このページの本文へ

【続報】ド派手な発表会でデビューした話題のノートPC、『FlyBook』

2006年06月15日 13時49分更新

文● 編集部 西村賢

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

イタリアから招いたデザイナーがファッションショー!

速報で概要をお伝えしたしたとおり、イタリア人デザイナーチームによる真っ赤なボディーが印象的なノートパソコン『FlyBook V33i』が7月4日に発売になる。液晶パネルが前後にスライドする『FlyBook VM』は6月20日の発売予定だ。

FlyBookシリーズの開発やマーケティングを手がけるダイアローグ・グループ(Dialogue Group)は14日、都内一流ホテルで発表記者会見を開いた。イタリアからデザイナーやモデルを招いてファッションショーを行なうなど、ド派手な発表会で、FlyBookシリーズの日本デビューを印象づけた。

ファッションショー
イタリア人デザイナーによるファッションショー
黄、白、赤のFlyBookを抱えたモデルたちのファッションショー


アジアの拠点を日本に置いて、日本市場にも製品投入

モバイル系ガジェットに目がない方のなかには、すでにご存じの方も少なくないだろうが、唐突に日本市場に現われた印象もあるので、FlyBookシリーズの概要と、それを生み出したダイアローグ・グループの生い立ちについて簡単に紹介しておこう。

ダイアローグ・グループは45を超える国と地域で、高級志向のファッショナブルなノートパソコンを販売するグローバル企業だ。グループの元となったダイアローグ・テクノロジー社のある台湾や、デザイナーチームを擁するイタリアを中心に、欧州各地に拠点をもつ。米国のフロリダ州には無線通信の研究所もある。

台湾のダイアローグ・テクノロジーは1991年創業で、無線通信関連機器をはじめとする電子機器のOEM販売などを手がけていた。イタリア人のデザインチームを起用してグループが正式にスタートしたのは2003年で、最初のFlyBookシリーズは2004年に欧州で発表された。

UAE、トルコ、南アフリカにも拠点を展開しているが、製品出荷の大半はヨーロッパ各国向けで、なかでもイタリア向けが多い。昨年の販売実績で言うと、欧州市場の出荷台数が3万5000台(うちイタリアが1万2000台)、ワールドワイドで3万8000台という。ダイアローグ・グループ全体での売上は2004年に1億ドル(約115億円)だったものが、2005年には4億ドル(約460億円)に達したとしており、急成長ぶりがうかがえる。

欧州で実績を上げたダイアローグ・グループが、アジア市場進出を目指すにあたって立ち上げる一大拠点が“ダイアローグ・ジャパン”だ。現在はまだ法人の設立準備中で、常駐メンバーも3名のみという構成だが、来年までに7~8人にまで増員し、テクニカルサポートやマーケティング体制を整えるという。将来的には、日本にも開発部隊を設置して、日本のニーズを汲み上げた製品開発も行なっていく意向だという。

発表会で挨拶するダイアローグ・グループ代表のジャック・リー(Jack Lee)氏欧州を中心に広がるダイアローグ・グループの拠点。“日本に特大の赤丸を付けたい”と日本進出に意欲をみせた


「われわれは第2のASUSを目指すわけではない」

個別インタビューに応じたダアイローグ・グループ代表のジャック・リー(Jack Lee)氏は、「われわれは多国籍のメンバーで構成されるグローバル企業です。文化や言語の違いを乗り越えた合理的な意見交換環境を構築して、良いアイデアであれば、どこの国のものでも使う」とグループの特徴を説明。国ごとにニーズや好みが違うのでは、という問いに対しては「デルやゲートウェイのように、グローバルマーケットで、最も大きなシェアを取れる製品を目指しているわけではありません。われわれは第2のASUSになりたいのでもないのです」というスタンスを説明。続けて、「FlyBookは安いパソコンではないですが、競合製品にはない通信機能や、こだわりのデザインといった、われわれの製品の良さを理解してくれて購入してくれるユーザー層がターゲットです。そしてそういうユーザー層は国を問わず、どこにでもいると思います」と答えた。

現在のところ、販売や流通で協力する国内パートナーとして加賀電子の名前が挙がっているが、具体的な販売・サポート体制について、詳細は明らかにされていない。販売方法についても、現在同社のホームページの購入方法の案内では「ただいま国内の有力ディストリビューターと協力関係について話し合っております」とだけ表示されている状態で、詳細は不明だ。

発売を1週間後に控えた発表にしては、国内での販売やサポート体制の準備にやや不安があるが、発表された製品自体は魅力的だ。


インテルとの共同デザインによるVM

FlyBook VMは、可動式の12.1インチのワイド液晶ディスプレーを搭載するA4サイズのノートパソコンだ。ディスプレーのヒンジに可動部が2個所あり、その位置をキーボードの手前に持ってくるよう配置できるのが特徴。通常のノートパソコンの液晶の位置から、垂直に液晶を持ち上げ、それをそのまま手前に倒すことができる。完全にキーボードの手前まで倒してもいいし、真ん中あたりで止めれば、液晶画面を通常より手前の位置にしつつキータイプが可能だ。これは、インテルがデザインコンセプトとして打ち出した“Airline Friendly(エアライン・フレンドリー)”というもので、狭い航空機の座席でも、無理なく画面を見ることができるための配慮だ。

液晶パネルがスライドするFlyBook VM
機内
飛行機で前の座席が邪魔になっても液晶を手間にして作業が可能


FlyBook VMのおもなスペック
CPU:Core Duo-1.66GHz
メモリー:512MB~2GB
ディスプレー:12.1インチ、1280×768ドット
HDD:1.8インチ 60GB/30GB
OS:Windows XP Professional(Vistaにも対応予定)
光学ドライブ:DVD-R/RW
無線機能:IEEE 802.11 a/b/g、Bluetooth2.0など
サイズ・重量:幅292×奥行き222×高さ25.8mm、1.64kg
カラー:シルバー/ブラック/レッド
その他:VGAカメラ、指紋認証機構を内蔵


3.5世代の携帯通信機能を内蔵した……携帯電話端末!?

