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【INTERVIEW】ソニーの持ち味が生かせた『α100』――開発者に聞く(後編)

2006年10月27日 00時00分更新

文● 聞き手/撮影 小林伸

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旧コニカミノルタフォトイメージング(株)の開発陣がソニー(株)に合流する形で開発されたデジタル一眼レフ機『α100』。ソニーとしては初の一眼レフ機となるが、この夏に市場投入され、計画を上回る売れ行きを達成したという。当初はαシリーズの既存ユーザーが中心だった購買層も、すぐに変化を見せ、初めて一眼レフを購入する層も増えつつある状況だ。インタビューの後半では、強みとなる手ぶれ補正や、新機能のほこり対策に関して伺った。

α100の開発陣
α100の開発陣。左から商品企画担当の関玲二氏、設計担当で機種リーダーを務めた安原竜一氏、画質担当の中山春樹氏。関氏は、圧電アクチュエーターユニットについて説明している


“ソニーが開発する”というメリットを生かせた

[――] 開発体制の面で、コニカミノルタからソニーに移って何が変わったか、という点をお聞きしたいと思います。
安原氏
ソニーAMC事業部プロジェクトマネージャーの安原氏。α7 DIGITALとαSweet DIGITALでは電気回路のまとめを担当した
[安原] 物作りの面では、最新のデバイスが早期に入手できるという点が大きな強みになっていると感じます。コニカミノルタの時代には、よいイメージャー(撮像素子)を確保するだけでもひと苦労だったのですが、α100では、供給数も含めてこういった苦労はありませんでした。
[中山] 画像処理の面では、バックボーンの違いを感じましたね。チップ自体の設計はもちろんのこと、いろいろな処理に対するグランドデザイン(全体構想)もしっかりしており、さすがソニーだなと。
[――] 画像処理エンジンに関しても、コニカミノルタ時代は既製のチップを他社から購入して使ってきたわけですよね。
[中山] はい。エンジンのカスタマイズを外部に依頼することもありますが、半導体の内部までは分からないため、“こういったアウトプットが欲しい”というオーダーになってしまいがちです。しかし、ソニーには半導体の設計者がいて、“あなたの要求は実際にはこういうことですよね?”とかみ砕いて、突っ込んだ話ができる。これは大きなメリットです。
[安原] センサー以外にも、ソニーは液晶パネルをやっていますし、電池もやっている。そういう意味では、デジタルカメラを作るうえで必要な基本技術をすべて持っているんです。電子部品というとイメージセンサーに注目されがちですが、それ以外の部分も自社でやれるというのは、大きなメリットであると感じています。
[――] 開発コンセプトに関しても、従来のαシリーズから、大きな変更があったのでしょうか?
[関] カメラ全体の形状は一眼レフという商品である以上、大きく違った形状にはなりません。α100はソニーが引き継いだ最初の製品ですので、これまでのαユーザーに安心していただきたいという思いもあり、大きく変化させることは考えませんでした。しかし、中身はまったく新しいものになっています。
[安原] 設計に関しては“ほとんど一からのやり換えになった”と言ってもいいほどです。開発のコンセプトとしては“誰もがいい写真を撮れる”ことを目指しましたが、それを達成するために、さまざまな新しい技術も盛り込んでいます。われわれからみると今までのαとは“結構違う部分があるなぁ”と感じています。


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