日本電信電話(株)(NTT)とエヌ・ティ・ティ・レゾナント(株)(NTTレゾナント)は2日、東京・大手町のアーバンネット大手町ビル内コーポレートニューズルームにプレス関係者を集め、ブログ検索・分析サービス“BLOGRANGER(ブログレンジャー) 2.0”を本日から1年間の期限付きでサービス提供すると発表した。NTTレゾナントのポータルサービス“goo(グー)”の実験サービスサイト“gooラボ”にて提供され、利用は無料。
検索・分析機能はそのままにWeb 2.0的アプローチを追加
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BLOGRANGER 2.0の概要 |
BLOGRANGERはNTTのNTTサイバーソリューション研究所が開発したデータマイニングによるブログ検索エンジン。2005年12月から今年6月まで実験的にサービス提供されていたもので、
- トピックで選ぶ
- ブロガーで選ぶ
- リンク先で選ぶ
- 感想で選ぶ
という4つの視点からブログ記事を分析し、その結果をブログ検索サービスとして提供していた。具体的には、“トピックで選ぶ”の場合、ブログ記事に含まれる固有名詞を抽出し、人名/地名/組織名などに分類して、次にユーザーが絞り込むであろうキーワード一覧としてあらかじめ左サイドにリストアップする。
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トピック抽出技術の説明画面。左側に次の絞り込み検索のヒントとなる語句を掲示することで、ユーザーが手動で入力する手間を減らしている |
“ブロガーで選ぶ”では、ほかのブログからの参照数を注目度として計算し、ブログサイト(ブロガー)の人気ランキングを表示する。“リンク先で選ぶ”は、ブログ記事がそのネタ元としているニュース記事などのリンク先を集計し、話題のネタ元を見つけやすくする。“感想で選ぶ”は、感想を言い表す形容詞を抽出して一覧表示させ、特定キーワードに対するブロガーの評価を知ることができるというもの。
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リンク抽出技術の説明画面。同じく左側に各ブログ記事が参照しているニュース記事をランキング表示しているので、元記事をたぐるために一度ブログ記事を開く、という面倒をなくしてくれる |
BLOGRANGER 2.0では、過去1ヵ月のブログ記事(およそ1000万件)を集めてサーバーで集計し、従来の4つの視点から分析した上で
- BLOGRANGER API
- BLOGRANGERパーツ
- BLOGRANGERモバイル
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BLOGRANGER 2.0の画面。従来から赤黄青紫の4人の“レンジャー”がブログから欲しい記事を見つけてくる、というコンセプトでキャラクターを立てていたが、さらにレンジャーが増殖している |
JavaScriptの記述にはある程度の予備知識が必要だが、そうした知識がなくても利用できるのがブログパーツ(HTMLに生成されたコードを自分のブログに貼り付ける)として提供される“BLOGRANGERパーツ”だ。設定項目は限定されるがユーザーのカスタマイズも可能で、特定のキーワードや参照元のURLを設定することで、あるニュースサイトではどの記事が頻繁にブログから参照されているか、などを調べて自分のブログページに掲出できる。このカスタマイズしたブログパーツはほかのユーザーが参照・再利用することもでき、マッシュアップによる副次効果(あらたな分析・結果の発見など)が期待できる。デモでは、各放送局の公式サイトへのリンクを分析して、どの番組ページへのリンクが最も多いかにより“ブログ視聴率”のような測定が可能になると提案していた。
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ブログパーツのサンプル画面。最初から14のブログパーツが登録されており、ユーザーがキーワードや含まれるURL(の一部)を書き換えて、独自に解析するブログパーツを作ることもできる |
“BLOGRANGERモバイル”は、携帯電話機/PHS端末などから特定キーワードによる最新ブログランキングを参照する機能。あらかじめパソコン上からキーワードを入力しておくと、携帯電話機/PHS端末から参照できるケータイサイトのQRコードが自動生成され、これを取り込んでおくことで、外出先などからその時点でのキーワードによるブログランキングが確認できる。ブログ分析時に集めた情報(キャッシュ)により、サイト名やリンクだけでなく当該ページの一部本文も参照できるという。ケータイサイトとしてのブログ検索サービスはすでに他社からも提供されているが、キーワード入力の手間なしに、特定キーワードに関する最新ブログを手軽に参照できるのが特徴としている。
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BLOGRANGERモバイルの画面。ディープインパクトを検索キーワードにしたページをQRコードで示している | ケータイサイトのエミュレーターで表示したところ |
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NTTサイバーソリューション研究所所長で工学博士の小川克彦氏 |
NTTサイバーソリューション研究所所長で工学博士の小川克彦氏は、以前のBLOGRANGERが「“関連話題語抽出技術”を搭載した直後に参照数が増え、話題になっているキーワードをきっかけに、続けて次の検索がしたくなるというユーザー行動がわかった」と述べ、そうしたユーザー心理に応える機能を追加して、今回BLOGRANGER 2.0として公開することになった経緯を説明した。
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BLOGRANGER 1.0のアクセス数の推移 |
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NTTレゾナントのポータル事業本部技術マーケティング部部長の浜野輝夫氏 |
BLOGRANGER 2.0は1年間の実験公開の間に、NTTレゾナントと共同でビジネスモデルの模索も行なうとしており、NTTレゾナントのポータル事業本部技術マーケティング部部長の浜野輝夫氏は、「API公開のビジネスモデルとしては一般的な“広告配信とのセット”、およびデータマイニング技術を有料会員向けに提供する、という2つの方向性を検討するつもりだ」と述べた。後者の有料会員向けサービスについて詳しく聞いたところ、ブログでの話題の広がり方が時系列で分かる特徴を生かして、マーケティングなどでの調査・分析を事業として引き受ける、といった形の有料サービスなどが挙げられる、と答えた。
