メモリクロックでアプリ性能はどう伸びるか
前置きが長くなったが、次に、FX60(DDR)とFX62(DDR2)を例にとり、メモリの違いによってどれほどの差が出るかを確認してみよう。グラフ3~10をごらんいただきたい。
なんと、「Superπ」と「3DMark 05」において、クロックが低いFX60のほうがFX62のDDR2-400より速くなっている。上で見たように、DDR2-400がDDR-400より遅いことが足を引っ張ったのだろうが、それにしてもCPU自体の7.7%のクロック差がひっくりかえるというのは尋常ではない。ある意味十分に枯れ、チューニングされたDDRベースのシステムに対し、DDR2のシステムがまだ発展途上という点も不利に働いたと考えるしかない。
他のテストについていえば、FX62+DDR2-400であってもFX60+DDR-400を上回っており、DDR2-800の最速設定なら、FX60+DDRに比べ7~8%速くなっている。このうちクロックの効果とメモリの効果がどれだけずつなのかを判別するのは難しいが、メモリ単体ベースではDDR2-533時でDDR-400と同じくらいなので、DDR2-533のスコアを「プラットフォーム変更がなかった場合の基準値」と見て、DDR2-666や800を使うことでグラフのような性能向上が得られた、と理解することは一応は可能だろう。ただ、クロックが7.7%高いことを考えると、DDR2-800やDDR2-666がDDR400プラットフォームに対して明らかな性能の上積みを果たした、と言えるほどの性能にはなっていないのも事実だ。メモリの厳密な効果については、同クロック・同キャッシュのCPUでプラットフォーム間比較をしないとはっきりしたことは言えない。
グラフ3 円周率計算ソフト「Superπ」の所要時間の変化(単位は秒。棒が短いほど高速) | グラフ4 3Dゲームベンチ「Commanche4」のスコアの変化 |
グラフ5 マルチタスクテスト「PCMark 05」のスコアの変化 | グラフ6 CGレンダリングテスト「Cinebench」のスコアの変化 |
グラフ7 マルチタスク型ゲーム「3DMark 05 CPU」のスコアの変化 | グラフ8 「TMPGEnc 4」による動画のMPEG2圧縮の所要時間の変化(単位は秒、短いほど高速。FX60のデータはなし) |
グラフ9 「TMPGEnc 4」による動画のMPEG4圧縮の所要時間の変化(単位は秒、短いほど高速。FX60のデータはなし) | グラフ10 「Windows Media Encoder 9」による動画のWMV圧縮の所要時間の変化(単位は秒、短いほど高速) |