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物理的セキュリティー専門展“第1回オフィス セキュリティ EXPO”開幕

2006年07月06日 21時23分更新

文● 編集部 佐久間康仁

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第1回オフィス セキュリティー EXPO

企業・官公庁・学校や病院など大規模施設向けのセキュリティー機器やサービスを一堂に集めた初の専門展示会“第1回オフィス セキュリティー EXPO(O-SEC)”が6日、東京・有明の東京国際展示場(東京ビッグサイト)で開幕した。会期は8日までの3日間。主催はリード エグジビション ジャパン(株)で、同じ会場では“第17回 国際文具・紙製品展(ISOT)”、“第4回 国際オフィス機器展(OFMEX)”が開催されている。

セキュリティーと言っても関係者以外の出入りを禁止したり、持ち出し/盗難を防ぐなど物理的なセキュリティーに特化した展示会のため、会場には、生体認証を使って不正侵入を防ぐドアやロッカー、フラッパーゲートなどが多数展示された。そんな中で、IT関連の参考出展や珍しい製品・サービスの展示も見つけたので、順に紹介していこう。





最小6ピクセルから発見可能!! イスラエルから来た人間検知システム

イスラエルのioIMAGE社(国内販売総代理店は三井物産エアロスペース(株))の“TotalTrack(トータルトラック)”シリーズは、ビデオ入力された映像の中から人間や車の動きを検知してマーキング、トラッキングする不審者・不審車両探知追尾システム。

イスラエルから来た人物検出システム『TRK-100』
手前の黒い箱が『TRK-100』。映像から人物を検出すると、赤色灯が回転して知らせてくれるというデモ

各社のリモート制御カメラやモニタリングデバイスに対応でき、可動カメラを用意すれば不審者(車両)が画面から外れてしまっても画角の移動やズーミングによって追跡が続けられる。通信・制御用インターフェースはシリアル(RS-232×2/RS-485×1)とEthernet(10/100BASE-TX×2)、画像入出力インターフェースはNTSC/PAL信号対応のBNC入力×1、同じくBNC出力×1、MPEG-4形式(352×288ドット/128kbps~4Mbps)のデジタル出力にも対応する。

人物や車両検知は内蔵DSPで解析する。同社はゲームソフトの開発を長く手がけてきたため、モーションキャプチャーによる人間のさまざまな動きのデータを多数集積しているという。そのパターンを入力された映像情報とマッチングすることで、高精度での検出を実現したという。さらに、画面内で4ヵ所に人物を立たせてのキャリブレーションを行なうことで、奥行きを正しく検知し、画面奥の遠くにいる人物も精確に検出できると説明する。同社の説明では、最小6ピクセルの画像でも人物かどうかの判定が可能という。

『TRK-Mini-100』 人物を検知している画面
機能はそのままに本体を小型化した『TRK-Mini-100』TRK-Mini-100で人物を検知している画面

製品は同時接続できるカメラ(入力映像信号)の台数によって異なるが、現在国内向けに販売されているのはカメラ1台、2台まで対応する『TRK-100』『TRK-200』という製品。価格はTRK-100が80万円で、カメラ調整の費用が別途20万円かかる。このほか4台のカメラに対応する『TRK-400』、8台のカメラに対応する『TRK-800』もラインナップされている(国内未発売)。また、屋外/屋内兼用のコンパクトモデル『TRK-Mini-100』も近日発売予定だという。



カメレオンのごとき広視界!?

IGUANA system

台湾から出展したSunvision Scientific社の『IGUANA system』は、広角で広範囲の映像を一度に映し出し、さらに毎秒5つまでの特定の人物を追跡・追尾できるという監視カメラシステム。

視界は70度、撮影範囲は半径20mで、同社の説明では広角レンズと望遠レンズを組み合わせ、さらに手前から20m先まで鮮明に映し出せるという。会場には内部構造が分かるカットモデルも展示されていたが、仕組みとしては広角レンズと望遠レンズを搭載した2台のカメラをハーフミラーで組み合わせ、映像の中から人物をソフトで検知して、ターゲットに合わせてミラーを傾けることでフォーカス調整の時間を置かずに追尾が行なえるというもの。同社ではマンションのエントランス、ガレージ、交差点、駅や空港、デパートなど不特定多数の人物が出入りを繰り返す場所の監視システムに応用できるとしている。



『IGUANA system』 IGUANA systemの画面
ミラーを使って広い視界から人物を検出・追尾する『IGUANA system』IGUANA systemの画面


