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GR DIGITAL 機能拡張ファームウェアVer.2.1

GR DIGITAL 機能拡張ファームウェアVer.2.1

2006年08月01日 02時41分更新

文● 行正 和義

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GR DIGITAL 機能拡張ファームウェアVer.2.1

リコー

オープンプライス

 リコーのハイエンド・コンパクトデジタルカメラ「GR DIGITAL」に7月24日新ファームウェアがリリースされた。ファームウェアのメジャーアップデートは今年3月に続く2回目で、いずれもユーザーの要望を実現するべく改良を行なったものだという。

リコーの「GR DIGITAL」
写真1 リコーの「GR DIGITAL」。

 「機能拡張ファームウェアVer.2.1」と呼ばれるこの新ファームウェアでは、背面の“ADJダイヤル”で変更できる設定項目の自由度が高くなった(初期値から変更できない2つのメニューも変更できるようになった)ほか、デジタルズームレバーを用いて項目のセレクトが可能となった。アップデートの手順は、同社サイトからファイルをダウンロードしてSDカードに記録したのち、カメラ側で行なう(ダウンロードは無償)。画質や速度など、上記以外の撮影機能に関しては変更はないものの、ここでは改めてGR DIGITALについてレビューしていこう。

傑作コンパクトカメラ「RICOH GR」を目指して開発

前面
写真2 Caplioシリーズに比べても横長な印象を持つボディーは、光学ファインダーを装備していない点が大きい。レンズ周囲のリングはワンタッチで着脱でき、コンバージョンレンズアダプターなどを装着できる。

 同社の銀塩コンパクトカメラの傑作機「RICOH GR」のデジタル版を目指して作られたGR DIGITAL(2005年9月発表)は、光学ズーム機能を排して描写に注力した“単焦点28mmレンズ”や、画質にこだわったCCD周辺回路、フルマニュアル露出、JPEG+RAW同時記録など、ハイアマチュアやカメラファン向けの機能が盛り込まれたこだわりのコンパクトデジタルカメラだ。ボディーは横長で薄型というRICOH GRを意識したデザインとなっているほか、コンパクトカメラとは思えないほどの剛性感のあるボディーや手になじみやすいラバーグリップなど、高級感もあるのがうれしい。



上部
写真3 スリムなボディーながら持ちやすいグリップには、電子ダイヤルが装備される。上面の左肩部分にポップアップフラッシュが内蔵される。

 メニューシステムは同社普及機である“Caplioシリーズ”と似ており、各種の設定を行なうメニューとは別に撮影時に必要な設定項目をだけを表示する“ADJメニュー”を持つのが特徴だ。Caplioシリーズでは“ADJボタン”として独立したボタンが用意され、メニューが表示されたらカーソルキーなどで操作するようになっている。一方本機では、背面にあるダイヤルをプッシュすればADJメニューが呼び出され、左右に回せば項目を選択できる。項目内の設定を選択するのは“Caplio GXシリーズ”と同様に、シャッターボタンの前方に装備したダイヤルや十字カーソルなどで行なえるが、今回のファームウェアアップデートでズームレバー(デジタルズームをOFFにした場合)でも操作可能になった。撮影時に指を大きく動かさずに済むわけだ。

背面
写真4 ADJダイヤルによって、シンプルながら操作性は良好な背面。右肩部にあるズームレバーはデジタルズーム用だ。

 ADJメニューの設定項目は、

  • 露出補正
  • ホワイトバランス
  • 画質(解像度・圧縮率)
  • 測光方式
  • 画像設定(硬調・軟調・白黒など)
  • 連写
  • オートブラケット
  • 音声付(ON/OFF)

セットアップ画面
写真5 セットアップ画面。今回のファームウェアにより、ADJメニューにアサインできる機能が4つとも任意に選択できるようになった。
の8種類から4つまで選択して登録できる。項目の選択自体は前回のファームウェアバージョン(Ver.2.0)によって可能になったが、露出補正とホワイトバランスが固定(変更不可)だったのに対し、今回のバージョンでは4項目すべてが変更可能となった。このカメラの場合、露出をオート任せにする人は少ないだろうが、ホワイトバランスをオート中心で使ってブラケットや硬調・軟調といった画像処理を重視する人もいるだろうし、撮影操作の自由度は高いほうがありがたい。なにより、機能を自分なりにカスタマイズできるという点が“所有したよろこび”を感じさせてくれる。



