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Colorio PM-T990

Colorio PM-T990

2006年11月16日 03時18分更新

文● 行正 和義

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Colorio PM-T990

セイコーエプソン/エプソン販売

オープンプライス(実売価格:5万円台後半)

スキャナーと組み合わせたカラーコピーや、メモリーカードからのデジタルカメラ画像印刷など、インクジェット複合機の機能は毎年どんどん充実してきている。セイコーエプソン/エプソン販売の“Colorio”(カラリオ)「PM-T990」は同社複合機のフラッグシップモデルにあたり、大画面液晶ディスプレーや有線&無線LANに加えて、ついには書き込み可能な光ディスクドライブまで装備するなど、機能満載の1台だ。

Advanced-MSDTとREALOIDで高速&高画質を両立!

“Colorio”PM-T990
セイコーエプソン/エプソン販売の複合機フラッグシップモデル“Colorio”「PM-T990」。

 印刷エンジンは“Colorio”シリーズの家庭用モデルとして最高画質となるもので、最高解像度5760×1440dpi、インクはCMYK+ライトシアン/ライトマゼンタの6色染料系を採用するのは従来(2005年モデル)と同様だが、インク滴の制御技術“MSDT”(Multi Size Dot Technology)はさらに進歩して“Advanced-MSDT”と呼ばれる5種類の大きさのドットを打ち分けることができるようになった。

前面下部と背部のトレイを開いたところ トップカバーを開いたところ
背部と前面下部には給紙トレイが格納され、前面部の給紙トレイ上側にはさらに伸縮式排紙トレイが格納される。前後ともにトレイを折りたたむとカバーできっちりと閉まり、ホコリなどが入り込まないようになっている。トップカバー部には35mmフィルム1本分(6コマ分)のフィルムスキャン用光源が内蔵される。本体手前にあるのはDVD-R/CD-R印刷用のマウントで、ディスクをセットして本体手前部にあるトレイにセットする。

 高画質印刷のため高解像度化と、粒状感低減のためのインクドロップの小径化はここ数年インクジェット機の課題とされているが、インク滴自体が小さくなると大きな面積を塗りつぶすような場合により多くのインク吐出工程が必要になるため、最近は1つのヘッドで数種類のサイズのドットを打ち分けるという技術が搭載されるようになっている。同社のMSDTでは従来“3種類”のドットサイズを打ち分けていたが、新たに“5種類”の打ち分けが可能となり、グラデーション部での階調表現など、インクジェットプリンターが不得手としていたようなシチュエーションでも粒状感が少なくなるという。

トップカバーを開き、フィルムガイドを出した状態
本体前面の給排紙トレイの両側にはインクカートリッジを装着する。メモリーカードスロット部も開閉式のフタが設けられている。

 また、ヘッド駆動の高速化や紙送りの高精度化などの駆動部分の改善に加えて、高速の画像処理プロセッサによって処理を高速化している。画像処理プロセッサには“REALOID”(リアロイド)という名称が与えられ、細かい画像編集機能と同社ならでは画像自動補正機能“オートフォトファイン! EX”などの制御、ネットワーク接続などを高速で並列処理する強力なもので、今期の同社製品の特徴のひとつとなっている。

印刷ヘッド部
スキャナー部分を引き上げれば印刷ヘッド部が現われる。インク/ヘッド別体型インクカートリッジは本体前面から装着するためヘッド部を見る必要がそれほどない。手前側には本体内の窪みにUSBコネクターが設けられており、画面手前左側から伸びるUSBケーブルを装着する。背面にコネクターにアクセスするためのスペースをとらなくて済む工夫だが、LAN端子は背面にあるため有線LAN接続時には若干背後に空間を必要とする。

4色カラーフィルター搭載の4インチ液晶パネルなど
印刷以外もフラッグシップらしい豪華スペック

 本機は印刷機能以外も豪華なつくりとなっている。本体前面に備える4インチ大型液晶ディスプレーは同社独自の4色カラーフィルターを採用した“Photo Fine Ultra”液晶パネル。一般的なRGB(3色)ではなく、Gの代わりに黄緑とエメラルドグリーンで構成された4色カラーフィルターによって色再現域が広がり、デジタルカメラ画像の印刷時の補正なども印刷前に確認しやすい。

前面操作パネル部
4インチ大型液晶パネルが目を引く操作部。基本操作は液晶左側にある円形のモードスイッチと、右にあるカーソルキーで行なう。モードスイッチのLEDインジケータはスタンバイ状態では円を描くように順に点灯するようになっている。分かりやすい半面、何度も見せられるのはツライかもしれない。

 スキャナーは4800dpiのCCDタイプで、オンチップマイクロレンズ付きの6ライン構成(各色2列の市松配置によって高解像度化を図ったタイプ)、フィルムスキャンは35mmフィルム1列(スリーブ6コマ、スライド4コマ)を一度に取り込める。同社のスキャナー製品では2~4列を一度に取り込めるので、比べるとやや見劣りこそすれ、基本機能はほぼ同等だ。

メニュー画面
各種モードメニュー。アイコンと文字が中心で、大型液晶ということもあって非常に見やすい。基本的にモードスイッチで各種モードを切り替えたあとはカーソルの左右で各種処理を選択する。

 前面と背面の2WAY給紙に加えて、前面のDVD-R/CD-Rラベル印刷用トレイ(同梱のマウンターを使用)などの基本構造は最近のColorioシリーズに共通するものだが、新たに書き込み可能な光ディスクドライブや大型液晶パネルを搭載しただけあって、複合機としてはやや大きめの本体。それでも、無線LAN機能を標準搭載するため置き場所の自由度が高いのがありがたい。

本体のみでできる各種印刷モード
メモリーカードをセットして“選択して印刷する”を選択した画面。Photo Fine Ultra液晶パネルによる表示は非常に奇麗で、発色の確認もできる。“仕上がりView”を選択すると画像補正によってどのような補正が効くのか画面上で確認できるが、右上の表示のように1枚の表示に6~8秒程度かかってしまう。画面左上は仕上がりViewがオフの状態、左下がオンの状態で、木の緑などがより鮮やかに彩度強調されている。右下は最大までズーム表示したところ。

 前面操作パネルの下には左にメモリーカードスロット、右にはDVD-Rドライブを搭載し、メモリーカードから読み込んだデジタルカメラ画像を紙に印刷するだけでなく、画像ファイルをまとめてDVD-R(もしくはCD-R)メディアに書き込める。この作業は同社が(メモリーカードからの)“バックアップ”と呼ぶ機能であり、画像1枚単位のコピーはできない。また、すでにDVD-R(CD-R)メディアに記録した画像ファイルを読み出して表示・印刷することも可能だ。なお、本体に装着したメモリーカードは接続したパソコンから“マスストレージデバイス”として読み書き可能だが、DVD/CDドライブはパソコンから認識されず、外付けドライブとして利用できない。

本体背面
本体背面にはLANコネクタが配置される。中央にあるスリットはDVD-R/CD-R印刷用のトレイが移動するためのクリアランス。

 インターフェースにはUSBのほか、有線&無線LANを標準搭載し、携帯電話などから印刷するのに便利な赤外線通信、およびオプションでBluetoothユニットを内蔵可能だ。しかも有線LAN機能は地上デジタル放送用機器に対応し、番組連動のデータ放送から各種コンテンツを印刷する機能が用意されている。今後は地デジチューナーや地デジ対応TVがホームネットワークの中心になることを見越してのことだろうが、どんな使い方がなされるか未知なところもある“地デジ”のデータ放送にプリンターとしていち早く対応したのは面白い。

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