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ソフトバンク、受付業務停止についての記者会見を開催――原因はシステムの処理能力不足

2006年10月30日 22時51分更新

文● 編集部 橋本 優

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ソフトバンクモバイル(株)は30日、東京・日比谷の帝国ホテルで記者会見を開き、28、29日に発生した同社の携帯電話契約受付業務の停止についての説明を行なった。

孫 正義氏
「お詫び申し上げたい」と頭を下げるソフトバンクモバイル代表取締役社長兼CEOの孫 正義氏

今回の騒動は、まず28日に同社携帯電話に関する契約手続きが殺到しシステムがダウン。すべての受付業務をいったん停止した。翌29日に備えてシステムの処理能力を2倍に増強したものの、午前中にはその処理能力を超える顧客が殺到したため、MNP(携帯電話番号ポータビリティ)の受付業務を停止した、というもの。本日朝には復旧が完了しており、現在のところ受付も問題なく行なえているという。

記者会見に臨んだ代表取締役社長兼CEOの孫 正義氏は冒頭「大変多くのお客様をお待たせする」ことになったことや「ドコモさん、auさんとのやりとり」において不都合が起こったことについて「まず、この点についてお詫び申し上げたいと思います」と謝罪した。

当初のシステム
当初のシステム構成。MNPシステムは業務システムと直結している
改善したシステム
業務システムからMNPシステムを切り離し、開通システムと直結させた

その上で、今回の受付停止の経緯を説明した。そもそも当初のシステムは、通常業務システムの中にMNP手続きに関するシステムが含まれる構成になっていたが、予想を超える申し込みなどにより大きな負荷がかかり、通常業務システムがダウン。土曜日に処理能力の増強を行なったもののそれでも処理能力が足りず、さらにKDDI(株)と(株)エヌ・ティ・ティ・ドコモから「(ソフトバンクに関連する)MNPの処理をいったん打ち切りたい」との要請があったため、MNP処理のみを停止。抜本的な対策として通常業務システムからMNPのシステムを切り離し、開通システムに直結させることで復旧したという。

負荷の原因になったのは、“ポートアウト”(同社から他社の携帯電話への転出)の際に、他社からの問い合わせに対して同社のMNPのシステムが120秒以内に返答しなければならないという決まりになっているが、システムの処理能力不足によりこれが守られず、他社システムからのリトライが相次いだこと。さらに割引サービスである“家族割り”について、主回線・副回線の区分けがなされているが、主回線のユーザーが解約し、さらに副回線のユーザーも解約するといった場合にそれぞれに処理が必要で、処理が複雑になったことも原因の1つになったという。これらに加え、想定外の契約申し込みが殺到したため、システムがダウンしてしまったとのこと。

今後の対策については、まず本日よりピーク時間(11時から13時、17時から19時)についてはMNPの受付を優先する。受付時間は、ポートアウトについては21時20分まで、ポートイン(他社から同社の携帯電話へ転入)については19時まで、その他、MNP以外の各種契約については20時までという体制になる。さらに、月初となる11月1日から5日までの期間は、MNPと新規契約のみの受付となり、そのほかの機種変更などには応じないという(解約と故障、修理の受付は例外的に受付ける)。つまり機種変更は5日以降でなければできないが、11月中に機種変更を行なった場合は同社ポイントサービスの500円分のポイントを付与するという。

そのほか“ゴールドプラン”において、他社携帯電話への発信料を30秒あたり21円にするなどの一部料金の値下げを発表。auの“プランSS”やドコモの“SSプラン”に合わせるという。ちなみに現在のゴールドプランは平日昼間で30秒あたり29.4円となっている。

その後の質疑応答は、今回のトラブルに関することから料金体系に関すること、端末の価格に関することまで多岐にわたった。たとえば、一度発表した料金体系を後で変更していきなり発表することについては孫氏は「お客様に良かれと思って発表しているが、一部ご不満の方がおられれば、少しでもよく改善していくことは悪いことではないのではないか」と語り、また経営責任について問われると「今日はまだ対策のほうに頭が集中しておりまして、それ以外のことは議論していない」とした。また現在のMNPによるユーザー転入/転出状況については、現在統計を取っている最中とし、明らかにしなかった。

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