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【Adobe MAX 2006レポート Vol.7】“CS3”はおあずけだが、FlashとAcrobat 3Dの融合に沸いた――スニークプレビュー

2006年10月30日 17時29分更新

文● 編集部 佐久間康仁

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最終日(26日)の午前中に行なわれた3回目の基調講演は“スニークプレビュー”と題した、MAX恒例のイベント。各製品の開発担当者が将来の機能追加・拡張のアイデアをアピールして参加者の反応を確かめるというイベントで、必ずしも次期バージョンに搭載される機能ばかりではないが、開発者の考え方や製品の方向性を知る絶好の機会となる。今回は米アドビ システムズが主催する初の“スニークプレビュー”であり、また来春登場予定の“CS3”の話題も出るのではないかと期待されたが、あいにくCS3に関連する製品群(Photoshop/Illustrator/Premiere/InDesignなど)の話題は登場しなかった。

『Adobe Acrobat Connect』のスニークプレビュー
スニークプレビューの最初にデモされたのは『Adobe Acrobat Connect』をYahoo! Messenger 8から呼び出せるというプラグインだった(現在開発中のもの)

ここでは、特にASCII24読者が注目しそうな製品である、音楽編集ソフト『Soundbooth』、FlashとPDFを融合させたデモで会場を沸かせた『Acrobat 3D』、数日前に依頼を受けて急ごしらえでApolloプラットフォームに移植したというビジネスツール『Pronto!』について、詳細をレポートする。

プロ向け音楽編集ソフト『Audition』をベースに
非音楽系クリエイターにも使いやすくした『Soundbooth』

音楽編集ソフト『Soundbooth』の画面
音楽ツールを使い慣れないFlashクリエイターにも使いやすくしたという音楽編集ソフト『Soundbooth』の画面。ここではフェードイン/アウトをマウス操作で簡単に指定している

シニアプロダクトマネージャーのハート・シェファー(Hart Shafer)氏がデモしたSoundboothは、同社の音楽系クリエイティブツール『Audition』をベースに、Flashコンテンツユーザーにもより使いやすく簡単に音楽素材を作成できるように開発したという音楽編集ソフト。インターフェースのデザインや一部機能はAuditionと重複しているところがあり、例えばスペクトラビューで周波数成分をカラー表示し、ノイズ(録音時に入ってしまった不要な雑音)をマウスのドラッグ操作で矩形として選択・除去する機能などを備える。

スペクトラビューによる周波数成分の表示モード
スペクトラビューによる周波数成分の表示モードも備える。画面左下の四角で選択されたところは、ノイズ成分があったため弱めている

また、組み合わせる映像素材の長さに合わせて音楽素材を自動的にループさせて“尺を合わせる”、映像の切り替え点に音楽素材の変更点を合わせる、キーフレームを設定して音楽を変化(フェード)させる、といった操作も可能だ。

映像/音楽トラックでの編集モードの画面
映像素材と音楽素材をそれぞれトラックに読み込んで編集しているところ。映像の長さや場面の転換点に応じて音楽を切り替えたり、フェードイン/アウトの設定が可能

スニークプレビューの当日に英語のデモ版がAdobe Labsで配布開始されており、日本語版についても準備中という。

PDF中の3DオブジェクトにFlashを組み合わせて
アニメーション設定も可能になる『Acrobat 3D』

Acrobat 3Dのデモ画面
Acrobat 3Dのデモ。背景のモトローラのロゴは、ハイライト部分がアニメーションするFlashコンテンツ。さらに3Dの指がボタンをプッシュすると押されたボタンが光って操作音も鳴るというFlashアニメーションになっている

3D CADや3D CGアプリのデータを取り込んで、『Adobe Reader』だけの環境でも3Dモデルのプレビューやレビュー(評価)を可能とするAcrobat 3D。今回のデモでは、その3Dモデルの背景にFlashコンテンツを貼り付けて動きを付け、さらに携帯電話機の3Dモデルのボタンや液晶画面にもFlash(ActionScript 2)によるインタラクティブアニメーションを設定してみせた。

従来のPDFでもFlashコンテンツを組み合わせることは可能だが、このデモではFlashのネイティブサポートがポイントで、3Dモデルの携帯電話機のボタンを押すとすぐにボタンが光って操作音が“ピポパッ”と反応する。これを使って映画“未知との遭遇”の有名なフレーズを正しく操作すると、画面にボーナスアニメーションが表示される(FlashVideoを再生する)、というデモを行ない会場を大いに沸かせた。



わずか数日でウェブアプリからApolloアプリに移植できた!?
米xif社の『CommuniGate Pronto!』

例年のスニークプレビューでは自社アプリケーションのデモに終始していたが、今回はFlash/Flexを活用したサードパーティーの製品もいくつかデモされた。中でもトリを飾った米xif社の『CommuniGate Pronto!』は、いち早くApolloプラットフォームに対応したビジネスアプリケーションとして注目を集めた。

Pronto!のデモ画面
Pronto!のデモ。一見すると単なるデスクトップ用アプリケーションかウェブアプリケーションのようだが、Apolloプラットフォームに移植、開発されたもの。数日でウェブアプリケーションからApolloへの移植が完了したという

実はこの製品は、元々Flexを活用したウェブアプリケーションとして開発していたものだが、数日前にアドビ システムズから「ぜひApolloプラットフォームに移植してほしい。大丈夫すぐできるから」と依頼されて、急ごしらえで作ったものだという。

デモでは、メール、ToDoリスト付きカレンダー、IM(インスタントメッセンジャー)などを操作して見せ、さらにウェブアプリケーションでは不可能な、各アプリを最小化して切り替えるといったApolloプラットフォームならではの動作も見せ、完成度の高さや安定動作をアピールした。同時にウェブアプリケーションからApolloプラットフォームへの移植性の高さもアピールする絶好の機会になったようだ。

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