日本アイ・ビー・エム(株)は2日、米Advanced Micro Devices(AMD)社製のサーバー向け次世代デュアルコアCPU“Opteron”を搭載したx86サーバー“IBM System x”シリーズ、“BladeCenter”シリーズ合わせて5機種を発表した。
“BladeCenter”を手に、がっちりと握手をする日本IBM システム製品事業 システム事業部長の藤本氏と日本AMD 代表取締役社長のユーゼ氏 |
“IBM System x”シリーズはラックマウントタイプとなり、『IBM System x3755』、『IBM System x3655』、『IBM System x3455』の3機種。“BladeCenter”シリーズはブレードタイプとなり、『BladeCenter LS41』、『BladeCenter LS21』の2機種をラインアップする。それぞれモデルのスペック詳細、出荷時期、価格については、第3四半期に行なわれるAMD Opteronプロセッサー出荷時に発表する予定で、現時点では未公表とした。
“IBM System x”および“BladeCenter”は、ハイ・パフォーマンス・コンピューティング(HPC)から、消費電力効率を考え、ワットあたりの性能を追求するビジネス・パフォーマンス・コンピューティング(BPC)へのコンセプトの変更が考えられたモデルで、単純な性能向上だけでなく“Cool Blue”と呼ばれるサーバーの電源管理・冷却機能を備えるなど、運用面に関するさまざまな機能が盛り込まれているのが特徴だ。
Cool Blueソリューションで現在搭載されている主な機能は
- キャリブレーテッド・ベクター・クーリング(筐体内の冷却効率を高める設計)
- パワー・コンフィグレーター(サーバーの使用電力計算ツール)
- 水冷式ヒート・エクスチェンジャー(ラック水冷ソリューション)
- PowerExecutive(サーバーの使用電力管理機能とレポート機能)
など。
“Cool Blue”ソリューションの概要。電力管理ソフトから冷却機構までをそろえている |
そのほか、“BladeCenter”は業界初の“スナップイン”機構を搭載。ブレードサーバーのボード上にAMDの“HyperTransport”で接続される専用ソケットを搭載。2Wayの追加用ボードがワンタッチで増設でき、顧客のニーズに合わせて手軽に機器の増強ができる仕組みだ。
会場ではスナップイン機構のデモも行なわれた。ボディー両サイドの引っかかりを外して、持ち上げるだけの簡単な機構で、持ち上げた背面に接続ソケットが見える |
各製品が想定するターゲットは次のとおり。
- System x3755
- 4CPU、8コア対応の中規模市場および大企業向けの4Uサイズのラックマウントサーバー。気象シミュレーションや衝突試験分析など、科学分野のコンピューティングに最適
- System x3655
- 2CPU、4コア対応の2Uサイズのラックマウントサーバー。データベース/ERP、BI、IPTVおよびビデオ・オンデマンドのアプリケーションに最適
- System x3455
- 2CPU、4コア対応の1Uサイズのラックマウントサーバー。ハイ・パフォーマンス・コンピューティングの計算ノードとして、科学技術コンピューティング、データベース、Linuxクラスターに最適
- BladeCenter LS41
- 4CPU、8コア対応の大規模システム向けのブレードサーバー。ERP、データマート、データウェアハウス、SQLデータベースおよびHPCクラスターに最適
- BladeCenter LS21
- 2CPU、4コア対応の大規模システム向けのブレードサーバー。金融サービス業界、科学分野、ハイパフォーマンス・コンピューティング、SQLデータベースに最適
発表会では、日本IBM システム製品事業 システム事業部長の藤本司郎氏、日本エイ・エム・ディ(株) 代表取締役社長のディビット・M・ユーゼ(David M.Uze)氏が出席し、今後の展望、製品などについて説明した。
システム製品事業 システム事業部長の藤本司郎氏 |
藤本氏は、同社の“IBM System x”シリーズにおける今後の展望について、「限りなく増え続けるCPUパワーに対して、消費電力、熱問題に関していかに対処していくかが大事である」とし、「ビジネス・パフォーマンス・コンピューティングへの変換と“Cool Blue”ソリューションにより低発熱のサーバーを顧客に提案できる」と説明した。
日本AMD 代表取締役社長のディビット・M・ユーゼ氏 |
ユーゼ氏からはIBMとの関係について、「IBMとはAptivaからの長い付き合いがあり、最高に深いパートナーシップを組んでいる」とコメント。さらに「2003年にOpteronが登場した最初のパートナーもまたIBMだった」とし、「今回の新製品についてもより市場が広がることを期待している」と語った。また、現在の日本のサーバー市場全体におけるOpteronのシェアが2.9%であることについて、「アメリカではサーバー全体でのOpteronのシェアが50%前後であるが、日本の市場もアメリカに追随して変化する傾向にある」として、「今年内になんとか11%まで持っていきたい」とまとめた。