(株)衛星ネットワークは19日、東京・赤坂の赤坂ツインタワー内同社オフィスにプレス関係者を集め、同社が4月25日に発表した船舶/車輌向け業務用CSテレビ番組提供サービス“乗っテレ”のプレスカンファレンスを開催した。同会には代表取締役社長の野村 勝氏、通信ITソリューション営業本部の小川達司氏らが出席し、乗っテレの概要や個人向けサービスながら競合になりそうな“ワンセグ放送”や“モバHO!”との違いなどを説明した。
同社オフィス内で行なわれた乗っテレのデモ |
乗っテレは、JCSAT-110(東経110度)もしくはJCSAT-4A(東経124度)の通信衛星を利用して、CSテレビ放送(スカパー110/SkyPerfecTV!)の番組の一部を視聴できるという業務用のテレビ番組供給サービス。主に車輌(バス)や船舶など、多人数を一度に輸送する業務をターゲットにしているという。同社の調査では、法人船舶に約5800社/1万3000隻、法人バスに約4000社/10万台、さらに法人普通車(タクシーやレンタカーなど)に約40万台の市場規模があり、一般家庭やホテルなどすでに衛星放送受信が浸透して市場の成熟期に入りつつある衛星放送サービスに、新たな市場の創造、活性化を目指したい、としている。
乗っテレの仕組みと概要 |
乗っテレサービスにおける衛星ネットワークの役割は、番組供給事業者、視聴のためのICカード鍵管理会社、および視聴のための機器販売会社(アンテナやチューナーなど)の間を取り持つとりまとめ会社という位置づけで、主な業務内容は
- 顧客管理/視聴料徴収
- 番組供給料金/手数料の分配
- 広告宣伝やPR
などとなる。
乗っテレサービス関連企業の役割分担 |
肝心の視聴できる番組は、5月1日にスタートしたばかりということもあり、ニュースが1番組(日テレNEWS24)とスポーツが3番組(GAORA/スカイA/ザ・ゴルフ・チャンネル)の合計4番組。ただし、JCSAT-110(通称:乗っテレ110)は4番組とも視聴可能だが、このうちJCSAT-4A(通称:乗っテレ124)で受信できるのは日テレNEWS24のみとなる。
JSAT(株)の船舶用アンテナ『JoySAT M4-C/M4-L』。仰角および360度の回転によって衛星位置を自動的に見つけてアンテナ角度の調整を行なう。 | こちらは車輌用アンテナで、カモス・ジャパン(株)の『CSA-210M』と、パナソニック カーエレクトロニクス(株)の『AN-BCS01』。こちらは仰角変更はできないものの、360度回転して衛星の方角を追尾できる |
利用料金は、番組1つにつき基本料金1万3000円、チューナー管理料金(1台あたり)900円、モニター管理料金500円(1台あたり)の月額料金と、初期費用として番組登録費用(ICカード登録手数料)が2000円(1台あたり)が必要となる。なお、5月19日現在まだ契約に至ったケースはないとのことだが、今年秋頃を目標に番組提供数の増加を目指して契約交渉を進めているという。
代表取締役社長の野村 勝氏 |
野村氏は、乗っテレサービスが実現可能になった背景として、
- 衛星の性能が上がり、地上に配信される信号強度が強くなった。これによりアンテナが小さくても受信できるようになったこと
- 映像の圧縮技術の進歩・改良によって細い帯域(少ないビットレート)でも、映像の損失が少なくなったこと
- アンテナが従来は数百万円していたが、従来よりも小さくて安価なアンテナが開発できるようになった。特に衛星を自動追尾できるアンテナも安く手にはいるようになったこと
などの技術発展を挙げ、さらに船舶用アンテナについては近い将来に受信だけでなく送信機能も実装して、船舶上でのインターネット通信や双方向番組の楽しみ方ができるようになると展望を語った。
通信ITソリューション営業本部の小川達司氏 |
小川氏は、ワンセグ/モバHO!との違いについて、特に解像度の違いを強調。ワンセグやモバHO!は元々携帯端末向けの小さな画面で見る番組サービスなので、大人数が大画面テレビで番組を楽しむ用途には向かないという。さらに、衛星通信のためサービスエリアが日本領海内(200海里内)と広いことも特徴として挙げた。