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ウワサのiPod対応“BMW”に乗ってみた──iDriveコントローラーの触感に感動!!

2006年11月25日 19時31分更新

文● 編集部 広田稔

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ある日、ASCII24編集部にアップルコンピュータ(株)広報のT氏から一本の電話が入った。


[T氏] 「今度、BMWに乗ってみません?」
[広田] 「びーえむだぶりゅー!? って車のアレですか?」
[T氏] 「BMWには全車種、iPodを接続できるオプションが用意されているんです。ぜひその使い心地を確かめてみませんか?」
[広田] 「ナルホド、そういう話ならぜひとも!!」

……と2つ返事で受けてしまったレビューだが、何を隠そう私は、車に関してそこまで詳しくない。そんな私にBMWを与えてレビューが務まるのだろうかと考える一方、アスキー社内の車好きにも感想を聞いてみようと目論んで、アップルに車を取りに行ってみた。

330i
試乗したのはHi-Lineパッケージが適用された『BMW 330i』だ

史上最高額!?のiPod“周辺機器”

BMWといえば、ご存知、ポルシェやフェラーリなどと並ぶ高級外車。ちなみにBMWとは“Bayerische Motoren Werke AG”の略で、意味は“バイエルンのエンジン製造会社”である。そのBMWが手掛ける純正のiPod接続オプションといえば、期待しないわけがない。

車に詳しい人には周知の事実だろうが、BMWにはセダンなどの車種を用意したスタンダードな1/3/5/6/7シリーズ、クーペやカブリオレを中心としたスポーティーな“M”モデルや“Z4”、SAV(スポーツ・アクティビティー・ビーグル)の“X3”“X5”──といったラインアップが用意されている。

iPod接続キットは実は2005年3月に一度発売されており、このときは前3シリーズ、Z4、X3、MINIのシリーズに対応していたが、さらにこの10月に新たな接続キットを追加(参考PDF)。1/3/5/6/7シリーズへの対応を果たした。

接続キットは、専用インターフェースケーブル、車用ケーブル、iPod用ケーブルで構成されている。対応iPodは第4/第5世代iPod(photo)、iPod mini、iPod nano。価格は以下のとおり。

対応シリーズ 価格
1/3/5(CDチェンジャー非搭載)/7シリーズ 5万1450円
5(CDチェンジャー搭載)/6シリーズ 4万9350円

今回、試乗してみたのは3シリーズの『BMW 330i』。オプションも含めた価格は約736万円だ。一般車と比較すると明らかに高級な部類だが、詳しい人に言わせると「5シリーズや7シリーズのほうが高級で、1000万円を超えるのもあるよ。BMWの中では“中の下”くらいじゃない?」という位置づけらしい。


コントローラーの“触感”が心地いいのだ!!

BMWの車自体の評価はさておき、iPodとの接続性を見ていこう。結論から言えば、iPod対応BMWのスゴさは、iPodの操作系統が車と一体化している点に尽きる。目についたところで言えば、以下の3点だ。

ハンドルの操作ボタン
ハンドルに早送り/巻き戻し、ボリューム調節のボタンを用意
iDriveコントローラー
iPodのクリックホイールに似た操作感の“iDrive”コントローラー。メニュー画面操作などに使う
BMWマーク
iPodを接続すると画面にBMWマークが出現!! 細かい演出だがいい味を出してる

“iDrive”はカーナビやカーオーディオ、エアコンといった車内にある機器を、前方中央のディスプレーをみながら、先のコントローラーひとつで操作できるシステムだ。330iはこれを標準搭載している。

何よりも素晴らしいのはiDriveコントローラーの触感で、とても“心地いい”印象だ。このコントローラーは、前方/後方/左/右に押す、左右に回転、上から押す──といった7種類の操作が可能になっている。

前後左右や上から押した際の適度な固さもさることながら、注目したいのは回転したときだ。例えば、聴きたい曲をサーチするために回しっぱなしにすると、ディスプレーの曲リストの移動に合わせて、小刻みにコントローラーが震える。

ちょうどiPodでクリックホイールを回してリストを上下する際、クリッカー音が“カチカチ”と鳴るのに近い感覚だ。コントローラーは単に左右に回転するだけでも、用は足りるだろう。だが、ディスプレー内でリストが動いていることを視覚以外でフィードバックするため、振動を加えるというのはより親切なアイデアだと思う。

iDriveコントローラー トップメニュー
iDriveコントローラー。回しっぱなしの状態にするとメニューが動くのに合わせて“ぷるぷる”と震えるiDrive操作画面のトップメニュー。コントローラーと対応しており、例えば後方に引くとAV画面に切り替わる

iDriveでiPodの曲を聴く際は、まずコントローラーを使って目当てのプレイリストやアルバムなどを探すわけだが、いったん曲が鳴りだしたら、あとはハンドル側のボタンを使えばいい。曲の早送り/巻き戻し、ボリューム調節などを手元で操作できる。

左のボタン 右のボタン
ハンドルの左にはボリューム調節、右には早送り/巻き戻しのボタンがある。試さなかったがハンズフリーフォンのようなボタンも用意されているようだ

この辺、純正オプションならではといえる連携だろう。手元のコントローラーで操作できるカーオーディオアダプターには、ハーマンインターナショナル(株)の『drive + play』といった製品もあるが、iDriveコントローラーのほうがハンドルのボタンが付いているうえ、インテリアとの統一感もより高い。


iPodの再生までがマドロッコしい……

とはいえハードウェアが洗練されている一方で、ソフトウェアはまだまだ改善の余地を感じた。例えばiPodの音楽を聴く場合は、グローブボックス内のDockケーブルにiPodを接続し、iDriveコントローラーを後方に動かしてAV画面を呼び出す。そこからコントローラーを操作して“CD”→“CD1”→曲と選んでいくわけだが、まずこの階層が深くて再生にたどり着くまでに時間がかかる。

さらに分かりにくいのが、現状では“CD1”が“プレイリスト”、“CD2”が“アーティスト”、“CD3”が“アルバム”といった具合に、iPodのメニュー項目が“CD”下の階層にある6つの項目に割り当てられていること。

マニュアルを読んで“CD~”に何が割り当てられているかを覚えておけばいい話でもあるが、せっかくiPodのクリックホイールと似た操作感のコントローラーを採用しているのだから、メニュー構成をiPodに似せる改良はあっていいはずだ。

AV画面 CDの種類を選ぶ
再正開始 環境設定
トップメニューからAV画面に移動し、“CD”を指定。プレイリストを聴くために“CD1”を選び(左上)、聴きたい曲を決めて(右上)、再生を指示する(左下)。ちなみに左下のメニューからオーディオの環境設定を行なえる

すでに三菱自動車(株)のiPod nanoに対応する軽自動車『i Play Edition(アイ プレイエディション)』では、iPodと同じメニュー構成をとっているため、実現は不可能ではないだろう。

加えてiPodを着脱するたびに、グローブボックスを開け閉めするのはやや面倒だ。特に運転席側からでは手が届きにくいため、iPod用のスリットをダッシュボード下に用意するなどの工夫がほしい。

後半は辛口になってしまったが、人によっては“慣れ”でカバーできる部類でもある。BMWを購入する予定のあるiPodユーザーなら、iPod接続キットは間違いなく試してみたほうがいい製品にあたるだろう。

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