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“モノづくり立社の実現”を目指す――松下電器、大坪新社長の就任会見を開催

2006年07月07日 22時23分更新

文● 編集部 小西利明

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松下グループの強みである垂直統合モデルの好例として、『DMC-TZ1』を掲げる新社長の大坪文雄氏
松下グループの強みである垂直統合モデルの好例として、『DMC-TZ1』を掲げる新社長の大坪文雄氏

松下電器産業(株)は7日、同社代表取締役社長に就任した大坪文雄氏の就任記者会見を開催した。大坪氏は“モノづくり立社の実現”をキーワードに、同社の強みである垂直統合モデルの商品力をさらに強化し、2010年に営業利益10%の目標実現を掲げた。

大坪氏は同社のAV機器部門などを率いてきた経歴の持ち主。会見冒頭でのスピーチで大坪氏は、中村邦夫前社長(現会長)が掲げたコンセプトの“破壊と創造”について、「経営理念以外のすべてを破壊する覚悟で断行した」と述べ、家電流通、グループ事業再編、松下電工(株)とのコラボレーションなど3つの改革によって、企業の骨格を大きく変えたと評価。改革の成果は、2005年度に営業利益4000億円台を実現するなど、業績にも表われているとした。

前社長の元に行なわれた改革の成果が、実績として表われたことを示すグラフ。2006年度には営業利益率5%を達成する見込み
前社長の元に行なわれた改革の成果が、実績として表われたことを示すグラフ。2006年度には営業利益率5%を達成する見込み

大坪氏がスピーチや質疑応答で繰り返し述べたのは、“モノづくり立社の実現”というキーワードだった。大坪氏はこれを、「製造業として基本的なことを、どこよりもしっかり実行できる会社」と表現。“モノづくり”は単に商品の製造のみに止まらず、商品企画からマーケティングまで、すべての活動が商品に結実するものであるとした。そのうえで、モノづくりを支える源泉は、生産性向上やコストの低減といった“裏の競争力”であると述べた。生産現場での経験を積み重ねたという大坪氏らしい意見と言えよう。

“表の競争力”を支える設計や生産現場での取り組みなど“裏の競争力”が、モノづくり立社の源泉であるとする
“表の競争力”を支える設計や生産現場での取り組みなど“裏の競争力”が、モノづくり立社の源泉であるとする

また大坪氏は同社のデジタルカメラ『DMC-TZ1』を、同社の垂直統合モデルの好例として紹介。またその後の質疑応答でも、社内の力を高めての商品力強化を重視した投資を行ない、大規模な企業買収等は重視しないとした。

大坪氏が垂直統合モデルの好例として示した、同社のデジタルカメラの基幹技術。大坪氏は内製の技術開発を非常に重視している
大坪氏が垂直統合モデルの好例として示した、同社のデジタルカメラの基幹技術。大坪氏は内製の技術開発を非常に重視している

具体的な経営計画は2007年度に

今回はあくまで新社長就任会見であり、今後の松下電器の経営方針の具体的な説明は行なわれなかった。新社長体制による経営方針の披露は、来年度の中期経営計画発表からになるもようだ。“2010年に営業利益率10%”という前社長時代に打ち立てられた目標についても、「並大抵の努力では達成できない高い目標」としつつ、中期経営計画で目処をつけたいという。

また重点事業としては、薄型TV、カーエレクロトニクス、(白物家電を含む)生活快適事業、半導体事業が4本の柱としてあげられた。とくに薄型TVについては、尼崎市に新たなプラズマディスプレーパネル(PDP)の工場を建設するなど、生産量の拡大を図る。PDPはパネルを日本国内で生産し、製品としての組み立ては販売を行なう各地域に近い場所で行なう方針が示された。薄型TV事業とカーエレクロトニクス事業の売上規模については、1兆円規模を目標としている。

重点事業として挙げられた4分野。半導体事業は商品とつながる重点事業であり、不可欠であると大坪氏は力説した
重点事業として挙げられた4分野。半導体事業は商品とつながる重点事業であり、不可欠であると大坪氏は力説した

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