米マイクロソフト社のビル・ゲイツ氏が経営の第一線から退くと表明した背景には、ネットワークとコンピューターを巡る新たなパラダイムの誕生があったと指摘する西和彦(にし かずひこ)氏。パソコンの覇者でありながら、ネットでは苦戦を強いられているマイクロソフトは、果たして現状を打開できるのか? インタビューの後半はカリスマ不在のパソコン産業と、マイクロソフトの未来に関して伺った。
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西和彦氏 |
社会を大きく変えるアプリケーションがネット上で
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『ネットがテレビを飲み込む日』(洋泉社、1000円)。西氏も一部執筆を担当した |
最初にCPUが登場した。ここでは、インテルのロバート・ノイスやゴードン・ムーア、AMDのジェリー・サンダースといった人物が重要な役割を果たした。
次にソフトウェアの時代が来た。マイクロソフトはWindowsを作り、ビル・ゲイツやポール・アレンが活躍した。
一方で、マイケル・デルやスティーブ・ジョブズは、ハードウェアのビジネスで成功した。
ネットの世界ではやっぱりヤフーでしょう。次にイーベイ。
ヤフーとイーベイはウェブベースだったけれども、その次にグーグルが来た。グーグルはまずサーチをやって、分散データベースを作った。
そして、iTunesが登場して、音楽から映画の販売をやっている。
特定の機能に絞り込んだハードウェアも登場しつつある。日本では“iモード”や“写メール”のようなサービスも出てきた。
つまり、戦っているパソコンという“ドメイン(領域)”で違ってきたわけ。ネットそのものが分散データベースになり、データベースオリエンテッドなパラダイムが生まれた。そして、それをパソコン以外のさまざまなネットワークアプライアンスでそれを利用する時代がやってきた。この2つが現状としてある。
そして、ここに、社会を大きく変えるようなアプリケーションが出てきている。
ひとつはSkypeに代表されるようなインターネット電話、次がストリームとiTunesが合体したようなインターネットテレビです。電話もテレビも近い将来ネットに吸収されていくでしょう。
このへんのことは、つい最近共同で出版した『ネットがテレビを飲み込む日』(洋泉社)という本の中で書きました。
パソコンはメディアであり続ける
