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【INTERVIEW】西和彦氏がゲイツ引退を語る(後編)

2006年06月28日 00時32分更新

文● 編集部 野末尚仁/小林久

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Google spreadsheets
GoogleがSneak Previewを提供しているインターネット上で使える表計算ソフト『Google spreadsheets』
[編集部] さて、こういったパラダイムの変化の中で、マイクロソフトが取り得る戦略はどんなものがあると考えますか?
[西和彦] マイクロソフトの次のビジネスがどんな感じになるかというと、パソコンを売るってところにまでいっちゃうと思うんです。

パソコンを売るというのは、マイクロソフトがハードメーカーになるという意味ではなくて、超巨大なHDDセンターのようなものを作るわけ。リモートデスクトップのような技術を使って、ユーザーにネットワーク越しでWindowsを利用させるビジネスを始めるのではないかということです。マイクロソフトからWindowsを買うということは、マイクロソフトが用意したCPUとメモリーとHDDスペースを、何年間か使う権利を買うという意味に変わっていくと予想しています。
[編集部] パッケージを売るというビジネスが、サブスクリプションのモデルに変わっていくということですね。
[西和彦] その際、重要なのはブラウザーからサイトを開くのではなくて、リモートデスクトップのような特殊なクライアントを動かすという点です。あたかもそこに自分のパソコンがあるかのようにいろいろなことができると。すごいですね。最小の値段は100ドルだったりして……。
[編集部] マイクロソフトがハードも牛耳ると、デルのような企業はどうなるのですか?


レイ・オジー氏
レイ・オジー氏。Lotus Notesの父として知られる
[西和彦] デルのようなハードメーカーは、マイクロソフトにサーバーを供給する会社になります。あとはライトクライアントを作ることで収益を上げる。それはすごくいいことだと思うんですけどね。

ゲイツの後継者になったレイ・オジー。「彼はなかなかやるじゃないか」と感じたのは、組織替えをして、WindowsとMSNの部隊を一緒にしたことです。「すごいじゃないか、分かっているな」と思った。リモートデスクトップは、さまざまなOSに対応したものを作り、無料で配るのが流行です。
[編集部] そうすれば、どのような環境からでもWindowsが利用できるようになりますね。
[西和彦] Internet Explorerは、捨てるべきでしょうね。グーグルにでもあげたらいい。サーチバーをもっと上手に組み込んでほしいですね。馬鹿でかいサーバーをリモートデスクトップで使うようにして、巨大な分散データベースを、リモートデスクトップのような特殊なクライアントで、あたかもそこに自分のパソコンがあるかのように使う。それはHTMLのウェブの世界とは違うし、シンクライアントでもない。僕はこれがマイクロソフトが勝てるシナリオのひとつだと考えているんです。
[編集部] グーグルも、Ajaxベースの表計算ソフトの提供などを行なっていますが、そういった取り組みとかぶってきそうですね。
[西和彦] そこらへんでぶつかってくるのは確かでしょう。オジーはそういうことができる人間じゃないかと思う。あくまでも外からの推量だけど、こういう見方でマイクロソフトの戦略を見ていくことで、将来がちょっと見えてきたような気になるでしょう? ビルのいないマイクロソフトもなかなかのものです。

(終)



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