2006年の中盤~後半にかけて、インテル(株)と日本エイ・エム・ディ(株)(以下AMD)のそれぞれが新しいCPUを投入するとあって、CPUの世界、特に自作パソコン向けCPUについては、大きく盛り上がる可能性を秘めている。ライバルをしのぐ高パフォーマンスで高評価を得たAMD64系CPUがこのまま伸びるか? それともインテルが投入する“Core アーキテクチャー”の新CPUが巻き返すのか? ここでは、最新CPU特集をお届けしよう!
アンケート結果から見る、読者が注目する新CPUはこれだ!
それでは6月10日から16日に実施したASCII24読者アンケート“第277回 新CPUについて”の結果から、ASCII24読者(回答者)が新CPUについてどのように感じているのかを見てみよう。
設問4とサブ設問では、AMDの新CPUソケット“Socket AM2”に関する質問を用意した。まずSocket AM2が発表されたことは、実に80.9%もの方が“知っている”と回答。主な特徴についても61.5%が“知っている”と回答し、認知の高さを示した。また設問6ではAMD初のノート向けデュアルコアCPU“Turion 64 X2”の認知度もたずねたが、こちらも72.7%が“知っている”と回答している。
インテルがまもなく投入予定の“Core 2 Duoプロセッサー”(デスクトップ向けのConroe、ノート向けのMerom)が発表されたことも、87.2%の方が“知っている”と回答するなど、どちらのCPUも非常に高い注目を集めていることがうかがえる。
発表された新CPUのほとんどがデュアルコアCPUとなり、まさに2006年はデュアルコアCPU本格普及の年といった感があるが、では実際にデュアルコアCPUを使っている人はどれくらいいるのだろうか? 設問7でデュアルコアCPU所有の有無をたずねてみたが、“持っている”という回答は20.9%に過ぎず、実に8割近い回答者が持っていないと答えた。ちなみに、ちょうど1年前に行なったアンケート“第227回 デュアルコアCPUについて”では、 “デュアルコアCPUを購入したいと思いますか?”という質問を行なっていた。このときは約63%の回答者が購入に対する意欲を示していたのだが、購入意欲と財布のひもは別、ということだろうか。
現在お使いのパソコンについてお尋ねします。デュアルコアCPU、およびそれを搭載したパソコンをお持ちですか? |
次に購入したい新CPUについてたずねてみた。全体としては約74%の回答者が、なにかしら新CPUを購入してみたいと回答しており、CPUに対する興味と購入意欲の高さがうかがえる。栄えある“購入してみたい新CPU”の1位となったのは、“デスクトップ向けCore 2 Duo”(42.4%)。 “Athlon 64 X2(Socket AM2対応)”は2位(32.3%)であった。Athlon 64 X2はデュアルコアCPUが出始めた1年前のアンケートでは1位であったが、今回はインテルによるCore 2 Duoに関する前宣伝が功を奏したと言えそうだ。Socket AM2対応CPU はメモリーコントローラーのDDR2対応などが図られているものの、CPUアーキテクチャー自体は変更がないため、やや新鮮味に欠けたという面があるかもしれない。
今年から来年に掛けて、これらの新 CPU(および搭載パソコン)の中で実際に購入してみたいと思う(または実際に購入した)ものはありますか?<複数選択> |
AMDとインテルの新CPUそれぞれに期待する項目について尋ねたサブ設問では、まずAMDの新CPUには、“デュアルコアによる性能向上”(25.5%)、“消費電力”(18.6%)、“DDR2メモリー対応による性能向上”(17.4%) を期待する声が多かった。性能向上に対する期待が高いのは当然と言えるが、消費電力に対する期待も高い。これはAMDの新CPUが低消費電力のバージョン (Athlon 64 X2は65Wまたは35W)をラインナップするなど、同性能でも低消費電力のCPUを用意してきたことに、回答者も大きな期待を持っていることを示すものかもしれない。
Q8で Athlon 64/X2/FX、Sempronを選択した方にお聞きします。そのCPUのどこを魅力に感じますか。<2つまで選択> |
一方、Core 2 Duoを選択した方が期待する項目では、“デュアルコアによる性能向上”(32.6%)、“消費電力”(32.4%)が1位と2位なのはAMDと同様だが、“新CPUコアによる性能向上”(30.0%) に期待する回答が3番目に多かった。消費電力と新コアへの期待が大きい背景には、Pentium 4/Pentium D系CPUが高消費電力の割にパフォーマンスで伸び悩む点があったことの裏返しではなかろうか。それだけCore 2 Duoには期待が集まっていると言えよう。
Q8でCore 2 Duoを選択した方にお聞きします。そのCPUのどこを魅力に感じますか。<2つまで選択> |
これら新CPUの登場で、停滞している自作パソコン市場は再び盛り上がるだろうか? 設問9では新CPUの登場を受けて、自作やCPU交換に対する意欲についてたずねてみた。新CPUにより自作やCPU交換への意欲が湧いたという割合は約75%にも上り、多くの回答者が意欲をそそられているのが分かる。しかし最も回答数が多かったのは“強く思ったが、まだ購入の予定はない”(40.7%)であり、意欲はあるが買うかどうかはまだ様子見というシビアな回答者が多いようだ。
これらの新CPUの登場で、新たにパソコンを自作してみたい、あるいは既存のパソコンのCPUやマザーボードを更新してみたいと思いましたか。最も近いものをお選びください |
最後に設問10と11では、“消費電力あたりの性能向上”が叫ばれる現状についての、回答者の認識をたずねてみた。回答者の44.6%が“今の消費電力を維持したままで、性能向上を進めてほしい”と、33.3%が“性能は上がらなくてもいいので、消費電力を下げてほしい”と回答しており、消費電力と性能向上のバランスを重視する最近の傾向には好意的な方が多いことが裏付けられた。記述式のサブ設問でも、消費電力や発熱量の低減を求める声が非常に多い。
しかし実際に自作パソコン等のCPUを選択するに当たっては、消費電力も気にするが性能(42.4%)や価格(34.8%)の方を重視するという回答が多く、消費電力をまず重視という人は少なかった。とはいえ、 “だから消費電力は気にしない”というわけではなく、“いちいち気にしなくても消費電力を低いレベルで保ってほしい”という気持ちの表われではないだろうか。