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エキサイト、音楽コミュニティーサービス“Last.fm”をサービスイン

2006年07月25日 15時18分更新

文● 編集部 佐久間康仁

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エキサイト(株)は25日、東京・恵比寿の恵比寿ガーデンプレイスビル内同社オフィスにプレス関係者を集め、音楽の嗜好を通じたコミュニティーサービス“Last.fm(ラスト・エフエム)”を本日サービス開始したと発表した。Last.fmは英Last.fm社がサービスしている、世界最大級の音楽コミュニティーで、同社はLast.fmの日本市場におけるパートナー契約を結び、音楽コンテンツホルダーとの契約、プロモーション、サイト運営のサポート、ならびに日本独自の企画展開を行なうとしている。

Last.fmの画面
Last.fmの画面

自分と同じ音楽嗜好の“ご近所さん”が見つかる

Last.fmは英国で2003年にサービス開始された音楽コミュニティーサービス。SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)のような招待制ではなく、希望すれば自分で登録するだけで参加できるオープンなコミュニティーで、登録ユーザー数は200万人。月間ユニークユーザー数850万人、月間ページビューは1億PV、専用プラグインソフトで集計した会員のトラック再生数は1日当たり1000万件で、データベース登録数は5500万件などとなっている。

出席者
Last.fmのコンセプト。音楽を聴く→共有する→新しい音楽を発見する→音楽をさらに聴く……。同社ではこれをミュージック・ライフスタイルと呼ぶ

Last.fmのコンセプトは、“誰かが聞いている曲、楽しんでいる曲を参加者が共有していく”というもので、ユーザーは登録後にWindows Media Player/iTunes/WinAmpなどの音楽再生ソフトに対応する専用プラグインソフト(Windows 98/Me/2000/XP対応)をダウンロードし、普段通り音楽を楽しむ。すると、再生した音楽の情報をプラグインソフトが自動取得し、その楽曲情報をLast.fmのウェブサーバーにアップロード(“Scrobble”(スクロブル)と呼ぶ)して蓄積されて、そのユーザーのページ(“ミュージック・プロフィール”と呼ぶ)に“最近聴いたトラック”“よく聴く曲”などの集計データが表示されていく。なお、楽曲の演奏時間の半分以上を再生しない曲については、「必ずしも気に入っている曲ではない」と見なしてスクロブルされない仕組みになっている。

スクロブルの手順1 スクロブルの手順2
プラグインソフト(左)を起動した状態で、Windows Media Playerを使って楽曲を再生すると、自動的にプラグインに楽曲情報が読み込まれる楽曲の演奏時間の半分以上を聞くと、スクロブルが行なわれ、Last.fmの自分のページで“最近聞いたトラック”が更新される。またサードパーティー製プラグインを使うと、iPodで再生した回数を反映することもできるようになっている

また、楽曲にタグ(キーワード)付けも可能で、アーチスト名/楽曲名だけでなく、参加者がその楽曲を聴いて付けたタグを検索キーにして楽曲を探すことも可能。タグの多少を文字サイズで表現する“タグクラウド”機能も備える。

タグクラウド機能
Last.fmのタグクラウド機能。こうしたデータベースは英国と共有しているため、当初は英語のタグが多く露出している

Last.fmのページでは自分が聴いた曲の履歴や、頻繁に聴いている曲のランキングを確認するほか、参加者の中で同じアーチスト/楽曲をよく聞いている人を探し出して“ご近所さん”としてピックアップし、そのご近所さんが聴くほかの曲を推薦曲としてリストアップしたり、直接そのご近所さんにお勧め曲を知らせる(メッセージング)機能が用意されている。また、楽曲やランキングを引用した日記(ブログ)をLast.fm内に記述して公開することもでき、日記を公開することでコミュニケーションがさらに活性化するとしている。

チャート機能
Last.fmのチャート機能。自分のよく再生する楽曲ランキングを、選択したスタイルのHTMLファイルに生成・保存して、自分の日記ページやブログなどに貼り付けることができる

今秋には楽曲のストリーミングサービスも

英国のLast.fmではこのほか“ラジオステーション”と呼ばれるストリーミング配信機能が提供されており、リストアップした曲をストリーミング配信する機能が用意されているが、日本でのサービスでは当初は未実装で、「コンテンツホルダーに働きかけているところで、今年秋頃までに実装したい」(エンタテインメント事業部音楽サービス部部長の郡司芳人(ぐんじよしと)氏)は語る。

Last.fmの利用は無料だが、月額350円(海外サイトでのクレジットカード払い)の有料会員サービスも用意されており、有料会員になると、

  • 広告が表示されなくなる
  • オリジナルのチャートスキン(ランキングの表示形式)が作成できる
  • ミュージック・プロフィールを訪れた参加者の“足あと”が確認できる

といった機能が利用できる。

エキサイトより価格の訂正がありましたので、当該個所の記述を修正しました。 (2006年7月25日)
エキサイトネームカードとの連携機能
Last.fmとエキサイトネームカードの連携機能。自分のネームカードに最近聴いた楽曲6曲が表示されるほか、相手もLast.fmに参加していると相性度がバロメーターで表示される

さらに、エキサイトでは同社の他サービス/コンテンツとの連携も計画しており、当初は

  • エキサイト会員のIDの共有化
  • エキサイト会員のプロフィール表示機能“エキサイトネームカード”に、最近聴いた曲を最大6曲表示
  • 当初は未知の楽曲に対してCD購入のアフィリエイトを表示するが、将来的には同社の音楽ダウンロード販売サービス“エキサイトミュージックストア”との連携も検討中

などを行なう。エキサイトネームカードでは、相手もLast.fmを利用している場合、楽曲の嗜好が近い/遠いを相性バロメーターで判断する機能も備え、会話のきっかけ作りに役立つという。

なお、英語版サービスをすでに利用している場合、登録情報やミュージックプロフィールなどのデータベースは共有されているため、日本語版でも継続して利用できる。ただし、日本語版サービスではアーチスト写真がまだ利用できない(現在肖像権をクリアすべく調整中)などの違いがある。


郡司芳人氏
ご自身もミュージシャン的風貌のエンタテインメント事業部音楽サービス部部長の郡司芳人氏

郡司氏は、「将来的には音楽コミュニティーを通じて新しい曲に出会い、その曲を買っていただくのが目標。そのための仕掛けを取り入れていく。またほかのコミュニティーサイトや音楽配信サイトとも連携していきたい。英国では若年層が多く参加しているが、日本ではその世代にケータイが普及しているので、同じような展開は難しいかもしれない。LISMO(KDDI/auのケータイやパソコン向け音楽配信サービス)などとも提携・対応していきたい」と、日本市場に合わせたサービスの拡充について希望的観測を交えて語った。



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