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日本TI、ワンセグケータイ向けのデジタルアンプなどを発表

2006年09月26日 16時32分更新

文● 編集部 小林久

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日本テキサス・インスツルメンツ(株)は26日、ポータブルオーディオ向けのIC新製品に関する記者説明会を開催した。発表になったのは、ステレオオーディオコーデックとなる『PCM3793』と『PCM3794』、ワンセグ対応携帯電話機向けのD級アンプ『TPA203xD1』の3製品。

発表会風景。TIフェロー、アナログ・テクノロジー・センター長の濱崎利彦氏など3名がプレゼンした
新製品の評価キット


ポータブルオーディオに
必要な機能をワンチップで提供

PCM3793と3794は、ポータブルプレーヤー向けの製品で、ともに再生用のD/Aコンバーター、録音用のA/Dコンバーター、サウンドエフェクトを付加するためのCodec、ヘッドホンアンプなどを1チップに収めている。マイク/ヘッドホンアンプや、プログラマブルゲインアンプ(PGA)、マルチプレクサー(MUX)の追加なしで、動画/音楽プレーヤーの設計が可能。消費電力も再生時で7mW、録音時で13mW(ともに2.4V)と業界最小クラスとした。

マイク/ヘッドホンアンプを内蔵することで、より小型のデバイスを開発できる

S/N比は、A/D変換時が90dB、D/A変換時が93dB。歪み率は0.3~0.5%(400mW、1kHz)。サウンドエフェクトは、ボリューム調整や低域/中域/高域のイコライジングのほか、3Dエフェクト、ビデオカメラのズームレンズから発せられるノイズを低減する“ノッチ・フィルター”などが利用できる。上位のPCM3793は、AB級のアナログヘッドホンアンプ(40mW+40mW)に加え、スピーカー駆動用のD級アンプ(700mW+700mW、8Ω)も内蔵する。スペクトラム拡散により、デジタルアンプからの輻射ノイズを抑制する機能も持つ。

すでにサンプル出荷中で、9月中に量産開始する予定。パッケージは5mm角の32ピンQFN(Quad Flat Non-leaded package)で、1000個出荷時の参考価格はPCM3789が4.5ドル(約523円)、PCM3794が4.25ドル(約495円)。

評価ボード上のチップ。パッケージは5mm角のQFN


ワンセグケータイ向けのデジタルアンプ

TPA203xD1。ゲインの違いで3種類の製品が用意されている

TPA203xD1は、携帯電話機などへの搭載を想定したD級アンプ。2003年10月に発表され、FOMA用デジタルアンプでは9割以上のシェアを誇る『TPA2010D1』の後継チップとなる。入力抵抗を内蔵することで、従来比で約50%スペースを削減できたほか、入力抵抗の個体差による音質のバラツキなども低減できるという。音質面では、ノイズフロアを業界最小クラスの27μVrmsに抑え、電源リップルの除去比(PSRR)を20dB、同相信号除去比(CMRR)を12dB向上した。

また、出力スルーレートの制御や配線層の廃止などによって、輻射ノイズの低減も行なった。特にワンセグ放送の受信帯域と重なる470~770MHzの輻射ノイズを従来比で6~12dB程度と大幅に削減している。最大5Vまでの入力に対応し、リチウムイオンバッテリーと直結も可能。出力は最大2.75W(4Ω)。最大700mWのPCM3793よりも高出力を要求するデバイスへの搭載を見込んでいるという。

ワンセグ受信帯域での、輻射ノイズレベルを大幅に改善した矩形波の急峻な立ち上がりを最適化。音質/電力寿命が大きく劣化しない範囲で、リンギングの低減を図っている
右図のように基板内の配線層を廃止することで、輻射ノイズを下げる試みも行なっている

TPA203xD1には、電圧ゲインの異なる3種類(2V/V、3V/V、4V/V)の製品がある。いずれも量産出荷中で、1000個受注時の参考価格は0.6ドル(約70円)。パッケージは、1.5mm角のWCSP(Wafer Level Chip Size Package)。

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