セットアップ画面2 セットアップ画面3
写真6 ADJメニューにアサインする機能は8項目から選択できる。機能を選択しないことも可能なので、よりシンプルな操作にしたい人にもお勧めだ。写真7 撮影時にADJメニューを表示させたところ。記録解像度もワンタッチで変更可能だ。ADJダイヤルの左右で項目を、項目内は電子ダイヤルやカーソルキー、ズームレバーでも変更可能となる。

 GR DIGITALではVer.2.0ファームウェアによって、ダイヤルの回転方向の入れ替えやシャッターの半押しによる決定キーの代用といった、ソフトウェア面での使い勝手向上が図られている。特に“シンクロモニターモード”と呼ばれる液晶OFF機能(撮影時も撮影後も一切液晶ディスプレーを表示させない)は、光学ファインダーを標準内蔵しない本機にとっては本来必要なさそうな機能だが、オプションの外付けファインダーの利用時向けという。これも“ややマニアックな本機”ならではと言えるだろう。

コンパクトなレンズアダプタ「GH-1」 外部ファインダー「GV-1」
写真8 GR DIGITALはオプション類が豊富なのもうれしい。まずはコンパクトなレンズアダプタ「GH-1」を導入したい。広角コンバージョンレンズを装着するのに必要なだけでなく、レンズフードの装着によって余分な光をカットできる。写真9 オプションの外部ファインダー「GV-1」を装着したところ。標準の28mmだけでなくオプションの広角コンバージョンレンズである21mm相当のフレームも用意されている。

 これらのファームウェアアップデートによる使い勝手向上が図れるのも、ハードウェア面の高い完成度があってのこと。コンパクトカメラで“2つのダイヤル”を持つというのは珍しい存在だが、それゆえにマニュアル露出撮影時の操作性は非常に良好だ。

総評&撮影サンプル

 実際に使ってみると、ポケットへの収まりや軽快な動作など気持ちよく利用でき、小気味よいシャッター音やスイッチ類も高級機ならではの押し応えがあるなど、使っていて楽しい1台だ。緊急用として単4電池×2でも動作する電源は旅行先でも安心できるだろう。撮影画像を見ても、広角ながら周辺部まで破綻していない描写は単焦点レンズならではと言える。

撮影サンプル1(リサイズ) 撮影サンプル1(トリミング)
撮影サンプル1 レンズの描写力はなかなかのもの。800万画素撮像素子を採用するコンパクトデジタルカメラも増えてきたが、細部の質感では抜きん出た描写となっている。絞り優先AE、F8.0、1/133秒、露出補正-0.3EV、ISO64。元画像は3264×2448ドットでVGAへのリサイズおよびトリミングのほか画像処理はかけていない。

 薄型ながら普段から持ち歩いての街の景色をスナップ撮影するのが主な使い方ならば最高の製品といえる。もちろん広角・単焦点というのは、高倍率ズームレンズ&光学手ぶれ補正の搭載がブームの中心という普及型デジタルカメラから考えれば“ずいぶんマニアック”に思えるかもしれないが、風景やスナップに使いやすい広角レンズでしっかり撮れるという利点は汎用的なコンパクト機では得られない大きな魅力だ。

撮影サンプル2(リサイズ) 撮影サンプル2(トリミング)
撮影サンプル2 発色はやや濃い目ながら彩度強調による不自然な印象は少ない。拡大するとややざらついた印象を受けるところもあるが、ノイズ感をなくすためにのっぺりとした画像になるよりも好感が持てる。絞り優先AE、F7.1、1/350秒、露出補正-3.3EV。
撮影サンプル3(リサイズ) 撮影サンプル3(トリミング)
撮影サンプル3 Caplioシリーズでは明暗が激しいシーンで暗い部分に引きずられるケースがあり、本機のAEもややその傾向はあるものの、盛大に白とびすることは少なくハイコントラストシーンもうまく処理されている。絞り優先AE、F8.0、1/3秒。
GR DIGITALの主なスペック
製品名 GR DIGITAL
撮像素子 有効813万画素1/1.8インチCCD
レンズ 単焦点(f=28mm、F2.4)
静止画撮影 最大3264×2448ドット
液晶ディスプレー 2.5インチ低温ポリシリコンTFT(21万画素)
記録メディア 内蔵26MBフラッシュメモリー、SDメモリーカード
インターフェース USB 2.0、AV出力、DC入力(ACアダプター別売)
電源 リチウムイオン充電池、単4電池×2
撮影可能枚数 約250枚(リチウムイオン充電池)、約30枚(単4電池×2)(CIPA測定法準拠)
本体サイズ 幅約107×奥行き25×高さ58mm
重量 約170g(本体のみ)

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