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Web2.0を支えるサンの新Opteronサーバー

2006年08月02日 19時17分更新

文● 編集部 西村賢

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サン・マイクロシステムズ(株)は2日、AMD Opteron搭載の新サーバーシリーズ、『Sun Fire X4600サーバ』、『Sun Fire X4500サーバ』、およびブレードサーバー『Sun Blade 8000モジューラ・システム』を発表した。価格はそれぞれ389万9000円(税別)、494万9000円、316万3000円から。9月下旬から出荷する。

末次朝彦氏
サン・マイクロシステムズ代表取締役社長 末次朝彦(すえつぐあさひこ)氏

約50台のx86サーバーを1台に集約可能

Sun Fire X4600サーバは、デュアルコアのAMD Opteron 880-2.4GHz)/885-2.6GHzまたはシングルコアのAMD Opteron 856-3.0GHzを最大8CPUまで搭載できるx86サーバー製品だ。最大64GBのメモリーを搭載できる。OSは、Solaris 10(64bit版)、Red Hat Enterprise Linux、SUSE Linux Enterprise Server、Windows Server 2003をサポートする。特徴は、高さ4Uのコンパクトな筐体で、最大16ウェイというSMP環境を実現でき、スケールアップによる処理能力向上ニーズに応える。

オープンソースのコードや既存のアプリケーションパッケージをうまく利用し、安価なx86サーバーでシステムをスピーディーに構築するのがWeb2.0的サービスの特徴だが、サービス規模が拡大するにつれ、サーバー台数が増加し、それにともなってメンテナンスコストが増大するのが問題だ。とくに、コミュニティーの潜在力を引き出すようなサービスでは、静的なHTMLの世界とは異なる膨大なトランザクションが発生するため、サーバー増強というニーズはより強くなる。

そこで最近注目されているのが、VMwareやSolarisコンテナといった仮想化技術だ。複数のCPUからなるサーバー群を、1つのサーバーリソースとして管理し、必要に応じてOSやアプリケーションにCPUリソースを割り当てることで柔軟で拡張性の高いシステム運用が可能になる。

仮想化技術により、管理面では“サーバー集約”が進むが、物理的なハード面では、相変わらずラックマウントを何本も使うようなシステムが必要となる。設置スペースの増大は、電力や空調コストを含む管理コストの増大となる。

こうした背景から、サーバーの物理的集約度を高めたのが、Sun Fire X4600サーバだ。サンがCPUにAMD Opteronを選択した理由も、そこにある。マーケティング本部 本部長の九里禎久氏は、こう指摘する。「SMPはCPU数に応じてリニアにパフォーマンスが伸びないこともある。しかし、Opteronは最初から8ソケット前提で設計されていて、SMP性能が高い」。これまでのサンの技術蓄積も、Opteron選択の理由だ。「サンでは、これまで106CPUまでの開発・実装した実績がある。また、Opteronはメモリーコントローラーをプロセッサに内蔵しており、これはサンのSPARC同様だ。われわれは、Opteronを使うのに最適なメーカーだと思う」。競合のIBMやHPのサーバーに4Uサイズで16ウェイのSMP環境を提供する製品はない。「2~3年前の旧式x86サーバーなら、1、2本のラックに収まっている約50台のサーバーを、1台のSun Fire X4600に置き換えられる」という。

Sun Fire X4600サーバ 九里禎久氏
Sun Fire X4600サーバプロダクト・ストラテジック・マーケティング本部 本部長 九里禎久(くりよしひさ)氏
CPUモジュールボード 排気ファン
CPUとメモリーを搭載するモジュールボード筐体全面に2列×2個付けられた巨大な排気ファン

48台のハードディスクで最大24TB搭載可能な4Uサーバー

Sun Fire X4500サーバはストレージ機能に主眼を置いたサーバーだ。サーバー部は、既存のSun Fire X4100サーバと同等で、2個のデュアルコアAMD Opteron 285-2.6GHz、16GBのメモリーを搭載する。

特徴は、48台の3.5インチハードディスクを48台搭載する点で、250GBまたは500GBのシリアルATAのディスクで、それぞれ合計が12TB/24TBの容量となる。各ドライブはサーバーのI/Oに直結されているため、外部のストレージサーバーを利用した場合にかかるオーバーヘッドがない。また、最新のファイルシステム“Solaris ZFS”を使うことで、48台のドライブを個別ではなく、まとまった“プール”という概念で扱える。

Sun Blade 8000モジューラ・システムは、19Uのラックスペースに10台の8ウェイサーバーを集約できるブレードサーバーだ。サーバー部は4このデュアルコアAMD Opteronと最大64GBのメモリーを搭載する。演算/メモリー、ディスクドライブ、I/O、冷却装置、電源装置などがモジュール化されており、柔軟な構成が可能だ。

Sun Fire X4500サーバ 搭載ハードディスク
Sun Fire X4500サーバ48台のSATAハードディスクを搭載する
Sun Blade 8000モジューラ・システムSun Blade 8000モジューラ・システム

x86サーバー製品好調で業績回復

過去2年ほど低成長、あるいはマイナス成長となった同社の業績だが、前年同期比95.7%(第1四半期)というx86サーバーの著しい伸びに牽引される形で業績は順調に回復。2006年度後半は前年比20~30%の売上増を見込んでいるという。末次朝彦社長は、「今後、サンにおけるx86サーバーの金額ベースでの出荷比率は3割程度になるのではないか」と見る。

x86サーバーの出荷台数推移 業績の推移
x86サーバーの出荷台数推移2004~2006年度の四半期ごとの業績の推移

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