デジタルなまずが地震到達を予告

日本は地震大国と言われるが、気象庁はそうした地震の被害を最小限に抑えるべく、今年8月1日から日本全国で約800ヵ所(2005年度)の地震計がP波(初期微動)を感知するとS波(主要動)の到達予想時刻や震源情報を通知する“緊急地震速報”を主要機関に向けてサービス(先行運用)開始する。

デジタルなまず

(株)3Softジャパンは、この情報を企業や工場などに配信提供するサービス“デジタルなまず”を展示していた。デジタルなまずはビジネスホン程度の大きさの本体に、モノクロ液晶パネルとEthernet端子、および子機に通信するための無線アンテナが装備され、前面中央には名前のとおりの愛嬌ある“なまず”のキャラクターがデザインされている。

緊急地震速報は当初、インターネット経由で配信が行なわれるため、本機も導入するにはインターネットへの接続環境が必要となる。最初にインターネット経由で設置した場所の緯度経度や地盤強度情報を取得して、緊急地震速報の情報とマッチングさせ、設置場所での震度やS波の到達予想時間などをデジタルなまず本体が文字情報と音声で知らせるという仕組みだ。緯度経度、地盤強度の情報は、住所と郵便番号を入力すれば、同社が用意したサーバーから自動的に検索され、自動的に転送・入力される。



『デジタルなまず』 デジタルなまずのシステム概要
気象庁からの緊急地震速報を受けると、揺れが到達するまでの時間や震度を警告してくれる『デジタルなまず』デジタルなまずのシステム概要

また、将来は緊急地震速報を地上デジタル放送やワンセグの放送波を経由して配信することも検討されているため、将来の拡張用に側面に専用カードスロットが設けられている。価格は親機が8万5000円、子機は1万5000円で、月額利用料として4000円がかかる。同社では量産効果によって将来的には家庭にも気軽に導入できる価格(本体が3万円程度、月額利用料1000円程度)を目指したいとしている。



世界初! 1mm間隔で積み重ねたICタグもまとめて検知

“積層ICタグ認識技術”

バーコードに代わる流通管理の仕組みとして、RFID(無線ICタグ)が注目を集めているが、RFIDなら万能というわけではない。実際にはRFIDのアンテナ同士が近づきすぎると干渉(共振)を起こしてしまうため、読み取りが不安定になる場合がある。例えば、RFIDを貼付した書類や書類フォルダーを積み重ねた場合、RFIDからの信号がほかのRFIDに干渉して結果的に読み取れない(読み取るための電圧より低くなったタイミングで検知しようとして読み取り失敗する)ケースがある。

そこで日本信号(株)は重ね合わせた書類でも共振させずに読み取る“積層ICタグ認識技術”を開発。1mm間隔で積み重ねたRFIDでも正しく認識できるというデモを行なっていた。会場ではオフィスでよく見られる伝票トレイにRFID読み取り装置を組み込み、社内便封筒に入れたRFID30枚を一度に載せても、ほぼ一瞬(1秒以内)に読み取れるというデモを行なっていた。



RFIDを入れた封筒と、書類トレイに組み込んだRFIDリーダー 重ねた書類から1枚抜いて検知したところ
1mm間隔で積み重ねても正確にRFIDを検知できるというデモ重ねた書類から1枚抜いて検知したところ。確かに1枚抜けているのが分かる

あいにく会場では詳しい技術的な解説は聞けなかったが、ピーク時の電圧(絶対値)を検知するのではなく電圧の変化で読み出すPJM(フェーズジッター変調)方式、8チャンネルの返信を同時受信し、FTDMA(周波数/時分割多重アクセス)によって最大8つのRFIDを同時に検知できるのが、この技術の核になっているとのこと。

同社では大規模な書類流通が必要な官公庁、企業、工場(カンバン方式のライン)などに導入を図りたいとしている。

RFIDでファイリングの出し入れをチェック

このほか、コクヨファニチャー(株)やプラス(株)といったオフィスファニチャーを扱う企業が、RFIDを使ったファイリングシステムを展示していた。これらは文書フォルダーそのものを管理するに止まり、ファイルの中の個別文書については管理できないため、フォルダーから文書を抜き差しした変更については管理できない。会場の説明員にその点を聞くと、「最終利用者や履歴が分かるので、そこから追跡してもらうしかない」というが、将来的には個々の文書にもRFIDを貼付して所在の管理を行なうソリューションが必要になりそうだ。

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