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日立、リニューアルオープンする“日立電子行政ショールーム CyberGovernment Square”の説明会を開催

2006年05月19日 17時07分更新

文● 編集部 小西利明

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“日立電子行政ショールーム CyberGovernment Square”。さまざまな自治体向けITソリューションが展示されている。利用には要予約 新設コンテンツのひとつ“電子窓口ロッカー”の実演の様子。東村山市に同種のシステムが導入されている
“日立電子行政ショールーム CyberGovernment Square”。さまざまな自治体向けITソリューションが展示されている。利用には要予約新設コンテンツのひとつ“電子窓口ロッカー”の実演の様子。東村山市に同種のシステムが導入されている

日立製作所(株)は19日、22日にリニューアルオープンされる自治体向けITソリューションの体感スペース“日立電子行政ショールーム CyberGovernment Square”(CGS)の報道関係者向け見学会を開催し、新設された展示コンテンツを披露した。利用には事前予約が必要である。

電子行政ショールームは、同社がオフィスを構える東京都港区の興和西新橋ビル内に開設される施設で、“e-Japan戦略”の中でも特に自治体業務のIT化を推進するソリューションのショールームとして、2000年3月に開設された。見学会冒頭でショールームについての説明を行なった同社 情報・通信グループ 公共システム営業統括本部 統括本部長の津田義孝氏は、ショールームの目的について自治体におけるITの“具体的な利用例や効果を挙げる”ことで、IT利用の価値を分かりやすく紹介することにあると述べた。開設後7年で、地方自治体の長や国務大臣、海外の要人など約2万2000人、昨年1年では約3000人が来場したという。

日立製作所 情報・通信グループ 公共システム営業統括本部 統括本部長の津田義孝氏 ショールームの意義と、来場者数および過去に来場した要人など
日立製作所 情報・通信グループ 公共システム営業統括本部 統括本部長の津田義孝氏ショールームの意義と、来場者数および過去に来場した要人など

今回のリニューアルはe-Japan戦略の終了と新たな“IT新改革戦略”のスタートを受けて、最新技術を用いた新しいコンテンツの展示の新設などが行なわれた。追加された新コンテンツは以下の4種類で、実演を交えた説明が同本部 公共ビジネス企画本部 カスタマ・リレーションズセンタ 主任の泉菜穂子氏により行なわれた。

     
  • 街角受取りサービス 電子窓口ロッカーシステム
  •  
  • IPテレフォニー
  •  
  • セキュリティPC
  •  
  • 安心・安全のための技術 子供見守りシステムなど
テスト用住基カードを手に電子窓口ロッカーについて説明する同社情報・通信グループ 公共システム営業統括本部公共ビジネス企画本部 カスタマ・リレーションズセンタ 主任の泉菜穂子氏
テスト用住基カードを手に電子窓口ロッカーについて説明する同社情報・通信グループ 公共システム営業統括本部公共ビジネス企画本部 カスタマ・リレーションズセンタ 主任の泉菜穂子氏
“街角受取りサービス 電子窓口ロッカーシステム”。東村山市に導入されているものは、ロッカー部分がより大きく、端末の横に設置されている
“街角受取りサービス 電子窓口ロッカーシステム”。東村山市に導入されているものは、ロッカー部分がより大きく、端末の横に設置されている

“街角受取りサービス 電子窓口ロッカーシステム”は、行政サービスの電子申請化にともなって、発行される書類などを“いつでも任意の場所で受け取れるシステム”の実現を目指して開発されたソリューション。東京都東村山市ですでに導入実績がある。住民が電話やファクス等で自治体窓口に対して交付物(住民票や母子手帳、図書館の貸出図書など)の発行を申請すると、申請が受理されれば交付物が電子窓口ロッカーの収納スペースに届けられる。住民は該当の電子窓口ロッカーに出向き、自分の住民基本台帳カード(住基カード)と取り出し用のパスワードを使用すると、交付物をロッカーから受け取れるという仕組みだ。ショールームに設置されているデモ機は、机の引き出し程度の収納スペースで、書類等を入れるには十分な程度の容積であるが、東村山市が市内の公民館など4ヵ所に設置しているロッカーは、収納スペースがより大きめになっていて、書類以外の物品の送付にも利用できそうだ。自治体窓口が閉まる夜間や休日の受け取りも可能という。



