
左がラッセル・ブラウン氏、右がジョン・ロイアカノ氏 (撮影/荻窪 圭)

ブラウン氏やロイアカノ氏によって明かされたPhotoshop CS3の新要素は以下のとおりだ。

  • 起動時間の短縮。デモ機の『MacBook Pro』では5秒ほどだった
  • 新しいインターフェースの採用。パレットを画面端にドラッグ&ドロップすると自動でスナップして整理される様子などがデモされた
  • 非破壊編集で写真にフィルターを適用できる“スマートフィルタ”機能。ひとつの親レイヤーに対して、フィルターを子レイヤーとして追加していくので、複数フィルターも扱える
  • 静止画を組み合わせて動画を作成/編集するモーショングラフィックス機能の追加。港の写真の中を、海賊船の写真が進んでいく様子がデモされた

ロイアカノ氏によれば、Photoshop CS3を含む『Adobe Creative Suite 3』は来年春あたりに米国でお披露目されるという。



ラッセル・ブラウンはビールが大好物!?

基調講演に続いて行なわれたのは、ブラウン氏がPhotoshopのとっておきのTipsを紹介する“Russell Brown Show .1”だ。再び会場に姿を現わしたブラウン氏の衣装は“ドクター”に変わっていた。

Dr.ブラウン
ファンキーな姿の“ドクター・ブラウン”として再登場し、スゴ腕のTipsを伝授。そのギャップと巧みな話術に聴衆はメロメロか!? (撮影/荻窪 圭)
ポッドキャスト
ブラウン氏のポッドキャスト“THE RUSSELL BROWN SHOW”

冒頭で紹介されたのがアップルコンピュータ(株)の音楽配信サービス“iTunes Store”を経由して無料で入手できるブラウン氏のポッドキャスト“THE RUSSELL BRPWN SHOW”(iTunes StoreのURL)だ。

この番組は、デスクトップのムービーキャプチャーと、音声によるブラウン氏の解説、その解説の日本語字幕のセットでPhotoshopのTipsを学べるというもの。ブラウン氏は「今夜、帰ったらぜひカスタマーレビュー欄に“スゴイ”とか“イチバン”とか書いてほしい」と聴衆に呼びかけて、会場を盛り上げていた。

またこの講演は、文字ツール関連のTipsを全部で18個紹介する予定だった。ブラウン氏が「ロイアカノ氏から、16個のTipsを紹介できなかったら“今日はメシなし、ビールなしだ”と業務命令を受けているんだよ」とジョークを飛ばすと、会場は爆笑の渦に包まれた。

Tipsを紹介しながらも「ビールは飲むなって言われたけど、サケは飲むなとは言われてないよね?」とか「ビールをゲットするために集中しなければ」とか「メディアに“ラッセルブラウンはビールのことしか考えてなかった”なんて書かれちゃうよ」などと小ネタをはさんで、聴衆を飽きさせない。

以下、ブラウン氏が解説したTipsの一部を掲載しよう。



【フォントを素早く切り替える】

その1 その2 その3
文字ツールを選んで、テキストファミリーの選択メニューをクリック。矢印キーの上下(または左右)でフォントを素早く切り替えられる

【文字にドラッグで長体をかける】

長体その1 長体その2
文字パレット上のアイコンにカーソルを置くと、指+矢印の形にカーソルが変わるのをご存知だろうか? このアイコンをクリックし、左右(または上下)にドラッグすることで入力値を変えられるのだ

【グラフィックデザインっぽい文字の加工】

文字を書く ぼかしをかける
文字ツールでテキストを入力。ここではフォントサイズを120ポイントに指定したフィルターの“ぼかし(ガウス)”を適用して文字をぼかす。ここでは半径5.0ピクセルに指定した
カラーハーフトーン
レイヤーを結合し、フィルターの“ピクセレート”から“カラーハーフトーン”を指定。チャンネル1~4の角度をすべて45度と入力する。ここでは最大半径を4ピクセルにしたグラフィックデザインなどでよく見かける、点で描画した文字の出来上がり!

ちなみに講演では、用意したTipsがひとつうまく動かないこともあって16個以上は紹介できなかったが、最後にスタッフからバドワイザーをプレゼントされると「オウ!! ビール!!」と大はしゃぎ。その際も「これはビールじゃない。サッポロがいい」と日本人へのリップサービスを忘れない。聴衆の心を引きつけるブラウン氏の講演は、機会があったらぜひ“生”で体験してみてほしい。



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