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アートと最先端技術に触れる開かれた展示へ――NTT ICCリニューアルオープン

2006年06月05日 23時36分更新

文● 編集部 佐久間康仁

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開幕を告げるポスター

東京・初台の東京オペラシティタワーに、1997年4月に開設された“NTTインターコミュニケーション・センター(NTT ICC)”が10周年を迎えた今年6月6日にリニューアルオープンする。5日にはそれを記念したレセプションパーティーとプレス向け事前内覧会が開催された。

NTT ICCは日本電信電話(株)(NTT)の発足と、日本の電話事業100周年(1990年)の記念事業として設立された文化施設で、電話=コミュニケーションをテーマに、実際に触れて交流できるアート作品をさまざまなテーマ別に企画展示してきた。昨年にはその存続を見直す動きもあったが、関係者の強い働きかけもあって、コミュニケーションをより鮮明にして、NTT関連の研究技術を分かりやすく展示する内容も含めるなど、大幅にリニューアルを行なうことで、新たな役割をもって引き続き同じ東京オペラシティタワー内で役目を果たすこととなった。



“Project Phonethica Installation“Rando””ネットワークゾーンに展示されている作品“Project Phonethica Installation“Rando””

新しいNTT ICCは大きく4つのエリアに分かれているという。

・ネットワークゾーン
4F受付からすぐに見られるネットワーク技術を中心にしたアート展示
・アーカイブゾーン
過去に展示された作品のうち、許可を得られた作品をデジタルデータとして保存・管理して会場内のパソコン、およびインターネット経由でいつでも誰でも見られるアーカイブ
・アート&テクノロジーゾーン
メインとなるアート作品が数多く展示された会場。新進アーチストに特に優先して提供するスペースも設けている
・研究・開発ゾーン
シンポジウムを定期的に開催し、アートと技術の関わりを模索していく

●Project Phonethica Installation“Rando”/遠藤拓己+徳井直生(敬称略)

円形のレールをスピーカー&無線LAN受信基板が乗った装置が走る ディスプレーには日本語の“音”と近い発音の世界各国の言葉、およびその意味が吹き出しで並ぶ
円形のレールをスピーカー&無線LAN受信基板が乗った装置が走るディスプレーには日本語の“音”と近い発音の世界各国の言葉、およびその意味が吹き出しで並ぶ
“Project Phonethica Installation“Rando””

ネットワークゾーンですぐに目に飛び込んでくる、空中にしかれた円形(直径5.3m)のレールを動くスピーカー。そこからは世界各国のインターネットラジオの番組がその方位に来たときだけ受信・発声される。あたかも無線のラジオが飛び込んでくるかのような錯覚を覚える。

さらに、中央のディスプレーには“日本語の言葉”とその発音に近い“世界各国の言葉”を検索、吹き出しに掲出し、タッチパネルでその吹き出しに触れると、その国の方角に北瞬間にスピーカーから大音量で発音される。まるでその国の人が問いかけに答えるかのように。



●境界線/スコット=ソーナ・スニッブ(Scott Sona Snibbe)

作品“境界線”
作品“境界線”

望むと望まざるとに関わらず、人と人の間には境界線が存在する。そんな事実を改めて突きつけるような作品。人の影を床が自動判別して、自動的にその間に直線を引く。直線に囲まれた部分が自分の領域となり、そこに新たに踏み込まれると、またその間にいち早く境界線が引かれる。



●A-Volve/クリスタ・ソムラー(Christa Sommerer)&ローラン・ミニョノー(Laurent Mignonneau)

水を張った下にディスプレーがあり、無機質な生命体が泳ぎ回っているように見える 後ろのディスプレーで生命を形作り、生み出すことができる
水を張った下にディスプレーがあり、無機質な生命体が泳ぎ回っているように見える後ろのディスプレーで生命を形作り、生み出すことができる
作品“A-Volve”

来場していた子どもが熱心に楽しんでいた作品。水を張ったディスプレーに3D CGで描かれた疑似生物が生活し、時にはほかの生物を補食して成長する。人は手を水に入れることで、追い払ったり守るなど、彼らの生態系に干渉することもできる。

一方、背後の操作パネル(タッチパネル)に線画でシルエットを描き、生成ボタンを押すと、次々に水槽に新たな生命が生み出される。神のいたずらに近づける不思議な世界。



●風インタフェース/鈴木由里子&小林 稔(NTTサイバーソリューション研究所)

作品“風インタフェース”
作品“風インタフェース”

会場では、一番アートより工業製品に近いと感じた作品。赤青映像を重ね合わせた立体映像の“豆腐”のような立方体に、測位用ボールがついた“お玉”を近づけると、下から吹き上げる猛烈な風によって“ぶるんぶるん”という弾力が仮装体験できるというもの。


東日本電信電話の代表取締役社長の高部豊彦氏 京都大学の経済研究所助教授の浅田 彰氏
東日本電信電話の代表取締役社長の高部豊彦氏京都大学の経済研究所助教授の浅田 彰氏
レセプションパーティーの模様

オープニングレセプションでは、東日本電信電話(株)(NTT東日本)の代表取締役社長の高部豊彦(たかべとよひこ)氏、京都大学の経済研究所助教授の浅田 彰(あさだあきら)氏らが挨拶に立ち、「従来とは変えて、常設展示を充実させる。デジタルアーカイブをウェブに乗せて公開する。学術団体とのコラボレーションを充実させる、などのリニューアルを図り、NTT ICCの役割をより鮮明にしたい。さらに、秋には次世代ネットワークのフィールドトライアルもやっていき、若手芸術家たちのアートをコミュニケーションツールとして活用していきたい」(高部氏)、「最先端の技術を、アーチストを媒介にして発信する施設。10年前に構想を打ち立てたころには、まだ“メディアアート”という言葉もなかったが、間違ってはいなかったと確信している。10年間で得てきたノウハウを元に、改めてチャレンジする。(アニメやゲームなど“日本発”のメディアを世界にアピールする)“クールジャパン”構想は“子どもだけのもの”でいいわけじゃない。大人も振り向かせるアートをクールジャパンとして発信していく。その新しい地平を開くのがNTT ICCの役割だと思っている」(浅田氏)と語った。

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