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次世代DVD特集

次世代DVD特集

2006年05月23日 21時06分更新

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次世代DVDに関するニュースをまとめてチェック!

 それでは最近のニュースの中から、次世代DVDに関する話題をピックアップしてみよう。まずは再生型機を先行して投入したHD DVDに関する話題から。

東芝、世界初のHD DVDプレーヤーを発売!

東芝が世界で初めて発売したHD DVDプレーヤー『HD-XA1』 東芝が世界で初めて発売したHD DVDプレーヤー『HD-XA1』
東芝が世界で初めて発売したHD DVDプレーヤー『HD-XA1』

 次世代DVD戦争の開戦を告げたのは東芝だった。3月31日に同社は、世界初のHD DVDプレーヤーである『HD-XA1』を発表した。発表後すぐに発売も開始され、店頭では10万円前後の価格で販売されている。HD DVDの映像アプリケーション規格であるHD DVD-Videoに準拠したHD DVD-ROMの再生に対応するほか、DVDやオーディオCDの再生も可能だ。

 HD DVDは波長405nmの青紫レーザーを読み取り用レーザーとして使用するが、メディアの構造はDVDと同じ0.6mm厚のディスクを2枚貼り合わせた仕様となっている。そのためDVD製造設備の流用による製造コストの低減、対物レンズの共用などを特徴としている。記憶容量は1層式ディスクで約15GB、片面2層式で約30GBとなっている。さらに1枚のディスクでHD DVD-ROM 1層とDVD-ROM 1層を兼ね備えた、“ツインフォーマットディスク”を作ることも可能で、DVDから次世代DVDへの移行期に、1つのディスクで両方の規格の映像を再生できる点を利点としている。たまに“HD DVDとDVDは互換性がある=HD DVDにはDVDの映像も収録されている”という誤解も見受けられるが、これはツインフォーマットディスクで作られたアプリケーションの場合のみである。

1層HD DVDと1層DVDを兼用する“ツインフォーマットディスク”の構造。この場合HD DVD部分の容量は15GBしかない。両面2層化してHD DVD部分も30GBを確保する“コンビネーションディスク”の規格も策定中とのこと
1層HD DVDと1層DVDを兼用する“ツインフォーマットディスク”の構造。この場合HD DVD部分の容量は15GBしかない。両面2層化してHD DVD部分も30GBを確保する“コンビネーションディスク”の規格も策定中とのこと

 BD側が仕様の最終決定まで時間を要したため、先行して再生専用機とビデオソフトを発売できたのが、HD DVDの強みとなっている。まだ数は少なく、プレーヤーの価格は安くはない(実売で11万円前後)ものの、すでにHD DVDはプレーヤー/ソフト共に店頭で発売されており、いつでも買える状態にあるのは大きい。東芝 執行役上席常務 デジタルメディアネットワーク社 社長の藤井美英(ふじいよしひで)氏はHD-XA1の発表会で、デジタル放送対応の液晶TVやプラズマTVなどの大画面HDTVが急速に販売台数を伸ばしている事例を挙げて、“HDTVの普及によりHD品質のビデオソフトを望むユーザーも急激に増えているので、次世代DVDへと流れが急速に変わっていくだろう”との考えを示している。

HD DVDソフト第1弾として登場した、(株)ポニーキャニオンの『夜桜』。HD品質の高精細な映像で、日本各地の桜の銘木を鑑賞できる。HD DVDのベンチマーク的ソフトとしての価値もある HD-XA1と同時に発表されたHD DVDソフトの数々。米国でも最新映画のソフトが発表されており、ソフト数は徐々に増えている
HD DVDソフト第1弾として登場した、(株)ポニーキャニオンの『夜桜』。HD品質の高精細な映像で、日本各地の桜の銘木を鑑賞できる。HD DVDのベンチマーク的ソフトとしての価値もあるHD-XA1と同時に発表されたHD DVDソフトの数々。米国でも最新映画のソフトが発表されており、ソフト数は徐々に増えている


HD DVDドライブ内蔵のTVパソも登場!

