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米ピクサー社の絵師が明かす『Mr.インクレディブル』の描き方

2006年07月10日 16時06分更新

文● 編集部

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Ginza
Apple Store Ginza

Apple Store Ginzaは6日、同店のシアターにて、米ピクサー・アニメーション・スタジオに所属するポール・トポロス氏の講演を開催した。会場は70人以上の立ち見客を含む約170人近くの聴講者でいっぱいになり、トポロス氏もほかでは聞けない製作秘話を多数盛り込みながらその熱気に応えた。





ポール・トポロス氏
ピクサー・アニメーション・スタジオで“マットペイント”という背景などに使われる絵の制作を担当。元々はジョージ・ルーカス監督率いる米ルーカス・フィルム社で、スターウォーズなど実写映画のマットペイントも描いていた。



『Mr.インクレディブル』の背景はこうして作られていた!

講演は、全編をCGで制作しているピクサー映画のどのシーンでマットペイントが使われているかという紹介から始まり、実際にマットペイントを描き上げるまでのプロセスを映画『Mr.インクレディブル』における実例を交えながら披露した。

『Mr.インクレディブル』には主人公が教会で結婚式をあげるシーンがあるが、この教会がマットペイントに当たる。窓越しに見える景色や、空から眺めた摩天楼などのシーンでも該当する。

こうしたマットペイントは、映画のシーンや新聞記事の写真などを元に描かれる。例えばMr.インクレディブルがファンに囲まれているシーンは元米国大統領、ジェラルド・フォードの遊説写真を参考に下絵を描いたという。

スケッチが仕上がると、それを元に簡単な3Dモデルが作られる。トポロス氏らマットペインターは、Macと『Adobe Photoshop』を使ってその3Dモデルの上にディテールを描き込み、マットペイントとして仕上げるのだ。

中にはほかの作品を原画に使うこともある。『Mr.インクレディブル』に一瞬出てくるエレベーターのシーンは、『トイ・ストーリー2』に出てきたエレベーターのマットペイントを原画に描き直した。

同氏の一番のお気に入りは、Mr.インクレディブルがダイエットに励んで夕日をバックに列車を持ち上げているシーンのマットペイントだという。


『カーズ』の背景に隠された遊び心

講演の最後では、ディズニー/ピクサーの最新作『カーズ』の予告編を上演して、同映画で使われているマットペイントや秘話もいくつか紹介した。トポロス氏の作品のいくつかは、六本木ヒルズ、森アーツセンターギャラリーで開催中の展覧会“ピクサー展”でも多数展示されている。

ちなみに20年前、ピクサーを会社として独立させたスティーブ・ジョブズ元CEOについて訪ねると、「よく会社で見かける。雲の上の存在だが、とてもフレンドリーで話しかけやすい人物」と答えてくれた。

質疑応答
質疑応答では、アニメーションの勉強をしている学生からの質問が目立った。自らの作品を持ち込んでみてもらう学生も大勢いた


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