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CSR、家庭向け無線LAN対応VoIP電話機のリファレンスデザインを発表

2006年09月14日 20時51分更新

文● 編集部 佐久間康仁

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シーエスアール(株)(CSR)は14日、家庭向けの無線LAN対応VoIP電話機のリファレンスデザイン『UniVox』(ユニボックス)を開発、サンプル出荷を開始したと発表した。リファレンスデザインには必要なハードウェアとファームウェア、開発者用ソフトウェアなどが含まれ、コンポーネントの総額は20ドル(約2360円)未満としている。

『UniVox』
VoIP電話機のリファレンスデザイン『UniVox』(イメージ写真)

CSRはBluetoothの通信チップで知られるデバイスメーカーだが、7月に組み込み機器向けの小型省電力型無線LAN(IEEE 802.11b/g準拠)通信チップ『UniFi』(ユニファイ)の量産出荷を開始している。UniFiの特徴は平均9.4mWという低消費電力(一般的な無線LAN通信チップで46mW程度という)と、6×6mmのCSP(Chip Scale Packaging)というチップの小型実装を実現したこと。これにより、携帯電話機や携帯オーディオプレーヤー、デジタルカメラなどの機器に無線LAN通信機能を追加実装しやすいとしている。

UniVoxは、このUniFiをベースに携帯電話機程度の小型端末を開発するための家庭向けVoIP端末のリファレンスデザイン。UniFiのほか、CSRが開発したマルチメディアプロセッサー(8MBフラッシュメモリー内蔵)、DSP、オーディオCODEC、エコーキャンセル機能、バッテリー、電力制御・管理機能などを実装している。また、音声品質を向上するため、QoS(サービス品質保証)実行や遅延・ジッター制御のソフトウェア(ファームウェア)も組み込んでいる。セキュリティー機能はIEEE 802.11i/WEP/WPA/WPA2をサポート。VoIPの接続にはSIP(Session Initiation Protocol) Ver.2とIAX2プロトコルに対応する。通話時間は連続20時間、待ち受けは400時間となる。

家のコードレス電話子機が、携帯電話機にもVoIP端末にも!

今回、UniVoxを開発した経緯について、ジャパンセールスディレクターの深田 学氏に聞いた。深田氏によると、CSRがWi-Fi対応VoIP電話機のリファレンスデザインを開発した理由について、「ある調査では30~80%の通話が無線LANのエリア内で行なわれている。また、米国では固定電話回線の80%がコードレス化されている。これがIP電話にシフトしていくと考えたため」という。

ジャパンセールスディレクターの深田 学氏
ジャパンセールスディレクターの深田 学氏

コードレス電話機をVoIP化するメリットについて聞いてみると、「子機と親機の間の通話だけ見ると、今のコードレス電話と変わらないが、将来携帯電話機にUniFiが組み込まれ、VoIP機能を内蔵すると、外では携帯電話回線やWi-Fiスポットを使った低価格なVoIP回線が使え、家ではそのまま固定回線や内線の子機になる。状況に合わせて、最も安い回線が使えるというメリットがある」と答えた。

矢田さんパンフ1 リファレンスデザインの構成図
ハードウェアのリファレンスデザインガイド リファレンスデザインの構成図

一方で、CSRと言えばBluetoothの牽引役として知られる。こうした小型低消費電力の無線LANデバイスに今後は一本化していくのかと聞くと、「今後もBluetoothには注力していく。Bluetoothと無線LANは共存可能な技術で、UniFiとBluetoothの共存も可能だ。Bluetoothは1.2で搭載したAFH技術(ほかの製品が同じ電波帯を利用する場合に、干渉を防ぐため利用帯域を自動変更する技術)が搭載されている。例えば、電話機の通話・通信にはWi-Fiを利用し、通話のためのヘッドセットと端末間はBluetoothで接続するという使い分けが考えられる」「Bluetoothは近い将来UWB(超広帯域無線通信技術)を取り込み、2007年から2008年くらいに対応することになる。そうなれば、Bluetoothは遅いという印象は払拭されるだろう。ただし、通信可能な距離は短いので無線LANとの共存は続く」と述べた。

ソフトウェアのリファレンスデザインガイド
ソフトウェアのリファレンスデザインガイド

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