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gigabeat S60V/gigabeat S30

gigabeat S60V/gigabeat S30

2006年05月22日 15時45分更新

文● 編集部・小林 久

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液晶の高精細さはなかなかのもの

 搭載する液晶パネルのサイズは2.4インチで、縦長と横長の違いはあるが、iPod(2.5インチ)とほぼ同サイズである。画面は明るく高精細で、動画の動きもスムーズだ。小さくても映画の字幕などもしっかりと読める。

 標準ではメニュー操作は縦向き、動画再生時は横向きの設定になっているが、設定を変更することも可能だ。個人的には横位置より縦位置のほうがホールディングしやすく感じたが、QVGAの動画を縦位置で表示すると、画像が小さくなる上、スケーリング処理で若干甘くなるので、横位置で見るのが基本になるだろう。

iPod 30G(左)とgigabeat S30(右)のディスプレー比較。デジタルカメラで撮影したもののため、分かりにくいが、gigabeatはマゼンタ味が強く、iPodは青味が強い(やや黄色味もかかっている)。解像感はgigabeatのほうがあり、シャープだが、視野角はiPodより狭い。

 バックライトを含む液晶パネルの違いのためか、パネルの色合いは青みが強いiPodに対して、本機は暖色系の色合い。人肌などがより自然に感じる。ディスプレー表面には光沢処理が施されているため、見栄えもする。

番組情報の入力
ビデオに録画した日付などの情報はWindows Media Playerのライブラリー画面で編集できる。編集したい項目がない場合は、ビデオの“ライブラリーオプション”で追加できる。なお、gigabeat上で「不明なソース」と表示されるのは、著作権の項目に何も入力されていないためだ。

 今回、DVDレコーダーで録画した地上アナログ放送の番組を、800kbpsのWMVファイルと384kbpsのMPEG-4 AVC/H.264形式でエンコードしなおし、比較してみた。動画ファイルは、DVD-RAMに保存したVRO(DVD-VR)形式のものを、MPEG-2形式に一度変換し、Windows Media Encoder 9とフリーソフトの「携帯動画変換君」(作者Calcium氏、入手先サイト)を利用してgigabeat、iPod用に変換し直したものとなる。

 WMV形式で保存した画像でも、数年前の携帯デバイスでは考えられないほどの高画質である。動きの激しい場面ではややブロックノイズが生じてしまったが、一時停止せず、動画としてみると、注意しないと気付かないレベルだった。H.264はWMVよりビットレートが低いが、そういった荒れはほとんどない。圧縮率(HDDに保存できる時間)と画質の面では、H.264に対応したiPodのほうが有利と言えるだろう。とはいえ、WMVの画質も十分に高く、外出先で視聴するぶんには不都合を感じないだろう。

 驚いたのは動画の再生音が非常に高音質だった点だ。アクション映画の爆発音や、ズシンと響く低音もかなりリアルに再現され、非常に迫力があった。動画は本体のヘッドホンジャックに専用のAVケーブルを接続し、テレビで楽しむこともできる。



H2Cテクノロジーの差は聞き分けにくい

 音楽再生時の音質もなかなかのものだ。音離れや高音の抜けがよく、かなりクリアーな印象だった。WMVやMP3に加え、ロスレス圧縮のWMA Lossless 9に対応しているのも音質を重視するユーザーにとってメリットになるだろう。ファイルサイズが大きくなるので、HDDへのアクセス頻度が増え、バッテリー寿命は短くなるが(2/3程度)、聞いて分かる音質の差を感じる。イコライジング機能は“なし”のほか、プリセットの7種類が選べる。

H2Cテクノロジーを使用する際には、設定で“Harmonics”をオンにする。

 このプリセットイコライザーに加え、本機には“H2Cテクノロジー”という高音質化技術が搭載されているが、筆者の耳ではかなり集中して聴いても聞き分けられなかった。ケンウッドの“Supreme(サプリーム)”や日本ビクターの“CCコンバーター”など同種の技術で、圧縮時に失われる16kHz以上の高音成分を補うというふれこみ(16kHzはテレビが水平同期の際に発する、キーンとした高音とほぼ同じ高さ)だが、他社の技術に比べて効果が分かりにくいという印象を持った。

 H2Cテクノロジー使用時にはバッテリーの持ちが極端に(1/3程度に)減ってしまうというデメリットもあるため、筆者は積極的に使用してはいない。読者も機会があれば、その差が分かるかどうかぜひ聞き比べてほしい。

上位のgigabeat 60Vには、テレビ出力用のケーブルが付属する。動画やデジタルカメラで撮影した画像をテレビに映し出して家族で楽しむことも可能。

 静止画は、パソコンからの転送に加え、デジタルカメラとUSBで直接接続して転送することも可能だが、やや残念なのは、デジタルカメラで撮影した動画をUSB経由でコピーして、撮影した動画を再生できない点である。カメラによって形式がまちまちのため、対応が難しい面があるのは想像できるが、今後の対応を期待したい。表示可能な静止画の形式はJPEGのみだが、最大で9000×6000ドットとかなり大きなサイズも扱える(液晶解像度に合わせてリサイズされる)。外出先でデジタルカメラのメモリーをバックアップする用途でも活躍しそうだ。

 バッテリー寿命は動画再生時で2時間30分(WMV800kbps時)というスペック。通勤時に使用してみたが、1時間程度のドラマを観るといった使い方なら十分にバッテリーは持つ。ただし、バッテリー残量を示す目盛りはかなり減ってしまうので、帰りも使うためには会社のパソコンで充電するなどの対策が必要だ。本機はパソコンからUSBバスパワーで充電でき、充電時間は3時間ほど。コネクターも汎用のミニプラグなので便利だ。

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