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VMware、インフラ型仮想化ソフトの新バージョンを発表

2006年06月12日 19時31分更新

文● 編集部 西村賢

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データセンターでのサーバー運用を効率化

ヴイエムウェア(株)は12日、インフラストラクチャー型仮想化ソフトの最新版、『VMware Infrastructure 3』を6月中旬にリリースすると発表した。データセンターで運用される多数のサーバーに対して導入することで、サーバー群のリソースを統合的に管理。プロセッサパワーやストレージなど、各アプリケーションで必要とされるリソースを動的に割り当てることで効率的な運用を可能にする。

多数のサーバーをまとまったリソースとして管理。必要なリソースを目的別に割り振る

サーバー群を統合された“リソースプール”として管理

“VMware”は、CPUやHDD、ネットワークインターフェースといったハードウェアを仮想化し、異なるOSを1台のコンピューター上で同時に走らせることができるソフトとして1999年に最初のバージョンが登場した。Windows上で別バージョンのWindowsを動作させたり、異なるOSであるLinuxを走らせるなど、開発・テスト環境として普及。その後、第2世代では複数のサーバーの統合管理が可能となり、今回の第3世代ではさらにサーバー群を効率的に運用するための機能が付加された。

新たに提供される具体的な機能は、次の4つ。

VMware VMFS(次世代型分散型ファイルシステム)
ストレージ仮想化のためのクラスターファイルシステム
VMware DRS(分散リソーススケジューリング)
仮想マシンに対するバランスの取れた動的なリソースの割り当てを行なう
VMware HA(ハイアベイラビリティー)
物理サーバーのダウン時に仮想マシンを動的に再割り当てを行なう

動的なリソース割り当てによって、たとえば運用中のサーバー群に新たに物理サーバーを追加した場合には、全体のロードバランスを考慮して、新サーバーにも自動的に仮想マシンが割り当てられる。逆に障害が発生した場合やメンテナンスのために特定の物理サーバーが停止した場合には、その物理サーバー上で動作していた仮想マシンは、直ちに別の物理サーバーへ割り当てられて復帰する、といった保守性の高い新機能を提供する。

デモ デモ2
稼働中の仮想マシンを物理サーバー上で移動させる“VMotion技術を使ってロードバランスを実現するVMotion技術のデモ。物理サーバー間を移動中でも仮想マシン中のメディアプレーヤーの映像は途切れない


製品パッケージは規模別に3種類

提供されるパッケージは以下の3種類。28種のOS、200種のハードウェア構成で検証済みという。

VMware Infrastructure 3
VMware Server VMware Infrastructureスタータ VMware Infrastructureスタンダード VMware Infrastructureエンタープライズ
想定市場 支店オフィスや中小企業向け 部門データセンター 動的なデータセンター
予想価格(2プロセッサーあたり) 無償 16万円 60万円 92万円
機能 単一サーバーの仮想化 複数サーバーの仮想化と集中管理 複数サーバーの仮想化と集中管理、仮想化ストレージ、仮想化SMPのサポート 複数サーバーの仮想化と集中管理、仮想化ストレージ、仮想化SMPのサポート、サービス停止を伴わない仮想マシンの物理サーバー間の移動、仮想マシンの動的リソース振り分け、バックアップ機能など


1000台のサーバーを50台に集約した実例も

バルカンスキー氏
プロダクトマーケティングディレクター、ボゴミル・バルカンスキー氏

発表会場でVMwareのコスト削減効果について言及した米ヴイエムウェア社のボゴミル・バルカンスキー(Bogomil Balkansky)氏は、米国の電力会社の例を説明。それまでデータセンター内の200本のラックに収まっていた1000台のサーバーを、VMware Infrastructure を導入することで、10本のラックに50台のサーバーと約20分の1に規模を縮小させることができたという。「稼働しているサーバーの90%はアイドル状態と言われている。VMware Infrastructureは、そうした非効率な運用状態にあるサーバーの稼働率をあげ、結果としてハードウェアや運用のコストを70~80%削減する」。



ネットワークの統合
仮想化インフラを入れることでサーバー数を減らし、ネットワーク構成もシンプルに

新規サーバーの大半は2009年までに仮想化

ラグー・ラグラム氏
データセンター/デスクトッププラットフォーム製品担当副社長、ラグー・ラグラム氏

製品担当副社長のラグー・ラグラム(Raghu Raghuram)氏は、仮想化技術のトレンドと、今後の動向について解説。“マルチコア化やメモリー、ストレージ量の爆発的な増大といったリソース増大”、“IntelやAMDの仮想化技術によって、仮想化によるオーバーヘッドの低減”という2つの要因によって、今後、仮想化ソフトウェア市場は成長し、「新規サーバーの大半は2009年までに仮想化される」という見解を示した。また、高い耐障害性やスケーラビリティーをもつサーバー運用環境は、かつてのメインフレームのクオリティーに匹敵するものだと説明した。



今後は“仮想アプライアンス”も登場

ラグラム氏は、仮想化環境が一般化することによって、新たなビジネスモデルが登場すると予見。

ちょうど現在、ハードウェアによるファイヤーウォール製品がOSとセットになって提供され、ユーザーはOSのことやアプリケーションのインストールといったことを意識せずに使えるのと同様に、将来的には仮想環境向けにOSとアプリケーションがセットとなった“仮想アプライアンス”製品群が登場するだろうと説明した。VMwareのウェブページでは、すでにLinuxやFreeBSDなどのオープンソース系のOS、MySQLやOpenLDAPといったサーバーソフトウェアのように、VMware環境にインストールした形で提供されている。

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