Opera MobileとATOKでesの強みを体感
上位モデルより高機能で、電話としても成熟してきたW-ZERO3 [es]。従来機と比較してのプラスαの魅力は、新ソフトにある。
esでは推奨ウェブブラウザーとして、タブブラウジングにVGA表示、“Flash 7.0”コンテンツの表示に対応したフルブラウザー「Opera Mobile 8.6 for Willcom W-ZERO3」を搭載。またパソコンメールもやり取りできる「W-ZERO3メール」が新たに搭載されている。
「Opera Mobile 8.6 for Willcom W-ZERO3」(左)と「Internet Explorer Mobile」(右)で同じページを表示。一見してわかるとおり、閲覧性はOperaが上。ただしパソコンのIEとお気に入りを同期できるのはIE Mobileの利点だ。 |
OSには従来どおり「Microsoft Windows Mobile 5.0 software for Pocket PC 日本語版」を採用し、アプリケーションとして『Office Mobile』(Word Mobile/Excel Mobile/PowerPoint Mobile)と「PDF Viewer」がプレインストール済み。これらのソフトにより、メールの添付ファイルやパソコンとの同期で取り込んだWordやExcel、PowerPoint、PDFなどのファイルを、何らソフトを追加することなく閲覧できる。WordとExcelについては編集も可能だ。
ATOKは話し言葉や関西弁にも対応する。くだけた感じのメールやブログもストレスなく書くことができた。なお、学習した履歴の消去は個別消去ではなく一括消去となる |
ATOKの良さを実感したのは、うっかり“かなモード”のまま英字を入力してしまったときだ。たとえば「xxx@ascii.co.jp」と打とうとして誤って「っっx@あscいい。cお。jp」と入力してしまったとする。MS-IMEだといったん削除してから入力モードを切り替え、そのうえで再入力するしかない。が、ATOKの場合は初めから正解(英字入力された場合の文字列)が変換候補に表示されるので、それを選択すればよい。英字入力の際、入力モードを意識する必要がないのだ。
ATOKのキーボードショートカットも利用できる。たとえば“Ctrl+0”でATOKメニューを表示し、“Ctrl+BS”で直前の確定を取り消せる。画面は“Ctrl+7”で単語登録メニューを表示したところ。 |
一度確定して入力した言葉は、学習機能により、以後、変換候補の先頭に表示される。よく使う言葉ほどすばやく入力できる。そしてよく使う言葉はATOKのユーザー辞書に登録することもできる。ただし、パソコンにあるATOKのユーザー辞書やMS-IMEのユーザー辞書をesに移行する方法は今のところはないようだ。「移行ツールを提供する予定は今のところない」(ジャストシステム広報)とのことだが、同社はかつてPocket PC用移行ツールを提供した経緯があるので、今後に期待したい。
“W-ZERO3メール”“バーコードリーダ”などの新ソフトは便利?
W-ZERO3メールでは、本文や件名欄でカーソルキーの中央を押すと、編集メニューがポップアップし、メニューから範囲指定ができる。片手でもコピー/貼り付けが簡単だ。 |
“W-ZERO3メール”は、OS標準搭載の“メール”を補うソフトだが、メールの全機能を包含しているわけではない。W-ZERO3メールでできるのは、即時送信や送信後の自動切断、メールの保護や自動振り分けなどだ。定期的な受信やOutlookとの同期などはメールでのみ可能となっている。1本のメーラーですべてをカバーできないのは歯がゆいが、機能に応じて使い分けられる点は評価できる。
QRコードの読み取りには「バーコードリーダ」を使用する。カメラを接写モードにし、被写体から8cmほど離して撮影するとうまく認識できる。サイトにジャンプしたり、直接電話をかけられるので便利。 |
QRコードはケータイサイトへの誘導に利用されることが多い。esのカメラでQRコードを読み取り、フルブラウザー(Opera Mobile)でアクセスするとどうなるのか。実際に週刊アスキー(第599号)に掲載されていた12個のQRコードで試したところ、7サイトを正しく表示できた。フルブラウザーでのアクセスを許可するかどうかはサイトによってバラツキがある。正しく表示できるかどうかも実際にアクセスしてみないと分からない。ユーザーエージェントをキメ細かく指定できるようにOpera Mobileのバージョンアップがなされれば、見られるサイトが増えるかもしれない。
個人的に残念なのは、本体のマイクとスピーカーを利用したハンズフリー通話機能が搭載されなかった点だ。PDAとして使い込むと画面を見ながら電話の相手と予定を相談したい状況はよくある。しばらくは、有線式のイヤホンマイクを利用してハンズフリー通話をするしかなさそうだ。
絵文字に対応した「ライトメール」に新たにチャットモードが追加された。これまでも同様の使い方は可能だったが、メッセンジャーふうの画面が新設され、親しみやすくなった |
重箱の隅を突けばきりがない。デザインも使い勝手も、ここまで来ればメインのケータイとしてオススメできる。特に、外出中にノートパソコンでやっている軽作業をケータイだけで手早く片付けたいという人は、一度真剣に導入を検討してみてはいかがだろうか。
W-ZERO3 [es]の主なスペック | |
製品名 | WS007SH(B)/WS007SH(W) |
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OS | Microsoft Windows Mobile 5.0 software for Pocket PC 日本語版 |
CPU | Intel PXA270-416MHz |
メモリー | フラッシュメモリー128MB(ユーザーエリア約60MB) SDRAM 64MB(ワークエリア) |
ディスプレー | 2.8インチモバイルASV液晶パネル(タッチパネル) |
表示解像度 | 640×480ドット |
カードスロット | miniSDカードスロット×1、W-SIMスロット×1 |
インターフェース | USB×1、音声入出力 |
通信機能 | PHS |
連続通話時間 | 約7時間 |
連続待受時間 | 約500時間(電波状態ランプ消灯時) 約300時間(電波状態ランプ点灯時) |
内蔵カメラ | 有効約131万画素CMOSセンサー |
本体サイズ | 56(W)×21(D)×135(H)mm |
重量 | 約175g |