(株)ホームシアターは29日、都内で、10月19日に発売する、台湾オプトマ(Optoma)社のフルHD対応プロジェクター『HD81』を発表した。価格は99万7500円。ハイエンド機となるが、競合となるシャープ(株)の『XV-Z21000』(131万2500円)より、安価な価格設定となっている。
HD81。プロジェクター部分と、映像処理部分を別筐体とした |
設置の自由度が高いセパレート構成
映像処理エンジンは2段構え
HD81は、米テキサス・インスツルメンツ社の単板型DLP(0.95インチDC3 DMD)を採用したハイエンドプロジェクターで、1080pの映像出力に対応する。画像を投影する“プロジェクションヘッド”と映像処理を行なう“ビデオプロセッサー”部分を2つに分けたセパレート構成になっており、入力端子は、HDMIを3系統、BNC/コンポーネント/S-Video/コンポジットビデオをそれぞれ2系統ずつ搭載する。セパレート構成にしたことで、プロジェクターを天吊り、結線部分をラック内に収めるなど、自由度の高い設置が可能だ。
映像処理に関しても、スケーラー処理など基本的な部分をカナダ・ジェニム(Gennum)社の『GF9351』、色温度/エッジ強調/ガンマ/白黒伸長/彩度などの細かな調整を(株)ジェピコの『j-L006』(10bit調整)で行なう2段構えの構成とした。ジェピコ製チップによる映像調整時には、中央の枠内だけに調整結果を表示することが可能。調整前の外側部分と比較することで、エフェクトの効果を容易に識別できるインターフェースとした。
ジェピコ製チップによる詳細な調整が可能 |
内側の枠内には調整結果を反映、枠外と比較することで、その効果を比較できる(写真左) |
DLPのカラーホイールは、7セグメント(赤/青/緑/赤/青/緑/深緑)。これを6倍速で回転させることで、カラーブレーキング現象(動きの速い被写体での色割れ)を抑制している。ランプは、150型以上の大スクリーンへの投影も考えて、300W出力に対応した、蘭フィリップス社のUHPランプを採用した。輝度は1300ルーメン。シーン連動型の絞り調整機能(Image AI II)を使用した場合のコントラスト比は1万2000:1。光学系は1.5~12.5m(30~305インチ)の長焦点タイプで、シフト機能など短い距離での投影を行なう際の補正機能は持っていない。
会場では、(株)東芝のHD DVDプレーヤーのデモ映像を流すデモが行なわれた |
プロジェクター部の本体サイズは幅411×奥行き311×高さ116mmで、重量は4.5kg。コントローラー部分は幅433×奥行き285×高さ50mm、4.2kg。
明るさと色再現性の両立
発表会には、台湾オプトマから、バイスプレジデント兼アジアパシフィック総責任者のテリー・クー(Telly Kuo)氏、バイスプレジデント兼最高技術責任者のティー・アイ(T.I)氏が出席した。
左から、台湾オプトマのテリー・クー氏、ティー・アイ氏、ホームシアターの市野氏 |
クー氏は、パーツの製造から組み立て、ブランディングまでを一貫して行なえるオプトマの強みを強調した。米国市場で14%とトップシェアを誇るオプトマであるが、国内市場に関してはこれからという段階。日本市場におけるシェアの目標としてクー氏は「2007年に8位、2008年には5位に入ることを目標としたい」と抱負を述べた。「高品質でリーズナブルな製品を手に入れたいと考えるユーザーの嗜好は、日本でも海外でも同様」であるとクー氏は話す。
また、ティー・アイ氏は、HD81の開発に当たり、最も重視したものとして、“明るさと色再現性の両立”を挙げた。また、海外に比べて部屋の広さの制限がある国内市場に対して、ティー・アイ氏は「HD81はハイエンドの機種ということで、HD72iなどで用いられている短焦点タイプのレンズではなく、よりシャープで歪みの少ない画質が得られる長焦点タイプの光学系を採用した。とはいえ、(国内では短い焦点距離で投影したいという)ニーズがあることは理解している。次世代機ではシフト機能の搭載なども積極的に考えていきたい」とコメントした。
国内におけるHD81の販売代理店は、(株)ホームシアターが担当。グループ会社の(株)オーエスと協力して、サポート体制を提供する予定。発表会に出席したホームシアター取締役統括リーダーの市野金行(いちの かねゆき)氏は「大画面化のためのソースは増えつつある」「ホームユースやデータ用などという区別せず、いい提案のできるところに販売していきたい」と話した。