ビジネスポータル構築ソフトの最新版『WebSphere Portal V6.0』を発表
日本アイ・ビー・エム(株)は12日、東京・六本木の六本木ヒルズ内アカデミーヒルズ40にプレス関係者を集め、ビジネス向けポータルサイト構築ソフトの最新版『WebSphere Portal(ウェブスフィア ポータル) V6.0』を今月26日からダウンロード販売開始すると発表した(メディア版の販売は8月24日に開始予定)。ポータルサイトにバックエンドのサーバーから機能(ポートレット)を追加・変更しやすくなったのが最大の特徴。価格体系はライセンス料金となり、詳細は以下の通り。
WebSphere Portal V6.0の3製品の位置づけ |
- WebSphere Portal V6.0 Server
- ビジネスポータル構築のための各種機能を備えた基本セット
1CPUあたり715万円、もしくは20ユーザーあたり35万7400円(CPUライセンスかユーザーライセンスの選択が可能) - WebSphere Portal V6.0 Enable
- 基本セット(Server)に文書管理機能やウェブコンテンツ管理機能、ワークフロー管理機能を追加した上位セット
1CPUあたり1358万5000円(CPUライセンスのみ) - WebSphere Portal V6.0 Extend
- 上位セット(Enable)に電子フォーム作成機能、在席確認やインスタントメッセージ、チームウェア機能を追加した最上位セット
1CPUあたり1859万円(CPUライセンスのみ)
“LotusDay 2006”の一環として新製品を発表
この発表会は、同じアカデミーヒルズ40で本日と明日の2日間開催されている同社のビジネス支援アプリケーション群を紹介するプライベートイベント“LotusDay 2006”の一環として行なわれた。
WebSphereシリーズは、ビジネス向けウェブアプリケーションを開発するミドルウェア群のブランドで、従来は日本IBMブランドで開発・販売が行なわれているが、バックエンドのサーバー機能をビジネスユーザーに届けるフロントエンドの開発ツール“WebSphere Portal”や、同機能を携帯電話/PDA向けに提供する“WebSphere Everyplace(ウェブスフィア エブリプレイス)”については、ロータス担当部門が開発・販売を行なうという。
旧Bowstreetのポートレット連携機能を活用
WebSphere Portal V6.0の特徴のひとつ、Bowstreetのポートレット連係機能を標準搭載 |
今回のV6.0の一番の特徴は、昨年10月に米International Business Machines(IBM)社が買収した米Bowstreet社の持つポートレット連携機能を、“WebSphere Portlet Factory”としてV6.0の全セット(Server/Enable/Extend)に標準搭載したこと。ポートレットとは、SAPやNotes/Donmino、各種RDBMS(リレーショナルデータベース管理システム)など、エンタープライズ向けビジネス製品群をビジネスユーザー(エンドユーザー)が使いやすいようにウェブサイト(ビジネスポータルサイト)の一機能として取り出したもの。ビジネスユーザーは自分の端末からポータルサイトを開き、その日の成果などをポートレットから入力することでサーバーアプリケーションに反映され、ビジネス情報の共有が図れる。
作成したビジネスポータルは、管理者が許可している範囲でユーザーが使いやすいようにカスタマイズすることもできる。マウスのドラッグ&ドロップでレイアウトの変更や機能の追加/削除などが行なえる。追加できる機能としては、頻繁に参照するウェブサイトのショートカットの登録や各種サーバーアプリケーションが提供する機能など。
作成したビジネスポータルのカスタマイズが可能 | ドラッグ&ドロップで機能の追加を行なっているデモ |
このほか、新たに“オーケストレーション”機能も標準搭載された。これは設定したビジネスワークフローに変化があったときに、関連するプロセスを自動調整したりアラート(警告)を必要な相手に通知するもの。例えば、納期に変更があった場合、その後の別のスタッフが介在するプロセスを見つけると、そのスタッフにアラートが表示され、必要な変更措置を促すことができる。
プロセス間の連携を実現する“オーケストレーション”機能を搭載 |
Enable/Extendに搭載されているドキュメント管理機能は、Office文書などをまず自分だけが編集・参照できる“ドラフト”、もしくはチーム/部署全員で共有して参照する“公開”のように権限を設定して文書管理するもの。サーバーに文書を登録、サーバーから文書をダウンロードして閲覧/編集するほか、Officeアプリにプラグインが自動登録され、新規文書作成時などに編集結果をOfficeアプリの中からサーバーにどの権限で登録するかが指定できる。また、仮想ネットワークドライブを割り当てることもでき、複数ファイルを扱う場合にはエクスプローラー(ファイル管理ソフト)上でネットワークドライブにドラッグ&ドロップしての登録も可能となっている。
ドキュメント管理機能によって、Officeアプリに文書マネージャーのメニューが追加されているのが分かる | 仮想ネットワークドライブとして文書マネージャーが追加されるので、ここにファイルをドラッグ&ドロップしても登録できる |
日本でもEIP製品の爆発的普及に期待
ソフトウェア事業Lotus事業部長の澤田千尋氏 |
発表会で製品の新機能などを紹介した、ソフトウェア事業Lotus事業部長の澤田千尋(さわだちひろ)氏は、「年初にソフトウェア事業の目標として打ち上げた“高付加価値戦略”の中核製品として販売していく」と語り、こうした製品(EIP、Enterprise Information Portal)が日本ではグループウェアの延長線上として捉えられ、“情報共有の理想”には役立つものの企業における経済価値、生産性向上にどんなメリットがあるのかが伝えきれなかったと日本市場を冷静に分析した。一方、欧米ではEIPの登場とともに市場が爆発的に伸びて活況を呈していると報告。日本でも“(すでにSAPやNotes/Dominoなどを導入済みの企業にWebSphere Portal V6.0を入れることで)コールセンターのオペレーターの生産性が向上する”といった、情報共有の話ではなく具体的な投資として生産性向上が見込めること、業務のソリューションとして提案しビジネス価値を理解してもらうことが重要と締めくくった。
EIPソフトの市場規模と予測(データ出典:(株)富士キメラ総研)。微増を続けているものの、欧米ではEIPソフトの登場によって市場が爆発的に成長したので、日本市場にも期待していると締めくくった |