またインデックスエンジンやHDDのデフラグツール、スパイウェア監視・除去ツールの“Windows Defender”などのバックグラウンドでHDDアクセスを行なう機能については、“ロープライオリティーI/O(低優先度I/O)”と呼ばれる機能が利用されている。これはユーザーアプリケーションより優先順位が低く設定されているI/O操作で、ユーザーの操作によるHDDアクセスを優先して処理させることで、ユーザー操作に対するレスポンスを悪化させずに、バックグラウンドサービスを実行させられるという。
ロープライオリティーI/Oと似た方向性の新しいメモリー管理技術として、“スーパーフェッチ”と呼ばれる機能も搭載されている。これはユーザーによる操作頻度の高いアプリケーションに優先してメモリーを割り当て、応答性を向上させる機能という。配布された資料によれば、最も頻繁に使用されるアプリケーションを追跡して、アプリケーションをメモリー上にプリロード(事前読み込み)しておいたり、日付や時間帯によって優先順位を変えるといった高度なメモリー管理を行なうという。
グループワークのためのコラボレーションツールも付属
前述の機能はすべてのVistaユーザーにメリットのある機能で、Vistaの全バリエーションで利用可能な機能だが、特にビジネスユーザーのメリットとなる機能が“Windowsグループ作業ツール”(Windows Collaboration)である。これは複数のユーザー間で、グループ作業ツール上でアプリケーションやファイルを共有して、共同で閲覧や編集作業が行なえるツールである。Vistaの全バリエーションで利用できるが、“Vista Home Basic”では表示のみとなる。
“Windowsグループ作業ツール”では、開始元のユーザーが他のユーザーを招待する形で始める | 招待された側ではバルーン表示で招待受信通知が表示され、バルーンをクリックするとこのように招待画面が表示される。同意すればセッションが開始されて、P2P形式での共同作業が開始される |
作業中の画面。右下部に共有されたExcelワークシートを、中央で開いて編集している |
開始元となるユーザーがセッションを開始し、共同作業を行なうユーザーを招待することで、共同作業が開始される。企業内ネットワークで使用することを前提としているが、無線LANによるアドホック接続での利用も可能だ。これだけでもなかなか便利な機能であるが、あくまでOS組み込みの簡易コラボレーションツールであり、企業のファイアーウォールを超えての共同作業や、サーバーを介在させたより高度な管理を必要とする場合は、“Office Live Meeting”や“Groove 2007”などを利用するべきだろう。
“Windows Mobility Center”では、モバイルユース時に各種の設定を簡単に切り替えられる。右下の表示設定をオフにすると、壁紙やバルーン通知などをオフにできる。プレゼンテーション時などに便利 |
Vistaの日本語版ベータ2は、MSDNやTechnetのサブスクリプションユーザーに提供されているほか、“Windows Vista カスタマープレビュープログラム”として、同社ウェブサイトでのダウンロードやDVDキットの提供という形で提供が行なわれている。しかしジェイミソン氏は、あくまでもこれらはデベロッパーやITプロフェッショナル向けの評価用であり、すべてのユーザーを対象としたプレビューではないと注意を喚起した。Vistaのリリーススケジュールについては、2006年11月に企業ユーザー向けの提供を開始し、2007年1月には一般ユーザー向けおよび搭載パソコンの提供開始というスケジュールに変更はない。