電子窓口ロッカーの利用イメージ図。自治体窓口に出向くことなく、書類交付を受けられるようになる
電子窓口ロッカーの利用イメージ図。自治体窓口に出向くことなく、書類交付を受けられるようになる
利用の際には、まず自分の住基カードを端末に挿入する。さらにパスワードによる認証も行なうことでセキュリティーを保つ 認証が通り、料金の必要なものは支払いを行なうと、ロッカーを開けられるようになり、中の交付物を受け取れる
利用の際には、まず自分の住基カードを端末に挿入する。さらにパスワードによる認証も行なうことでセキュリティーを保つ認証が通り、料金の必要なものは支払いを行なうと、ロッカーを開けられるようになり、中の交付物を受け取れる

受け取り場所や時間の制約が大幅に緩和されるので、住民の利便性は大きく向上すると期待されるシステムだが、どのようなものをこのシステムで交付するかについては、条例や法規制側の対応も必要なため、ただちになんでもこれを利用して交付できるというわけではないとのことだ。東村山市では9種類の書類交付に利用しているという。また認証に利用する住基カードの発行割合も、東村山市のケースでは住民の0.5%程度とのことで、活用と普及に向けた課題は多そうだ。

IPテレフォニーや“セキュリティPC”については、対住民サービスではなく自治体内部での業務効率化や情報漏洩対策のソリューションとして提案されている。IPテレフォニーは通信コスト削減や、ホワイトボードソフトを使った遠隔コラボレーション、最大40ヵ所を同時に接続可能なパソコンベースのビデオ会議システムなどが披露された。“セキュリティPC”は2005年5月に発表された、HDDを搭載しないノート型パソコンに、同社が積極的に開発と普及に努めている指静脈認証システムを組み合わせるなどしたシステムである。

Windows用のIP電話ソフトとUSB接続のIPフォン、ビデオカメラを用い、さらにデータ共有が可能なホワイトボードソフトを使ってちらし作成を協業するデモの1場面 パームレスト手前に指静脈認証装置を内蔵したHDDレスパソコン“セキュリティPC”。右側面にはUSB接続のメモリーカードリーダーが装着されている
Windows用のIP電話ソフトとUSB接続のIPフォン、ビデオカメラを用い、さらにデータ共有が可能なホワイトボードソフトを使ってちらし作成を協業するデモの1場面パームレスト手前に指静脈認証装置を内蔵したHDDレスパソコン“セキュリティPC”。右側面にはUSB接続のメモリーカードリーダーが装着されている

“センサタグ”を利用した安全・安心のための技術は、行政機関向けというより医療機関や高齢者介護施設などに適した用途のデモが行なわれた。腕時計型のセンサタグには脈拍計や加速度センサー、温度計などが搭載されていて、装着者の生体情報をリモート監視が可能となっている。センサタグとデータ受信用のアンテナ間の通信にはZigBeeを利用するが、通信距離が短いため、密にアンテナを設置できる環境に適する。またリストタグ上には緊急事態の発生を通知する“コール”ボタンがあり、装着者の身に異変が起こった場合は監視者に通知したり、自動でメールを送信して家族の携帯電話に通知するといった用途にも利用できる。

腕時計型“センサタグ”。脈拍計など生体情報用センサーは肌に接する裏面に装備されている。時刻表示下の2桁の数字は脈拍 センサタグを遠隔モニターしている画面。脈拍や加速度、温度を検出することで、装着者の身体に異変が起きていないかを確認する
腕時計型“センサタグ”。脈拍計など生体情報用センサーは肌に接する裏面に装備されている。時刻表示下の2桁の数字は脈拍センサタグを遠隔モニターしている画面。脈拍や加速度、温度を検出することで、装着者の身体に異変が起きていないかを確認する

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