FlyBook V33iは、日本向けの新シリーズだ。つや消しのブラックとレッドの2つが用意される。8.9インチの液晶ディスプレーは1024×600ドットで、感圧式タッチパネル液晶を採用。タブレットPCのようにキーボードの上に液晶を折りたたんでキーボードレスの操作もできる。画面は縦位置でも使え、縦横の切り替えはタスクトレイから起動する専用のコントロールソフトで行なう。

ヒンジ中央部で回転する液晶ディスプレーの機構やパームレスト部のバッテリー位置など、ぱっと見たフォルムの印象は、富士通のタブレットPC“LOOX P”にそっくりだ。サイズは、幅235×奥行き155×高さ31mmで、重量は1.23kg。LOOX Pは幅232×奥行き167×高さ34.5mmで重量が990gだから、比較すると、FlyBookのほうがやや厚みが薄く、少し重いということになる。

手書き入力機能を備えるなど、多分にタブレットPC的だが、OSにはWindows XP Tablet PC Editionではなく、XPのHome Edition、またはProfessionalが採用されている。

V33iの最大の特徴は、SIMカードスロットを備えることだ。パソコンにSIMカードを挿すと、ある意味ではパソコン自体が携帯電話になってしまうのだ。データ通信はもちろん、ショートメッセージ(SMS)やメールも、携帯の通信サービスを使って行なえる。

これまでのFlyBookシリーズも、2.5世代携帯電話のSIMカードをサポートしており、それが他製品との差別化、欧州でのヒットの要因ともなった。V33iでは新たに3.5世代携帯電話のSIMカードに対応する。最大通信速度1.8Mbpsの“HSDPA”の3.5世代のほか、384kbpsの第3世代“UMTS(W-CDMA)”、欧州でデータ通信向けとして普及しており、第2.75世代とハンパな世代で呼ばれることもある128kbpsの“EDGE”、2.5世代で64kbpsの“GPRS”、それから9600~56kbpsで最も普及している第2世代の“GSM”と、幅広い方式に対応している。

こうした幅広い携帯電話の通信方式への対応に加えて、Bluetoth1.2とIEEE802.11b/gに対応していることで、WAN(Wide Area:広域)、LAN(Local Area:ローカル)、PAN(Personal Area:近距離)と、V33iは最強の無線通信機能を備えている。

ただし残念ながら、現在のところ、肝心の通信サービスの利用可能性について、不明な点が多い。欧米やアジア圏で購入したSIMカードを挿して、日本でNTTドコモのローミングサービスを使えば、すでに日本国内での通信も可能だ。しかし、これでは一部、“携帯電話は海外に買いに行く”というマニアでもないかぎり、快適な通信環境は絵に描いた餅だ。現在、ダイアローグ・ジャパンでは通信機能のサポート体制についてNTTドコモをはじめとする国内キャリアーとも話し合いを進めているという。日本では、通信サービスと端末の水平分離が進んでおらず、携帯電話キャリアーによる端末メーカーの囲い込みが日常的となっているため、FlyBookのように「パソコン自体を携帯通信端末」にしてしまうというような過激なモデルが、どのように業界や市場に受け入れられるか、今後の動向が大いに注目される。さらに言えば、携帯電話網の高速データ通信が本格的に普及するには、たとえば香港で開始されたような月額固定料金のHSDPAの定額サービスのようなものが登場しないことには、パケット料金が高すぎて、その利便性の恩恵にあずかれないことになる。

革新的な通信機能を備えた端末が登場した。ユーザーは「現実的な料金であれば」、その高速な通信機能を使いたい。後は、携帯電話業界の前向きなサービス展開を期待するばかりだ。

正面 タテ位置 SIMカードスロット
液晶パネルはクリアタイプではないが、感圧センサーフィルムのため、やや“テカリ”があるパネルを折りたたんでタテ位置で使うこともできる。切り替えは専用コントロールソフトから行なう本体側面に携帯電話のSIMカードを差し込むスロットを備える
右ポインター類 左ボタン類 スタイラスペン
右側にトラックポインターとマウスボタンを備える。キーボード中央やパームレスト部にはポインティングデバイスがない左側にもマウスボタンを装備。立ったままで親指でポインター移動とマウスクリックができるよう配慮されている本体右下に収められたスタイラスペン。こだわりを感じる凝ったデザインだ
レッドモデル ブラックモデル スタイラスペン
レッドのモデル。手触りや質感もよく、高級感がある。ヒンジ部などツクリの剛性感も高いブラックのモデル。欧州のFlyBookシリーズには黄色や青もあるが、今回のV33iは赤と黒のみ背面もスッキリとキレイにまとめられている


FlyBook V33iのおもなスペック
CPU:超低電圧版Pentium M 753-1.2GHz/773-1.3GHz
メモリー:512MB(最大1GB)
ディスプレー:8.9インチ、1024×600ドット
HDD:2.5インチ 40GB/60GB
OS:Windows XP Home Edition/Professional(Vistaにも対応予定)
光学ドライブ:なし
無線機能:IEEE 802.11b/g、Bluetooth1.2、3.5G携帯通信SIM対応
サイズ・重量:幅235×奥行き155×高さ31mm、1.23kg
カラー:ブラック/レッド
おもなインターフェース:PCカードTypeII×1、USB2.0×2、IEEE1394×2


カテゴリートップへ

注目ニュース

ASCII倶楽部

最新記事

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン