Before/After機能は仕上がりチェックを楽にする
ベータ3で個人的に一番気に入っているのは、“Develop”モジュールの“Before/After”機能だ。画面上に修正前と修正後を表示させて、画質などを比べるのに役立つ機能で、拡大表示時には2つの表示モードが用意されている。
ひとつはデータの同じ部分を拡大して表示する通常モード。そしてもうひとつは部分拡大を行い、画面の中心で効果のかかり具合を確認できる“SplitScreen”モードだ。
2つのモードを使い分けることで、より緻密で完成度の高い現像作業、ならびに画像チェックを行うことが可能になる。この辺はRAWデータを扱わなければならないデザイナーにも受けがいいと思われる。
拡大表示時の通常モード。オリジナル(Before)とレタッチ後(After)の同じ部分の画像が拡大表示される。 |
拡大表示時に“SplitScreen”をオンにしたモード。一枚の画像がBefore/Afterに分かれて、大画面で効果のかかり具合を確認できる。 |
Web機能はプレゼンテーション時に有利
Mac版のみに搭載されているWebモジュールは、複数の画像を選んで、HTML形式のウェブアルバムや、FLASH形式のスライドショーとして書き出せる機能。FLASH形式のメリットは画像データを簡単にコピーしにくいという点。テンプレートを選んで“SAVE”ボタンを押すだけと、作成に手間もかからない。
持ち歩いてのプレゼンテーションだけでなく、ネット上にアップロードして確認してもらうことも可能だ。筆者のウェブページにFLASH形式で書き出したコンテンツを用意したので参考にしてほしい。
FlASH形式によるスライドショーを書き出す機能を持つ。操作は非常に簡単。 | 書き出したファイルをウェブブラウザーで表示したところ。図のようなサムネイル付き表示か、全画面表示で写真を楽しめる |
欲を言い出せばきりがないのだが……
Lightroomのコンセプトは“デジタル化によるカメラマンの負担を軽減する”ことだ。事実、フィルム時代に比べてフォトグラファーの作業量の増加が問題になっており、筆者の友人のフォトグラファーにも「楽になるはずだったのに……」とぼやいている人が多い。その観点で見れば、Lightroomは非常に優れたソリューションであるが、少々物足りない点も残っている。
デジタルカメラには、撮像素子やその前にあるローパスフィルタ(偽色やモアレを低減させる装置)のゴミ問題が常につきまとう。撮影画像にゴミがのった場合、写真を選ぶ段階で取り除いておきたいが、ベータ3のLightroomでは修正できない。できればPhotoshopの“修復ブラシ”のような機能が欲しいところだ。
また、セレクションし、調整したデータをワンボタンでCD/DVDに書き込んでくれる機能もあると便利だ。すでに用意されているサムネイルを並べたコンタクトシートを作る機能と合わせて、写真の納品時に大活躍してくれるだろう。
パブリックベータによるソフト開発は、アドビ システムズとしては初の試みだ。発売までにどこまで多くのプロフォトグラファーの意見を反映させられるかが、普及の鍵となるのは言うまでもない。久々に発売が楽しみなアプリケーションに出会うことができた。
面倒なサムネイルプリント機能も充実。これに納品用のメディア作成機能が加われば完璧ではないだろうか? |
Adobe Lightroomの主なスペック | |
製品名 | Adobe Lightroom パブリックベータ3(英語版) |
---|---|
対応OS | Windows XP SP2、Mac OS X 10.4.3以上 |
CPU | Pentium 4、PowerPC G4/G5-1GHz以上 Intel Core Duo |
メモリ | 768MB(1GB以上推奨) |
HDD | 1GB以上の空き容量 |