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三洋、最短76cmから60インチで映せる液晶プロジェクター『LP-XL40』を発表

2006年07月18日 18時35分更新

文● 編集部 佐久間康仁

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三洋電機(株)は18日、東京・上野の同社東京ビルにプレス関係者を集め、学校・教育機関向けの液晶プロジェクター『LP-XL40』を10月に発売すると発表した。最短76cm手前から60インチサイズに投影できるという超・短焦点距離が特徴で、学校の教室にある教壇の上にパソコンとプロジェクターをセットできるなど、狭い場所での利用に向いた製品だという。価格は49万8000円(税別)。

LP-XL40と野中氏
『LP-XL40』を囲んでのフォトセッション。右が代表取締役会長の野中ともよ氏、左は開発を担当したAVカンパニー プロジェクター統括ビジネスユニット商品企画部部長の平尾義周(ひらおよしちか)氏

液晶プロジェクターも“Think GAIA”

発表会には同社代表取締役会長の野中ともよ氏らが出席し、同社が掲げる企業ビジョン“Think GAIA”(シンク・ガイア)に基づく製品作りの一環として、今回の液晶プロジェクターを開発したことを説明した。

発表会場のデモンストレーションの様子
会場では教室を模したセットに三洋社員が着席して、教壇から黒板に投影する場面を演じていた

野中氏の説明によると、Think GAIAのスローガンである“未来の子どもたちへ、美しい地球を”(残す、受け継ぐ)というテーマを考えたときに、その子どもたちが主役である教育現場でどんな課題を抱えているか、それに三洋の技術力がどのような解決方法を提案できるか考えて、今回のプロジェクター開発に至ったという。

液晶プロジェクターの世界需要 教育向けプロジェクターはそのうち約35%
液晶プロジェクターの世界的な需要の伸びは毎年20%の拡大を見せるという(データは同社調べ)教育向けプロジェクターはそのうち約35%(同社調べ)で、今後ますます教育シーンのプロジェクター活用が期待されるという

子どもたちに楽しく学ぶ環境を提供することや、ICT(Information and Communication Technology、情報交換・共有技術)コンテンツを使うと子どもたちの集中力が瞬間的に高まること((株)ベネッセコーポレーションが今年4月に発行した資料を引用)、などを挙げて、教育現場に求められるプロジェクターの開発に取り組んだという。

机上設置の場合 天吊り式の場合
超・短焦点液晶プロジェクターのメリットを説明した図

会場では、いち早くICTを教育現場取り込んで活用しているイギリスの状況を紹介し、液晶プロジェクターを使うメリットを

  • 子どもたちが近くから映像を見られる(画面に近づいても影が映り込まない)
  • 実物大でリアルに体感できる(近距離から大画面に映し出せる短焦点を実現)
  • 専用スクリーンを使わなくても黒板やホワイトボード、壁面に高輝度で表示できる

などと説明した。

上部操作ボタン 背面のインターフェース類
上部操作ボタン背面のインターフェース類

103cm手前なら80インチの大画面表示が可能な『LP-XL40』

今回発表されたLP-XL40は、XGA表示(最大UXGAのリサイズ表示にも対応)が可能なコンパクトタイプの3板(3LCD)式液晶プロジェクター。本体サイズと重量は、幅320×奥行き292×高さ148mm/3.3kg。最大の特徴は最短76cmから60インチサイズに表示できる超・短焦点レンズを搭載したことで、これは従来の11枚レンズ構成の前面に2枚の大口径非球面プラスチックレンズを組み合わせた13枚構成で実現している。

LP-XL40のレンズ構成
2枚のプラスチックレンズを追加して、超・短焦点を実現したという

これにより、天井から吊り下げた場合でもスクリーンにより近く設置できるため、人の映り込みやプレゼンテーターが直接投射光を目にする使いづらさがなく、机上に置く場合でも一般的な黒板と教壇の間の距離(76cm)で一般的な黒板のサイズ(60インチ)に投影できるという。主なスペックは以下の通り。

LP-XL40の主なスペック

液晶パネルサイズ
0.6インチ(アスペクト比4:3)×3
駆動方式
ポリシリコンTFTアクティブマトリックス
画素数
78万6432画素(1024×768画素)×3枚
投影レンズ
手動フォーカス、F1.8、f=8.1mm、固定焦点
光源
200W、UHPランプ
画面サイズ
60~80インチ
明るさ
1500ルーメン(ダイナミックモード時)
コントラスト比
400:1(ランプモード=オート、イメージモード=ダイナミック)
音声出力
1Wモノラルスピーカー内蔵
対応走査周波数
水平:15k~100kHz、垂直:50~100Hz
映像入力
アナログRGB(ミニD-Sub15ピン)、ビデオ入力1系統(コンポジット×1、S-Video×1)
消費電力
245W(待機時:9W)

同社では学校のほか、ブティックやスポーツジム、舞台演出装置などからも引き合いが来ており、今後は同製品の開発技術を生かしてSOHO向け製品の開発も計画しているとのこと。

オレンジ&リモコン操作の専用モデルを英国で一足先に発売

英国での教室からのパソコン、プロジェクターの盗難率 振動検知・警報モジュール
英国での教室からのパソコン、プロジェクターの盗難率振動検知・警報モジュールを新たに開発、内蔵したという

同製品は、国内での発売に先立って、英国で教育市場に実績のあるプロメシアン(Promethean)社を通じ、『PLC-XE40』として今月中に販売開始するという。英国では学校へのICT普及が進むにつれて、プロジェクターやパソコンの学校からの盗難が増えており、これに対応するため

  • “振動感知式オーディオアラーム機能”搭載(国内モデルにも搭載)
  • 本体カラーを国内モデルのシルバーからオレンジに変更し、盗難されても目立つように工夫
  • 本体上部の操作ボタンを排し、リモコンからの電源オンや操作が必須に変更(本体のみが盗まれても操作不可能)

などのセキュリティー対策を施したという。振動感知式オーディオアラームは、自動車の盗難防止などにも使われるもので、電源を切った状態で持ち出そうして本体に振動を与えると、警告音の後で最大105dBの警報音が鳴り響くというもの。振動センサーとブザーを搭載した基板を新規開発して内蔵したもので、これにより設置に躊躇した場所へも置けるようになる、とメリットを説明する。

日本に先立って販売開始される英国モデル
日本に先立って販売開始される英国モデルと日本モデルの違い

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