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【WWDC 2006 Vol.9】Mac Pro発表――PowerPC搭載Macは12年半の歴史に幕を引く

2006年08月15日 21時21分更新

文● ITジャーナリスト 林信行

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来場者の中には、Power Mac G5とそっくりの見た目にがっかりする人もいた。しかし、シラー氏は「外観的にはこれまでのPower Mac G5とそっくり。つまり、Power Mac G5のこれまで評判よかった外観機能をすべて継承している。だが、内部はまるっきり違う」と言う。

例えば4台のHDDドライブが搭載可能な新しいドライブベイは、新しいドライブキャリーを用意し、ベアドライブを工具も使わず、ケーブルも抜き差しせずに追加できるようにしている。

内部はまるっきり違う
シラー氏は「以前のPowerPC G5は巨大で、かなりのスペースを取ったが、新しいXeonプロセッサーは小さなスペースに収まり、8個のDIMMスロットや4つのフルサイズPCIスロットなどを用意することを可能にした」と語る

Mac Proでさらに注目すべきはその売り方だ。これまでのPower Mac G5は、“Fast”“Better”“Best”とだいたい3種類の構成を提供していたが、Mac Proで用意するのは「これぞ、という構成ただ1種類だけ」とのこと。標準構成の価格は2499ドルと、従来のPower Mac G4 Quadに比べても800ドルも安い(国内価格は31万9800円)。

ラインアップは1種類
用意されるラインアップは、厳選された1モデルのみ。あとはBTOで好きにパーツ構成を変えられる

面白いのは、これまでMacとWindows機はCPUの種類などが違ったため直接比べられなかったが、インテル移行のおかげでその比較が可能になったということ。

シラー氏はほぼ構成が同じ、米デル社製パソコン『Precision 690』を引き合いに出してその価格を比較した。ビデオカードがエヌビディアの『Quadro 550』という違いはあるが、価格は3448ドルと1000ドル近く高価だという。

デル製パソコンと価格を比較
シラー氏はMac Proとほぼ構成が同じデル製パソコン『Precision 690』を比べ、Mac Proのほうが1000ドル安いと発言。「われわれの製品は質が高いだけでなく、手頃さでも勝っている」と語る

もっともプロ用パソコンは業務によってニーズが大きく変わるもの。そこでBTOのオプションも豊富に用意した。CPU/HDD/グラフィックカード/AirMac/Bluetoothといった数あるオプションの組み合わせを考えていくと、合計で497万6640種類の構成を選べるという。


210日で移行完了、『Xserve』もインテルに

Mac Proの紹介を終えると、シラー氏は「Mac Proを発表したことで、インテルへの移行は完了した」と付け加えた。

今年1月10日、iMacとMacBook Proの発表で始まったインテルCPUへの移行--当初、ジョブズは1年がかりで移行を行うと語っていたが、実際にはそれからわずか210日後の8月7日に完了してしまった。

だが、シラー氏の発表は、これだけで終わらなかった。シラー氏は「Macの一員と考えていない人も多いかもしれないが、こちらもアップルの戦略に非常にうまく反映した製品だ」と断った上で、サーバー製品『Xserve』もインテルへ移行すると発表した。

Xserve
サーバーの『Xserve』もPowerPC G5から新たにXeonを搭載することとなった。シラー氏は「今日、ここでまったく新しいXserveを発表する。CPUはXeonを2個搭載。CPU速度は2.0/2.66/3.0GHzの3種類が選べる」とコメントした

Xserveというと馴染みの薄い人も多いということで、シラー氏はまず利用事例を紹介した。スクリーンには“Xtech”というサーバーホスティング系の会社のサーバールームが映し出された。きれいにサーバーが並べられたこの部屋は“Aquarium(水族館)”と呼ばれているという。

サーバールーム
シラー氏はXserveが使われたサーバールームについて「あなたはこの会社名は知らないかもしれないが、もしかしたら年中ここのサーバーを使っているかもしれない。というのも、ここのサーバーはクレジットカード処理などに頻繁に用いられているからだ」と語る

Xserveは“1U”というラックに収まるように本体サイズが調整されている。そのため前製品の『Xserve G5』では、熱関連の問題でデュアルコアプロセッサー1つしか内蔵できなかった。

しかしXeon搭載のXserveでは、この熱問題が解決されたため、デュアルコアプロセッサーを2つ内蔵できる。シラー氏は「だから性能差も圧倒的だ」と言い、シラー氏は「ほぼ5倍のスピード」と総括した。

Xserveの速度は5倍
Xserve G5に比べて、新しいXserveは基本演算では整数演算で5.4倍、浮動小数点演算で3.7倍のスピードとなる

会場を湧かせたのは新機能が発表されたときだ。 シラー氏が「Xeonプロセッサーの低い消費電力で、内部にスペースができた。これによりユーザーからの要望が大きかった機能を搭載できた。電源の二重化だ」と語ると、場内からは喝采が湧いた。

電源の二重化
二重化とは、万が一、故障が起きても大丈夫なように同じハードを2つ用意しておくこと。新しいXserveは、2個の電源を搭載したことで片方の電源が故障しても、もう片方を使って稼働させ続けられる

Xserverは今年10月に発売となる。基本構成は2.0GHzのXeonプロセッサー2個に、1GBの667MHz DDR2 ECCメモリー、80GB SATAドライブモジュールに、電源二重化、内蔵グラフィックス機能、クライアント数無制限のサーバーソフト『Mac OS X Server』が付いて、2999ドル(国内は37万9800円)。Xserverにも豊富なBTOのオプションが用意され、構成の組み合わせは103万6800通りに及ぶ。

デルとの比較
シラー氏はXserveをデルの似た構成のサーバー『Dell 1950』と比較。価格が300ドル近く安いことをアピールした

Mac Proとインテル版Xserveの発表で、1994年3月14日にデビューしたPowerPC搭載Macは、その12年の歴史の幕を閉じることになる。これからのアップルはWindows機と、ほぼ同じ構成のハードウェア仕様で、よりアドバンテージを明確に打ち出しながら競合していくようだ。



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