HD DVDドライブを内蔵する“AVセンターパソコン”『Qosmio G30/697HS』
HD DVDドライブを内蔵する“AVセンターパソコン”『Qosmio G30/697HS』

 家電タイプの再生専用機に続いて、東芝はHD DVD-ROMドライブを内蔵する個人/家庭向けノートパソコン『Qosmio G30/697HS』(以下G30)を4月に発表した。発売は5月中旬、予想実売価格は40万円前後という。

 G30はHD DVDドライブとHD DVD-Video再生に対応したソフトを搭載し、パソコン上でのHD DVD-Video再生が可能となっている。搭載する液晶ディスプレーはフルHD対応の17インチワイド/1920×1200ドットの高解像度ディスプレーであり、HD DVDの高精細な映像を余すところなく楽しめる。さらに映像出力端子としてHDMI出力端子を備えているので、G30を大画面のHDTVに接続して、HD DVDプレーヤー的に使うことも可能だ。

G30が内蔵するHD DVDドライブはスロットインタイプ。DVDスーパーマルチドライブの機能も備えている
G30が内蔵するHD DVDドライブはスロットインタイプ。DVDスーパーマルチドライブの機能も備えている

 G30が搭載するHD DVDドライブは、HD DVD再生のほかにDVD±R DLなどへの記録にも対応している。HD DVDへの記録には対応しない。またHD DVD以外の特徴として、地上デジタル放送チューナーを内蔵しており、地上デジタル放送の視聴と録画も可能となっている。これは再生専用機のHD-XA1ではできず、現状ではG30だけの利点と言えよう。



課題はソフトの充実と牽引役の不在?

 BDに先行して、再生専用機とHD DVDソフトを投入することで、先行の利を生かす戦略に出たHD DVDであるが、当然ながら課題も多い。まず、黎明期にはいたしかたないことであるが、現状ではソフトが足りない印象が否めない。ハリウッドの大手映画会社のうち、HD DVDでのタイトル供給を表明しているのは現時点では3社のみで、6社が表明しているBDに比べると少ない。今後BDが立ち上がってくるまでに、HD DVDソフトをどれだけ拡充できるかが問われる。また売りのひとつであるツインフォーマットディスクは、容量が少ない(HD DVD側15GB、DVD側4.7GB)ため、高画質の映画を収録するにはどちらも不足気味なのが苦しいところか。

松下電器産業がパソコン用BD-R/REドライブの発表時に披露したスライドの1枚。大手映画会社のサポートでは、BDにやや差を付けられた感もあるが…… 東京渋谷のSHIBUYA TSUTAYA Q FRONTで行なわれたHD DVDのプロモーションイベントの様子。こうしたHD DVDのプロモーションを、幅広く積極的に展開する必要もある
松下電器産業がパソコン用BD-R/REドライブの発表時に披露したスライドの1枚。大手映画会社のサポートでは、BDにやや差を付けられた感もあるが……東京渋谷のSHIBUYA TSUTAYA Q FRONTで行なわれたHD DVDのプロモーションイベントの様子。こうしたHD DVDのプロモーションを、幅広く積極的に展開する必要もある

 DVD黎明期の再生環境普及に貢献したPS2のような“強力な牽引役”が不在な点も、HD DVDにとっては不利な点である。日本ではさほど売れていない“Xbox 360”で、さらにオプションとなるXbox 360 HD DVDプレーヤーには“その役”を期待できるはずもなく、ソフトの充実に合わせてリーズナブルな価格の再生機と、HD DVD記録に対応した録再型HDDレコーダーの投入が必要とされるだろう。HDTV環境の普及具合によっては、普及が進まないうちに本格的なBD普及期(ビデオソフトやプレーヤー、PS3の登場)に追いつかれてしまう可能性もある。

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