エアゴーネットワークス(株)は20日、都内で同社の無線通信技術“True MIMO Media”に関する説明会を開催した。2004年にMIMO搭載機器が初出荷されてから、第3世代となるMIMO(※1)のうちの1つで、データ転送のみだけでなく映像、音声の転送への応用も視野に入れている。
※1 MIMO(Multiple Input Multiple Output):複数のアンテナを同時に使用し、平行に転送することで転送速度を向上させる無線通信技術。エアゴーネットワークスでは、自社のMIMOを“True MIMO”と呼んでいる。説明会には米エアゴーネットワークス(Airgo Networks)社 技術担当バイスプレジデントのジョン・クイグリー(John Quigley)氏が出席し、MIMOの今後の展望などについて説明した。
技術担当バイスプレジデントのジョン・クイグリー氏 |
クイグリー氏は、同社のMIMO技術により、オフィス内の“デッド・スポット”の解消されるなど、無線使用環境の改善に貢献しているとし、業界の認識として、True MIMOが「革新的で無線転送技術の突破口となっている」と説明した。また、IEEE 802.11nの基盤技術として採用されたほか、2007年、2008年に向けて家庭用民生機器や、携帯端末などにもMIMOが搭載されてくるようになるなど、セグメントの拡大とともにマーケットがどんどん大きくなっていくだろう、と語った。
ターゲットとなるセグメントが拡大するとともに市場も拡大する | 各セグメントに向けてチップの縮小化や機能の拡大を図る |
その例として、スイスのSTマイクロエレクトロニクス社が開発したセットトップボックス(STB)のSTx1700リファレンスデザインにTrue MIMO Mediaが組み込まれていることを説明。このリファレンスデザインに沿って中国のCaton社がセットトップボックスを開発し、家のどこのテレビでも録りためた高品質の映像が楽しめると説明した。現状ではSD画質の動画しか転送できないが、将来的にはハイビジョン画質の動画も転送できるようになるという。
参考展示されていたCaton製のセットトップボックス。側面にアンテナが3本あるのが分かる | こちらのマスターセットトップボックスから映像が転送されていた |
そのほか、IEEE 802.11n製品はパフォーマンスが全てである、とし、オフィス全体で10/100 BASE-TXに匹敵するデータ通信速度や、30メートル以上、4つの壁を通しても有線と同品質のテレビ会議が可能なことなどを挙げた。また、規格標準化後の無線LAN市場はMIMOに移行していくだろうとしながらも、全てのIEEE 802.11n機器が高性能というわけではない、と語った。自社では2001年からの5年間で4世代にわたるMIMO製品を現場で投入してきており、開発力、商品化力についてアドバンテージを持つ、と説明した。