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日立とKDDI、超小型ICチップ“ミューチップ”のau携帯電話機向けリーダーを発売

2006年09月27日 16時00分更新

文● 編集部 橋本 優

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(株)日立製作所とKDDI(株)は27日、非接触型の超小型ICチップ“ミューチップ”(RFID)の読み取りを可能とした、au携帯電話機用リーダー『HE-MU380-SH11』を開発したと発表した。10月2日より企業向けに販売を開始する。価格は8万4000円。

『HE-MU380-SH11』
上がau携帯電話機用RFIDリーダー『HE-MU380-SH11』

ミューチップは日立製作所が開発した、0.4mm角のアンテナ内蔵型の非接触ICチップ。今回発表したリーダーをau携帯電話機に装着し、ミューチップにかざすことで情報(128bitのID番号)を読み取り、IDと紐付けされた情報を携帯電話機で表示したり、ネットワークを介してサーバー上に履歴を残したりできる。このリーダーはau携帯電話機の“BREW”アプリケーションからも利用可能で、アプリを開発すればさまざまな用途に利用が可能だという。

携帯電話機とドッキング
携帯電話機とドッキングしたところ

携帯電話機とリーダーはアタッチメントを使用することでドッキングできるような形になっているが、携帯電話機との接続はBluetoothで行なわれるため、リーダーと携帯電話機を離しても利用できる。リーダーは単4形乾電池で約7時間30分駆動するという(1分ごとに読み取りを行なった評価値)。リーダーのサイズは幅49.5×奥行き106×高さ16mm、重量は75g以下となっている。

適用例
“鉄道のレール敷設/保線管理システム”の適用例。左の杭に仕込まれたミューチップを読むことで、右のようにサーバーに履歴を残せる

考えられる適用例としては

  • 鉄道のレール敷設/保線管理システム:ミューチップを内蔵した杭を線路脇に打ち込み、メンテナンスの際にはその情報を読み取って履歴を保存する。GPSと連動することで位置情報を付加でき、作業ミスを低減できる。
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  • 配送業者のドライバー支援システム:配送荷物にミューチップを取り付け、物流拠点や届け先到着時に読み取ることで、履歴管理がリアルタイムに行なえ、顧客からの荷物問い合わせサービスの満足度が向上する。
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  • ICタグ連動の商品購入決済サービス:小売店で販売している商品にミューチップを取り付けることで、お客は商品に携帯電話機をかざすだけで詳細を確認でき、さらに電子決済と組み合わせて購入までも可能。これによりPOSレジが不要となる。

などを挙げた。

握手を交わす日立製作所の井村 亮氏(左)とKDDIの渡辺文夫氏(右)

発表に臨んだKDDI技術統轄本部 技術開発本部長の渡辺文夫氏は、「今回は商用で使えるようなもの、ということで日立製作所と一緒に共同で開発した」と開発にあたっての経緯を説明した上で「いろんなソリューションをソフトウェア的に端末およびネットワークに組み込む形で提供することで法人マーケットの開拓に役立てたい」とした。

またリーダーを携帯電話機内蔵ではなくアタッチする方式を採用したことについては「ソリューションでいろいろなケースを考えた場合、端末を換えていかなくてはならなかったり、対応端末の数の問題など、(内蔵するよりは)外してつけたほうが今は現実的」だという。

渡辺氏に続いて発表に臨んだ日立製作所の情報・通信グループ トレーサビリティ・RFID事業部長の井村 亮氏は、同社が推進する“トレーサビリティー(追跡可能性)”事業について「RFIDが大きくビジネスユースとして動き出そうとしている」一方で、「コンシューマーの世界にどんどん入ってくる」とし、その両方が融合した市場(同氏が呼ぶところの“ユビキタスユース”)において「リーダー付き携帯電話が大きな効力を発揮する」とした。

今後の展開については、サービスのバリエーションを拡大しつつ、携帯電話機の技術開発の推進については「特に海外を含めた対応機種を拡大していきたい」と、世界進出に意欲的な姿勢を見せた。

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