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“HDMI 1.3”は281兆色表示に対応――HDMIライセンシング、HDMI 1.3の技術説明会を開催

2006年07月14日 17時07分更新

文● 編集部 小西利明

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HDMI 1.3のもたらす利点について説明する、米HDMIライセンシング社長のレスリー・チャード氏
HDMI 1.3のもたらす利点について説明する、米HDMIライセンシング社長のレスリー・チャード氏

家電向け映像/音声インターフェース規格“HDMI(High-Definition Multimedia Interface)”の標準化組織である米HDMIライセンシング社は14日、東京都内にて報道関係者向けの説明会を開催。同社社長のレスリー・チャード(Leslie Chard)氏らにより、HDMIの最新仕様である“HDMI 1.3”の特徴についての説明を行なった。

HDMI対応機器の予想出荷台数とその種類の内訳
HDMI対応機器の予想出荷台数とその種類の内訳

チャード氏はまずHDMIの現状について、家電向けのデジタルインターフェースとしてデファクトスタンダードの地位にあり、400を超えるメーカーが採用。2006年中にはワールドワイドで6000万台を越える対応機器が出荷されるという見通しを示した。対応製品もハイエンドのデジタルAV機器だけでなく、米国では65ドル(約7475円)程度のDVDプレーヤーにもHDMI出力搭載製品があるなど、低価格帯の製品にも採用が進んでいるとした。またソニー(株)の“ハイビジョンハンディカム”『HDR-HC3』のように、ポータブル機器での採用事例がでてくるなど、広い普及を見せ始めている。

ソニーのHDV対応ビデオカメラ『HDR-HC3』についたHDMI出力端子。HDMI 1.3ではポータブル機器に適した、より小型の端子が規定された
ソニーのHDV対応ビデオカメラ『HDR-HC3』についたHDMI出力端子。HDMI 1.3ではポータブル機器に適した、より小型の端子が規定された

今までのHDMIの変遷についての説明も行なわれた。特に2005年12月に規格策定された“HDMI 1.2a”で定義された機器制御用プロトコル“CEC”(Consumer Electronics Control)については、「とてもエキサイティングな機能」(チャード氏)と表して、複数のデジタル家電の操作をひとつのリモコンに統合できるといった利点を挙げた。松下電器産業(株)が液晶/プラズマTVとHDDレコーダーで採用する“VIERA Link”は、このCECにより実現されているとのことだ。

HDMIの変遷。音声や機器制御などの仕様が追加されているが、映像の解像度や色数は、策定当初の1080p/24bitカラーから変わっていない
HDMIの変遷。音声や機器制御などの仕様が追加されているが、映像の解像度や色数は、策定当初の1080p/24bitカラーから変わっていない

“次世代HDMI”と称されることもあるHDMI 1.3の新仕様についてはすでに発表済みであるが、主な特徴は以下のとおりであるが、要点としては帯域幅が4.95Gbps(165MHz)から10.2Gbps(340MHz)に拡大されたことにより、さらに大容量のデータを送受信可能になり、高解像度化や色深度の増大が可能になった点にある。またアップルコンピュータ(株)やデル(株)の30インチ WQXGA(2560×1440ドット) 液晶ディスプレーなどがDVI接続を2チャンネル分使う“デュアルリンクDVI”により高解像度をなんとか実現していたのに対して、HDMIの1リンク分で可能になるため、高解像度表示対応のコストも削減できるとしている。

     
  • 解像度1440p(2560×1440ドット)に対応。
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  • リフレッシュレートが最大120Hz(現在は60Hz)に増加。
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  • 色深度(RGBまたはYCbCr)は24bitに加えて、30/36/48bitが追加。48bit時の最大表示色数は約281兆色にものぼる。
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  • 色空間規格“xvYCC”に対応し、従来比1.8倍と、近く可能なすべての色を再現。
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  • Dolby TrueHDやDTS-HDマスターなど、映画品質レベルのロスレス音声フォーマットに対応。
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  • 映像と音声の同期ズレを防ぐ“Lip Syncタイミング自動調節”の採用。
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  • 携帯機器への実装に適したミニコネクターを規格化。従来のコネクターと互換性あり。
HDMI 1.3では、720pの4倍にもなる高解像度の表示に対応する。リフレッシュレートも120Hzまで増大するが、実際にゲームがこの高解像度/高リフレッシュレートでの表示を行なうのは、PS3であってもパフォーマンス面で困難だろう 色深度(カラーデプス)の増大を示すスライド。すでにCG映画では16bit階調で制作されているものが多く、次世代DVDもサポートするなど、待ち望まれている仕様だ。ただしディスプレー側の対応はまだこれからである
HDMI 1.3では、720pの4倍にもなる高解像度の表示に対応する。リフレッシュレートも120Hzまで増大するが、実際にゲームがこの高解像度/高リフレッシュレートでの表示を行なうのは、PS3であってもパフォーマンス面で困難だろう色深度(カラーデプス)の増大を示すスライド。すでにCG映画では16bit階調で制作されているものが多く、次世代DVDもサポートするなど、待ち望まれている仕様だ。ただしディスプレー側の対応はまだこれからである

チャード氏はそれぞれの特徴がもたらす利点について解説した。まずリフレッシュレートの増大は主にゲームなどの映像表現をより滑らかにし、色深度の増大により、24bitカラーではグラデーションの表現に“カラーバンディング”(縞模様状に見える色の変化)を防ぐとした。特にカラーバンディングについては、最新のデジタルシネマをDVD(24bitカラー)に落とし込む際に目に付くことの多い問題だけに、画質向上に大きな効果が期待される。またLip Syncについても、現在は機器側の実装やユーザー自身のよる調整によってなんとか同期されているものを、HDMIの仕様に同期のための要素を取り込むことで、自動での調整が可能になるとの利点が示された。

HDMI 1.3対応のデジタル家電としては、11月11日発売予定の『プレイステーション 3』(PS3)が対応予定である。チャード氏はPS3が先陣を切って対応を進めることを称賛し、2007年第2四半期頃には他のデジタル家電でもHDMI 1.3対応製品が登場するだろうと述べた。

また米インテル社などが標準化団体を作って規格策定中のデジタル映像インターフェース規格“UDI”(Unified Display Interface)については、DVI同様に映像信号のみの規格であり、HDMIと互換性のあるDVIの進化版であるとの見方を示し、HDMIと競合するものではなく、むしろ将来のHDMIの仕様に含まれていくとした。一方パソコン用グラフィックス製品関連企業が主体となる標準化団体“VESA”が策定した“DisplayPort”については、対応機器がないうえDVIやHDMIとの互換性もなく、機能面でもHDMIに劣るとして、スタンダードにはなれないだろうとの見方をしめした。

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